二重参政権と安全保障上のリスク
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 15:30 UTC 版)
「日本における外国人参政権」の記事における「二重参政権と安全保障上のリスク」の解説
日本国籍を持たない外国人に参政権を与えた場合、その者は「国籍を持つ国」と「日本」の二カ国にまたがる参政権を持つことになり、「二重参政権」の問題が発生する。少数の住民から構成される市町村においては、特定の外国人集団が組織票となり、投票に際してキャスティング・ボートを握ることが可能となり市政を左右する危険性が懸念されている。台湾人で日本に帰化した金美齢は、本国に加えて日本での参政権を付与することになる「二重参政権」と地方参政権問題について、たとえ地方政府の参政権といえど、地方政府と中央政府はつながっており、反日的な思想をもった人間に参政権を与えるべきではないと指摘している。 また、部分的許容説をかつて主張し、のちにこの説は憲法違反として撤回した長尾一紘は、国政選挙は許されないが、地方選挙ならば許されるとする許容説の前提となる国政と地方との切り離しができないことが近年の常態になっていると指摘したうえで、次のように主張する。 日韓の選挙権の条件格差 2009年2月に韓国での選挙法改正により、在日韓国人は、日本にいながらにして韓国の国政選挙すなわち、大統領選挙と国会議員比例選挙の投票権をもつことが可能になった。また、韓国内で居住申告をすれば、地方選挙の選挙権、被選挙権を持てるようになった。この居住申告は、日本の住民登録を維持したまま可能であり、したがって、永住資格を失うことなく居住申告ができる(2010年現在、居住申告者数は6万人を超える)。在日韓国人が、韓国での選挙権と日本での選挙権を持つということは、二重の選挙権を持つということであり、日本の一般国民よりも政治的権利の条件において、より高い有利な地位に立つことになる。 韓国憲法における忠誠及び国防義務と領有権問題 また、韓国人は、韓国の憲法によって韓国への忠誠と国防の義務、徴兵制度が国民に課されている。従って、日韓の国益が対立する場合、韓国人は韓国憲法に従い、この忠誠義務に基づいて行動しなくてはならない。 この点については、対馬の問題を考慮にいれるべきで、韓国人の半数が韓国領土と考え、また韓国の国会議員や地方自治体が領有権を主張する対馬において、有権者は約3万人であり、市議会議員の最下位は685票である。したがって、外国人地方参政権が導入されれば、対馬を韓国領土だとする議員が数名は当選することが十分に考えられる。 日中領有権問題 同様のことは、一般永住者に含まれる在日中国人への参政権付与においてもいえる。外国人参政権を一般永住者にも拡張しようとする民主党法案においては、日中間での領有権問題が予期され、対馬と同様の問題、または比較にならないほどの深刻な問題が生じうる。 尖閣諸島問題に関しては、日本最南端の与那国島町長選挙では、当落の票差はわずか103票ほどであり、大量に同島に在日中国人が移住すれば、容易に当選しうる。 また沖ノ鳥島を中国は岩礁にすぎず日本の領土ではないとしているが、この島が属する小笠原村の村長選挙では、得票は713票ほどであり、これも同様、容易に当選しうる。 長尾は、日中の友好関係を維持のためには、最低限度の距離をとる必要があるとして、「過剰の優遇は、多くの場合友情を破壊するという結果をもたらし(...)、いたずらに対立と緊張を高めるだけのこと。外国人選挙権法案は、日本の安全を危機にさらすだけでなく、国際平和を害する」と論じる。 また、元最高裁判事園部逸夫も、一般永住者への付与拡張について「ありえない」「移住して10年、20年住んだからといって即、選挙権を与えるということはまったく考えてなかった。判決とは怖いもので、独り歩きではないが勝手に人に動かされる。」「永住外国人に選挙権を認めなければいけないようなことになったとしても、非常に限られた、歴史的状況のもとで認めなきゃだめですよ。どかーっと開いたら終わりです」と発言している。また、議員立法でなく民主党政権政府が提出することについて「賛成できない。これは国策であり、外交問題であり、国際問題でもある。」として批判している。 その他、安全保障上の観点(領有権問題発生のリスク)からの反対論は以下の通り。 在日朝鮮人は北朝鮮国政への選挙権、被選挙権をともに有しており、北朝鮮最高人民会議の代議員(国会議員)に6名選出されている。在日朝鮮人に参政権を付与すると北朝鮮の国会議員が日本の選挙に参加できることになる。 島嶼など人口が少ない市町村においては比較的少数の移民により市政を壟断することが可能となる。そうなれば防衛上の要請からの自衛隊派遣の拒否など国の安全保障に支障をきたす。 在日中国人が急増している背景から在日朝鮮人よりも中国人問題であり、中国が人口による侵略行為を行った場合は日米安保条約があっても防げなくなる。
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