二重双対空間
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/29 16:13 UTC 版)
代数的双対の場合のアナロジーで、ノルム空間 V からその二重双対 V′′ への自然な連続線型写像 Ψ: V → V′′ が Ψ ( x ) ( φ ) = φ ( x ) , ( x ∈ V , φ ∈ V ′ ) {\displaystyle \Psi (x)(\varphi )=\varphi (x),\quad (x\in V,\,\varphi \in V')} と置くことにより定まる。ハーン・バナッハの定理の帰結としてこの写像は実は等距、即ち V の各元 x に対して ||Ψ(x)|| = ||x|| を満たす。この写像 Ψ が全単射となるようなノルム空間は回帰的であると言う。 V がほかの位相線型空間であるときも同じ式によって、任意の x ∈ V に対する Ψ(x) を定義することができるがいくつかの障害が生じる。一つは V が局所凸でないとき、その連続的双対が {0} となり写像 Ψ が自明になってしまうことが起こり得ることである。しかし V がハウスドルフかつ局所凸ならば写像 Ψ は V からその連続的双対の代数的双対 V′∗ への単射となることが、ふたたびハーンバナッハの定理の帰結として得られる。 いま一つは、局所凸となる場合であっても、連続的双対 V′ の上に自然なベクトル空間の位相が複数存在しえて、それ故に連続的二重双対 V′′ を集合として一意に定義することができないことである。つまり、Ψ が V を V′′ に写すとか、あるいは Ψ(x) が任意の x ∈ V に対して連続であるなどと言うために、V′ の位相に関する合理的な最低限の要求として、評価写像 φ ∈ V ′ ↦ φ ( x ) , ( x ∈ V ) {\displaystyle \varphi \in V'\mapsto \varphi (x),\quad (x\in V)} が連続となる V′ 上の位相を選ばなければならない。さらに言えば、V′′ 上の位相を選んで Ψ が連続となったとしても、その連続性は位相の選び方に依存する。そういった結果として、この枠組みにおける回帰性は、ノルム空間の場合におけるよりも重要なものとなる。
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