二次性パーキンソン症候群
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/28 15:14 UTC 版)
「パーキンソン症候群」の記事における「二次性パーキンソン症候群」の解説
二次性パーキンソン症候群とはパーキンソン病以外の神経変性疾患でパーキンソン症状も伴うものをいう。 多系統萎縮症 詳細は「多系統萎縮症」を参照 進行性核上性麻痺 詳細は「進行性核上性麻痺」を参照 大脳皮質基底核変性症 詳細は「大脳皮質基底核変性症」を参照 ピック病 詳細は「ピック病」および「前頭側頭葉変性症」を参照 淡蒼球ルイ体萎縮症 淡蒼球・ルイ体、黒質の単純萎縮を呈する極めて稀な疾患である。 FTDP-17(MAPT)(17番染色体に連鎖する前頭側頭型認知症パーキンソニズム) FTDP-17(MAPT)とは17番染色体長腕(17q21-22)に存在するタウ遺伝子(MAPT)の変異で起きる認知症とパーキンソン症候群を主徴とする優性遺伝の疾患である。progranulin遺伝子も17番染色体にあり、progranulin遺伝子変異による前頭側頭型認知層はFTDP(PRGN)と区別される。発症年齢は20~65歳、臨床症状は前頭葉型の認知症(性格変化、反社会的行動、自制力の欠如、性的行動異常、遂行機能障害、記銘力低下など)、振戦、固縮、無動、突進現象、歩行障害などからなるパーキンソン症候群が主体である。 FTDP-17(PRGN)(17番染色体に連鎖する前頭側頭型認知症パーキンソニズム) FTDP-17(PRGN)とは17番染色体のprogranulin遺伝子変異によって起きる認知症とパーキンソン症候群を主徴とする優性遺伝の疾患である。progranulin遺伝子はタウ遺伝子と1.7Mb離れているだけで同じ17番染色体長腕に位置する。症状はFTDP-17(MAPT)に比べると個人差が多い。 FTLD-U(ユビキチン封入体を伴う前頭側頭型認知症) アルツハイマー型認知症 詳細は「アルツハイマー型認知症」を参照 ハンチントン病 詳細は「ハンチントン病」を参照 PKAN(pantothenate-kinase-associated neurodegeneration) PKANは1922年HallervordenとSpatzが初めて報告した疾患である。発症年齢は10歳から30歳程度である。臨床症状は多彩でジストニア、コレア、アテトーシスが前景にたつが、さらに動作緩慢、固縮、歩行障害、すくみ足などパーキンソン症候群を示す。症例によっては網膜色素変性、視神経萎縮、小脳失調、痙攣、筋萎縮、認知症などを示す。病理所見では鉄が淡蒼球と黒質に溜まるのが特徴である。常染色体劣性遺伝でありPANK2の変異が原因である。PANK2はアセチルCoAの生合成の酵素の遺伝子である。この遺伝子異常の結果脳に鉄が沈着するNBIA(neuronal brain iron storage disease)となる頭部MRIでは淡蒼球にT2低シグナル化とその中に等シグナルの領域が出現して虎の顔のように見える特徴がある。鉄の沈着を防ぐためキレート剤であるデフェリプロン(英語版)(サラセミア治療でも用いることがある)を用いるという治験がアメリカで行われた。 Neuroferritinopathy Neuroferritinopathyは常染色体優性遺伝の疾患で19番染色体長腕にあるferritin light chainの遺伝子、FTL1の変異でおこる疾患である。脳にフェリチンと鉄が沈着し神経細胞死が起きる。発症年齢は13歳から63歳である。臨床症状はジストニア、コレア、パーキンソン症候群、小脳失調が知られている。特に顔面領域、口唇、舌におきるジストニア著明である。進行すると皮質下認知症も出現する。神経病理では被殻、線条体のかなりの部分は組織が崩壊し、空洞化がみられる。この空洞化は淡蒼球にまでおよぶ。組織が残存している部分には免疫染色でフェリチンと鉄の沈着が認められる。検査所見では血清フェリチンレベルが低下し、脳MRIでは淡蒼球、黒質、赤核、小脳歯状核にT2低シグナルが現れ、被殻、尾状核にはT2高シグナルが現れる。T1WIではT2WIで低シグナルになった領域が高シグナルになる。T2低シグナルは鉄の沈着を反映し、T2高シグナルは組織の変性を反映する。ドパミントランスポーターのSPECTは正常である。 セルロプラスミン欠損症 詳細は「セルロプラスミン欠損症」を参照 肝レンズ核変性症(ウィルソン病) 詳細は「肝レンズ核変性症」を参照 脆弱X関連振戦/失調症候群(FXTAS) FXTASはX染色体にある脆弱X遺伝子(FMR1)の5'側にある非翻訳領域のCGG繰り返し配列の部分伸長による神経変性疾患である。症状の強さは伸長の強さに並行する。伸長したmRNAはtoxic gain of functionを示し、これが発症機序と考えられる。脆弱X症候群の完全変異では脆弱X症候群のタンパク質が作られず精神薄弱を呈する。発症年齢は成人男子で60歳代が多い。女性の保因者に症状が出現することはあるが軽度である。認知症、精神症状、企図振戦、体幹失調、パーキンソン症候群、末梢神経障害を示す。頭部MRIでは白質にT2延長病変、大脳皮質の萎縮、中小脳脚のT2延長病変が特徴である。FXTASは通常企図振戦が主症状であり安静時振戦、固縮、後方突進などは稀である。 ゴーシェ病 ゴーシェ病の原因であるGBA遺伝子の変異があると孤発性パーキンソン病になりやすいとされているがその原因は未だ不明である。
※この「二次性パーキンソン症候群」の解説は、「パーキンソン症候群」の解説の一部です。
「二次性パーキンソン症候群」を含む「パーキンソン症候群」の記事については、「パーキンソン症候群」の概要を参照ください。
- 二次性パーキンソン症候群のページへのリンク