乳幼児以外の平均寿命短縮の要因
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/17 15:00 UTC 版)
「平均寿命」の記事における「乳幼児以外の平均寿命短縮の要因」の解説
1971年から1980年のデータで糖尿病患者と日本人一般の平均寿命を比べると男性で約10年、女性では約15年の寿命の短縮が認められた。このメカニズムとして高血糖が生体のタンパク質を非酵素的に糖化反応を発生させ、タンパク質本来の機能を損うことによって障害が発生する。この糖化による影響は、コラーゲンや水晶体蛋白クリスタリンなど寿命の長いタンパク質ほど大きな影響を受ける。例えば白内障は老化によって引き起こされるが、血糖が高い状況ではこの老化現象がより高度に進行することになる。同様のメカニズムにより動脈硬化も進行する。また、糖化反応により生じたフリーラジカル等により酸化ストレスも増大させる。 アルコールの過剰摂取により平均寿命が短縮することが指摘されている。ロシア人男性の平均寿命は2000年時点で59.0歳と下位中所得諸国並みの水準であった。この原因の一つとして、ウォッカの飲み過ぎによるアルコール過剰摂取が挙げられている(ロシアではストレートで飲むのが普通。但し、健康的なライフスタイルを志向したり、若年世代の場合はその飲み方をする人は少ない)。ロシアがん研究センターや、イギリスオックスフォード大学が、ランセットで発表したところによると、ロシア人の死亡率はウォッカの規制とともに変動してきたと指摘している。この状況に対してプーチン大統領は、アルコールに関する規制政策(午後11時~翌朝8時の酒類の店頭販売禁止、ウォッカなどの蒸留酒の小売店最低価格の引き上げ、マスメディアでの広告禁止などの措置)を行った。更に若い世代を中心に、アルコール飲料を飲まないか、アルコール度数の高いウォッカやコニャックよりも、より度数の低いビールやワインを選ぶ人が多くなった。その結果、1人当たりのアルコール消費量が2003年から2016年にかけて約43%減少し、ロシア男性1人当たりの消費量はWHOの統計より年間19.1L(2016-2018年の3か年平均)とフランスやドイツの男性よりも少なくなった。その影響により、平均寿命は2019年時点で68.2歳と約9.2年延びたが、下位中所得諸国並みの水準のままとどまっている。 また、大気汚染や喫煙も寿命を縮める原因になっていると指摘されている。2020年3月3日に欧州心臓病学会による発表によれば、世界全体の平均寿命に対して喫煙は約2.2年に対して、大気汚染は喫煙よりも多い約3年で寿命が縮まることが指摘された。そして、大気汚染が喫煙よりより多く縮めさせる大きな要因は大気汚染によって引き起こされる病気のうち、心血管疾患であり、化石燃料の使用を止めて大気汚染が減少すれば、世界の平均寿命が約1年延びると推計されている。
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