主な大火
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/02 09:08 UTC 版)
以下に江戸時代に発生した主な大火をあげる(月日は、上段は旧暦、下段は新暦)。大火のうち、明暦の大火・明和の大火・文化の大火を総称して江戸三大大火と呼ぶことがある。 年月日名称別称/通称死者数概略1601年/慶長6年閏11月2日(1601年12月26日) /(死者数不詳) 江戸で記録された最初の大火。被災状況は詳らかではないが、江戸全市を焼亡したという。 1641年/寛永18年1月29日か30日(1641年3月10日か11日) 桶町の大火 000400/死者400以上 京橋桶町から出火し、烈風により延焼。焼失した町97・武家屋敷123。鎮火の陣頭指揮を執っていた大目付の加賀爪忠澄が煙に巻かれて殉職。要請を受けて消火活動を行っていた相馬藩主・相馬義胤が事故で重傷。防火体制の見直しが行われ、大名火消設置の契機となった。 1657年/明暦3年1月18日、19日(1657年3月2日、3日) 明暦の大火振袖火事 107000/死者は最大で10万7000と推計 山の手3箇所から出火し、両日とも北西風により延焼。江戸の大半が被災し江戸城天守も焼失した。江戸時代最大の被害を出した大火であり、江戸の都市計画や消防制度に大きな影響を与えた。 1682年/天和2年12月28日(1683年1月25日) 天和の大火八百屋お七の火事 003500/死者830–3500 駒込大円寺から出火し、北西風により延焼。焼失した武家屋敷241・寺社95。 1698年/元禄11年9月6日(1698年10月9日) 勅額火事中堂火事 003000/死者3000 京橋南鍋町から出火し、南風により延焼。焼失した町326・武家屋敷308・寺社232・町家1万8700。 1704年/元禄16年11月29日(1704年1月6日) 水戸様火事 /(死者数不詳) 小石川水戸屋敷から出火し、火事の途中で風向きが変わった(南西風から北西風)ため被害が拡大した。焼失した武家屋敷275・寺社75・町家2万。この6日前の11月23日に起きた元禄地震に伴い市内各地で発生した火災と合わせると、焼失面積では明暦の大火を上回るものになるという。 1717年/享保2年1月22日(1717年3月4日) 小石川馬場火事 000100/死者100以上か 未の下刻に小石川馬場の武家屋敷から出火し、西北風で延焼した。 1745年/延享2年2月12日(1745年3月14日) 六道火事 001323/死者1323 午の上刻に千駄ヶ谷の青山六道辻から出火し、北西風により延焼。焼失家屋2万8678。 1760年/宝暦10年2月6日(1760年3月22日) 宝暦の大火明石屋火事 /(死者数不詳) 神田旅籠町の足袋屋・明石屋から出火し、北西風で延焼。日本橋、木挽町、さらに深川から洲崎まで焼失。460町、寺社80ヶ所焼失。 1772年/明和9年2月29日(1772年4月1日) 明和の大火行人坂の火事 014700/死者1万4700行方不明者4060 目黒行人坂大円寺から出火し、南西風により延焼。焼失した町904。 1806年/文化3年3月4日(1806年4月22日) 文化の大火車町火事牛町火事 001200/死者1200 芝車町から出火し、南西風により延焼。焼失した町530・大名屋敷80・寺社80。 1829年/文政12年3月21日(1829年4月24日) 文政の大火神田佐久間町の火事 002800/死者2800 神田佐久間町から出火し、北西風により延焼。焼失家屋37万。 1834年/天保5年2月7日(1834年3月16日) 甲午火事 004000/死者4000 神田佐久間町から出火し、北西風により延焼。以後2月13日まで火事が連続して発生した。 1845年/弘化2年1月24日(1845年3月2日) 青山火事 000900/死者800–900 青山から出火し、北西風により延焼。焼失した町126・武家屋敷400・寺社187。消火活動の際、町火消の新門辰五郎率いる「を組」と久留米藩有馬家の有馬頼永率いる大名火消とが乱闘になり、死傷者が出た。 1855年/安政2年10月2日(1855年11月11日) 地震火事 026000/死者4500–2万6000 この日に起きた安政江戸地震にともない江戸市内の各所から出火して大火となった。 このように、大火では大きな被害が発生し、記録にも残されている。一方、小火が連続し、結果的に大火以上の範囲に被害をもたらした例もあった。1716年(正徳6年)・1717年(享保2年)・1721年(享保6年)・1771年(明和8年)などの火事があげられる。
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