両チームにまつわる "呪い"
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/23 10:15 UTC 版)
「2016年のワールドシリーズ」の記事における「両チームにまつわる "呪い"」の解説
両チームともシリーズ制覇から見放されてきた期間が長いだけに、その歴史は球団に何らかの "呪い" がかけられた結果の産物である、とまことしやかに語られてきた。インディアンスにかけられたとされるのが "ロッキー・コラビトの呪い" であり、カブスにかけられたとされるのが "ビリー・ゴートの呪い" である。 コラビトの呪いは、オハイオ州クリーブランドの地元紙『プレイン・ディーラー』記者テリー・プルートが、1994年出版の著作で提唱したもの。コラビトは1955年9月にインディアンスでデビューすると、1958年から2年連続で40本塁打・110打点を記録、特に1959年には本塁打王のタイトルを獲得し、チームが首位から5.0ゲーム差の2位につける原動力となった。しかし1960年のシーズン開幕直前に、インディアンスはトレードでコラビトを放出する。コラビト本人が認めるように当時のGMフランク・レインとコラビトの間には確執があり、さらにチーム随一の人気選手であるコラビトに対してレインが嫉妬していたことが、このトレードの遠因となったとされる。それ以降インディアンスは長い低迷期に突入し、1960年から1993年までの34シーズン中で首位とのゲーム差を11.0以内で終えたのが、選手会のストライキによる短縮シーズンとなった1981年の一度だけという有様に陥った。あまりの弱小ぶりに、1989年には映画『メジャーリーグ』の舞台となったほどであった。その後、1995年からは一転して5年連続の地区優勝を果たし、1995年と1997年にはワールドシリーズに進出するがいずれも敗退。1997年のシリーズでは、最終第7戦で1点リードを9回に追いつかれ、延長戦の末にサヨナラ負けを喫している。今回はそれ以来19年ぶりのシリーズ出場となる。 ビリー・ゴートの呪いは、1945年のワールドシリーズ第4戦で起きたとされる故事に由来する。ビリー・サイアニスという男が、イリノイ州シカゴで "ビリー・ゴート・タヴァーン" という居酒屋を営んでいた。彼はマーフィーと名付けたヤギを店のマスコットとして飼っており、そのマーフィーとともに第4戦を観戦しようとチケットを2枚購入してリグレー・フィールドへ赴いたが、マーフィーの悪臭を理由に入場を断られた。サイアニスは激怒し「カブスはもう勝てない。この球場がヤギの入場を認めない限り、ワールドシリーズでの優勝は二度とない」と言い放った。するとカブスは、その日から本拠地で開催された4試合のうち3試合に敗れ、2勝1敗から逆転をくらってシリーズ優勝を逃したのみならず、翌1946年以降はシリーズへの進出すら果たせなくなった。1969年には8月16日時点での最大9.0ゲーム差を1か月でひっくり返されてポストシーズン進出を逃し、2003年にはあとアウト5つで58年ぶりのシリーズ進出という場面から観客のファウルフライ捕球妨害をきっかけに逆転負け、2015年のリーグ優勝決定戦ではヤギと同名のダニエル・マーフィーに4試合連続で本塁打を浴び1勝もできず、と悲劇的な敗退を繰り返す。しかし2016年は、奇しくも46年前にサイアニスが亡くなった日と同じ10月22日に、リーグ優勝決定戦突破と71年ぶりのシリーズ進出を決めた。 ボストン・レッドソックス時代のセオ・エプスタイン(左。写真は2007年10月30日撮影)とテリー・フランコーナ(写真は2011年4月27日撮影) チームが長期間にわたって優勝から見放されているときに、その原因を呪いに求める例はほかにもある。そのなかでも特に著名なもののひとつに、ボストン・レッドソックスの "バンビーノの呪い" がある。レッドソックスは、1910年代終了時点でシリーズ優勝が全球団最多の5度を数える強豪だった。しかし1919年のシーズン終了後に、レッドソックスは主力選手の "バンビーノ" ことベーブ・ルースをニューヨーク・ヤンキースへトレードで放出する。それ以降レッドソックスが優勝できなくなったのは、このときに呪いがかけられたからだ、というのがこの話の要旨である。レッドソックスは2004年に86年ぶりのシリーズ制覇を成し遂げ、バンビーノの呪いに終止符を打った。このとき、レッドソックスのGMを務めていたのがセオ・エプスタインで、監督として指揮を執っていたのがテリー・フランコーナである。それから12年が経ち、今シリーズではエプスタインがカブス編成本部長、フランコーナがインディアンス監督として、敵味方に分かれて相対することとなった。エプスタインはフランコーナとの対戦について「ワールドシリーズに出られるってだけでも特別なことなのに、いい思い出がたくさん蘇ってくるんだからたまらないね。ただ彼はポストシーズンに入るといつも以上に采配が冴えるから、敵に回した今となっては厄介なんだよなぁ」と述べている。
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