不法パーソナル無線
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/18 07:15 UTC 版)
「パーソナル無線」の記事における「不法パーソナル無線」の解説
不法無線局も参照 登場の一年ほど後から、利用者には分からないはずのチャンネルを表示する「チャンネル表示」、任意のチャンネルを指定できる「チャンネル固定」、ROM無しで送信できる「ROM無し送信」、送受信周波数範囲を拡大しパーソナル無線周波数帯を逸脱する「多チャンネル化」など、俗に「スペシャル機」などと呼ばれる不法改造機による、特定チャンネルの占有やパーソナル無線周波数帯の上下で運用する各種の業務無線に妨害を与えるオフバンド運用、また出力の増幅器(パワー(ブースター)アンプ)を接続し、不法CB無線と同様に幹線道路沿線のテレビ、ラジオ、有線放送をはじめ、店舗の自動ドアの開閉に影響を与えるなどの不法な運用が問題となっていった。 パーソナル無線機の改造には、ソフトウエアのソースコード、メモリマップ、コントロール仕様などの情報やICEなどの開発システムが必須である。初期の機種は一般的なEPROMが使われていた為、改変したデータをROMに書き込んで挿し換えるだけ、もしくは簡単な変更で改造が出来た。後に改造対策として使われるようになった一般には手に入りにくい表面実装ROM内蔵CPUも、改変したデータが書き込まれたCPUと交換して改造されていた。合成樹脂などで固められた基板は樹脂を溶かしたり、基板ごと交換する荒技も存在した。 出力を増大するパワーアンプはUHF帯ゆえに比較的高い技術が必要であった。当時のトランジスタでは単品では50W程度が限度だったため、これを超える出力の物は複数のアンプの出力を合成して100~200Wの出力を得ており、200W以上の物はほとんどなかったようである。 昭和60年版通信白書(現 情報通信白書)には「ハイパワーの不法コードレス電話,不法改造パーソナル無線,37MHz帯不法無線局,不法ミニFM局,不法ミニTV局等,新しい形態の不法無線局が出現してきており」とあり、この頃には問題を認識していたことがわかる。 1992年(平成4年)より、不法パーソナル無線に警告するため、電監規正局が免許されている。種別は特別業務の局、免許人は総務省、通信の相手方は「本無線局の発射する周波数の電波が受信可能な受信設備」、空中線電力は25Wで、可搬型の無線機にボイスレコーダーが接続され録音された内容を一方的に送信する同報通信を行う。電監規正局の操作は、第三級陸上特殊無線技士以上の無線従事者またはその監督下でなければ行うことは出来ない。 1994年(平成6年)に不法無線局の内、不法開設の多い周波数帯のものを特定不法開設局と、これに用いられる無線機は指定無線設備と規定され、これらの無線機の小売業者は指定無線設備小売業者として「免許を申請する必要があり、免許が無いのに使用した場合は刑事罰に処せられる。」ことを呈示しなければならないことが義務付けられた。この規定に違反した業者に対し必要な措置を講ずべきことを指示することができる、つまり行政指導の対象となるとされた。 不法市民ラジオ用と不法パーソナル無線用の無線機が指定無線設備とされた。 社会問題化した不法パーソナル無線は、不法市民ラジオと不法アマチュア無線とあわせて「不法三悪」と呼ばれるようになった。 「不法三悪」の語がインターネットアーカイブで確認できる最古のものは、1997年(平成9年)の北海道電気通信監理局の広報資料にある。 2013年(平成25年)の平成25年度版情報通信白書に「不法三悪」の語が登場したが「かつての「不法三悪」による混信・妨害が減少している一方、輸入無線機による混信が増えている」と分析している。制度廃止により無線機が生産されなくなるに伴い流通する台数も減少して淘汰されたということである。不法市民ラジオもアメリカ向けの無線機が国内で生産されなくなり、同様に減少している。
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