ロンドン港湾の歴史とは? わかりやすく解説

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ロンドン港湾の歴史

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/14 03:20 UTC 版)

ドックランズ」の記事における「ロンドン港湾の歴史」の解説

ローマ時代から中世まで、ロンドン船着場シティ・オブ・ロンドンとその対岸サザークサウス・バンク)の間のテムズ川岸、プール・オブ・ロンドンPool of Londonロンドン波止場にあったが、陸揚げした貨物や船の中の貨物保護する施設がなくたびたび盗賊狙われた。プール・オブ・ロンドンには、シティ・オブ・ロンドンから特権与えられ荷役人夫(シティ・ポーター)がおり検量荷役携わっていたが、荷主の間からは料金高く腐敗したシティ・ポーターをはずそうという動きもあった。また、波止場には17世紀以降急増する船をさばくだけの余裕がなかった。こうして、ロンドン以外のテムズ川河口地方港湾貨物逃げ始めていた。 1696年テムズ川南岸サザークの東(下流側)の半島、ロザーハイズに、この地の地主であったベッドフォード公爵ウィリアム・ラッセルらによって「ハウランド・グレート・ドック」(後に拡大されサリー商業ドックとなる)が完成した。このドック長方形大きな堀で、120隻の大型船停泊させることができた。荷役のための通路倉庫周り囲う壁などはまだ設けられていなかったが、シティの外の私有地にありポーター特権及ばず貨物や船の安全などの問題改善されたため、たちまちロンドン一の港湾となり、後のドック雛形となった1802年の西インドドックを皮切りに19世紀入りロンドン塔東側ワッピングその先ドッグ島などにさまざまな会社によって次々と大型ドック完成しロンドン港はヨーロッパ大英帝国各地から貨物集散する世界一港湾となったドックにもいくつかの種類があり、ウェットドック(泊渠)は堀の入り口閘門周囲倉庫防壁設けたもので、船が入って停泊し荷役をすることができた。ドライドック乾船渠)は小型のもので、船を入れた後に堀から抜き修理をするためのものであった同様の構造で船を作る造船所テムズ川沿いにあり、その他倉庫船着場びっしりテムズ川沿いに並んでいた。また、ドック砂糖穀物材木など貨物種類ごとに特化して荷役施設作っていることが多かったこうした貨物ドックランズからイギリス各地へ、はしけに積まれ運河経由で、あるいは鉄道などで送られた。 ドックランズには船からはしけに貨物上げ下ろしする沖仲仕(Lightermen)や、はしけや船から陸に貨物上げ下ろしする陸仲仕など港湾労働者多く集まった。はしけを持ち会社組合作る沖仲仕など熟練労働者もいたが、多く日雇い未熟労働者で、毎日早朝フォアマン現場監督)による荷役仕事募集応じるためパブ集まっていた。仕事有無内容給与パブ行ってからでないと分からず、割のいい仕事ありつけるかは一種ギャンブルであった。こういった労働形態第二次大戦後まで続いた。 もともと低湿地農業向いていなかった無人ドックランズ周辺には労働者相手パブ宿屋集合住宅など下町急速に形成されたが、市内からは数本の道しかなく、隔絶した貧困な(しかし強固なコミュニティ形成しており、ギャングなどの犯罪温床になる一方団結して政府対し抗議行動起こすこともあった。 19世紀末になると、イギリス港湾大陸ヨーロッパ港湾対し相対的地位低下しつつあった。行政が強い権限を持つ大陸ヨーロッパ諸港に対し、同じ港内港湾会社ひしめき相互に調整取れていないこともイギリス港湾弱みみなされた。1909年ドック経営する民間会社物流効率化利害調整労働問題改善などのため「ロンドン港湾局」に統合された。世界最初期ポート・オーソリティであるロンドン港湾局のもと、ドックランズはロイヤルドックのキングジョージ5世ドックまで拡大し、さらに下流のティルバリーにまで多くドック内陸港湾が形成された。 第二次大戦時バトル・オブ・ブリテンにおけるロンドン空襲により、ドック群は集中的な攻撃を受け大きく破壊された。復興には1950年代までかかりドックランズは再び繁華な港湾となったが、その終焉は突然訪れたコンテナによる海上運送陸上運送物流革命により、船会社寄航先をコンテナ対応しないドックランズから、コンテナ化成功したティルバリーへ、さらに外海面し水深が深いため大型船舶入港できるフェリクストウ移転したのである1960年代から1980年代までにかけてすべてのドック営業停止しロンドン都心真横21平方km廃墟誕生した港湾労働者多く住むロンドン東部イーストエンドには失業者溢れ、それに絡む諸問題頻発した

※この「ロンドン港湾の歴史」の解説は、「ドックランズ」の解説の一部です。
「ロンドン港湾の歴史」を含む「ドックランズ」の記事については、「ドックランズ」の概要を参照ください。

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