ラグビーユニオンの先行競技
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/04 09:50 UTC 版)
「ラグビーユニオンの歴史」の記事における「ラグビーユニオンの先行競技」の解説
「中世フットボール」も参照 ラグビーフットボールはラグビー校で法典化されたものの、ラグビーをプレーする多くの国々にはラグビーと似たフットボール競技が前から存在した。 ラグビーと似た様々な形態の伝統フットボールはヨーロッパやその外側に至るところでプレーされてきた。これらの多くには、ボールを手で扱うこと、スクラミッジの形成が含まれた。例えば、ニュージーランドのキ・オ・ラヒ(英語版)、オーストラリアのマーングルーク(英語版)、日本の蹴鞠、ジョージアのレロ・ブルティ(英語版)、スコッティッシュボーダーズのジェダート・バ(英語版)とコーンウォールのコーニッシュ・ハーリング(英語版)、中央イタリアのカルチョ・フィオレンティノ、ウェールズ南部のクナパン(英語版)、イースト・アングリアのキャンプボール(英語版)、アイルランドのケイド(英語版)(ゲーリックフットボールの先祖)などである。 イングランドにおいてほぼ確実にフットボールであったゲームの最初の詳細な記述は、およそ1174–1183年にウィリアム・フィッツスティーヴン(英語版)によって残されている。フィッツスティーヴンは、告解の火曜日の年中行事中のロンドンの若者の活動を記述した。 昼食をすませると、ロンドンのすべての若者は、ball game(球技)に参加するためにfields(フィールド、試合場)へと出かけていった。それぞれの学校の生徒は自分達のボールを持っていた; 各都市の組合の労働者もまた自分達のボールを持って来ていた。年配の市民、父親達、裕福な市民は、彼らの息子達が競いあうのを見るために、そうして若かりし頃の自分たちを思い重ねるために、馬に乗ってやってきていた。 フットボール競技、特に最も乱暴で破壊的な形態のフットボールを禁止する幾多の試みが行われてきた。これは、特に中世と近世(英語版)のイングランドやその他のヨーロッパ地域で当て嵌まった。1324年から1667年の間、イングランドだけでも、30以上の国家法と地方法によってフットボールは禁止された。このような法律を繰り返し布告する必要があったことは、人気のある競技を禁止することがいかに困難であったかを証明している。イングランド王エドワード2世は、ロンドンにおけるフットボールの手に負えなさに悩まされ、1314年4月13日にフットボールを禁止する声明を発表した。 「この都市においてやかましい音の原因となっている大きなボールを追い掛け回す行為は神が禁じる邪悪を生じることから、我々は、国王の代理として、今後そのような競技をこの都市で禁止することを命ずる。さもなくば禁固刑」。 1531年、トーマス・エリオット(英語版)はイングランドの「フットボール(footeballe)はけだもののような激しさと過激な暴力以外のなにものでもない」と書いた。 ボールを手にもって運ぶプレーを含むフットボール競技は、ウィリアム・ウェブ・エリスがこういったプレーを発明したと主張されている時代に至るまで、世紀を超えてプレーされ続けた。早ければ1440年にも記録され、19世紀まで生き残っていた一つの形態が、キャンピング(Camping)、キャンパン(Campan)、キャンプボール(Camp-ball)、キャンピオン(Campyon)などと様々に呼ばれていたイースト・アングリアの競技である。これは、前進を継続するためにボールを手で持って運ぶこと、ボールを選手から選手にトスすることに明白に基づいていた。1823年(皮肉にもラグビーの「発明」の年である)にこの競技について書いた観察者によれば、 「それぞれの部隊(party)は、10または15ヤード離れた2つのゴールを有する。部隊は、1サイドが10または15人で、横に隊列を組んで、自分達のゴールと対戦相手との間の中央に約10ヤードの距離を取って互いに向い合う。公平な観客がクリケットボールの大きさのボールを向かい合った選手らの中間で投げ上げ、そして脱出する。落下してくるボールを掴み取るために選手が殺到する。最初にボールを捕まえた選手が自陣(home)へ疾走し、仲間の助けを受けながら、対戦相手の間を前進する。もし捕まえられる、というよりは捕えられる危険があるならば、ボールを保持したまま捕まるとsnotchを失うので、あまり包囲されておらず、より自由で、より元気のある仲間へとボールを投げる(決してボールを手渡してはならない)。もしその過程でボールを狙う相手や注意深い対戦相手にに阻まれたり押し退けられたりしなければ、ボールは捕球され、そして同じように自陣の方へ急ぎ、同じように追い掛けられ、困らせられ、助けを受ける。どうにかして、ゴール内にボールを運ぶあるいは投げ入れると、notchまたはsnotchを獲得する。Snotchを失ったり得たりすると、はじめから再開される。」
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