ベルガマスクくみきょく【ベルガマスク組曲】
ドビュッシー:ベルガマスク組曲
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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ドビュッシー:ベルガマスク組曲 | Suite bergamasque | 作曲年: 1890, revised 1901年 出版年: 1905年 初版出版地/出版社: Fromont |
楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例![]() |
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1 | プレリュード "Prélude" | 4分00秒 | No Image |
2 | メヌエット "Menuet" | 4分30秒 | No Image |
3 | 月の光 "Clair de lune" | 4分30秒 | No Image |
4 | パスピエ "Passepied" | 4分00秒 | No Image |
作品解説
この作品は4つの小曲から成っている。初期のピアノ作品で、1890年ころから書き始めたが、完成に至るまではほぼ15年という長い年月がかかっている。ドビュッシー独自の語法はまだ確立しておらず、マスネ、グリーグ、サン=サーンスなどの影響が顕著にみられる。
「ベルガマスク」というタイトルの由来については、いろいろな説がある。イタリア在学中、北部イタリアのベルガモ地方を訪問した際、その地方独特の舞曲「ベルガマスカ」に強い影響をうけ、この名前もそこに由来している、というものや、詩人ヴェルレーヌの詩集《雅びた宴》のなかに出てくる「18世紀の宮廷的(ベルガマスク)な」という言葉が関係しているであろう、というものがある。
〔第一曲〕プレリュード
モデラート、四分の四拍子。和音に支えられた印象的な旋律が、リズムの変化や楽句の反復により展開していく。
〔第二曲〕メヌエット
アンダンティーノ、四分の三拍子。「きわめてデリケートに」と指示があり、その敏感な動きは、18世紀フランスのクラヴサン作曲家の作品に通じるような、洗練された美しさがある。
〔第三曲〕月の光
アンダンテ・トレ・エクスプレシィフ、八分の九拍子。ドビュッシーの作品の中でも一般的に広く親しまれている曲。ヴェルレーヌの詩集『雅びた宴』の中の一つ、「月の光」でも、ベルガマスクという言葉がみられる。この詩では、一見楽しそうではあるが、仮面の下には悲しみや郷愁の念をかくしもっている道化師たちの様子がうたわれている。
〔第四曲〕パスピエ
アレグレット・マ・ノン・トロッポ、四分の四拍子。パスピエは本来3拍子のフランスの古舞曲であるが、ドビュッシーは、四拍子で作曲している。
※参考:金子一朗 ドビュッシー探究 ⇒こちら
ベルガマスク組曲
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/03 04:08 UTC 版)
『ベルガマスク組曲』(フランス語: Suite bergamasque)はフランスの作曲家、クロード・ドビュッシーが1890年から1905年にかけて作曲したピアノ独奏曲。
概要
親しみやすい曲想で知られ、とりわけ第3曲「月の光」はドビュッシーの作品のなかでも最も有名であり、単独での演奏機会も多い。
1890年ごろに作曲されたが、1905年に改訂版が出版された。初期作品であり、和声法や旋律の感覚およびピアノの書法に、グリーグ、マスネ、フォーレなどの先人の影響がまだはっきり認められる。
タイトルの「ベルガマスク(「ベルガモの」、あるいは「ベルガモ舞曲」の意)」は、ポール・ヴェルレーヌの詩集『艶なる宴』(Fêtes galantes)に収録されている詩「月の光」(Clair de lune)の、"Que vont charmant masques et bergamasques"(現われたる艶やかな仮面喜劇者たちとベルガモの踊り子たちは)という一節に使用されている言葉である[1][2]。またこれに基づくガブリエル・フォーレの歌曲『月の光』(1886年-1887年)があり、その伴奏の一部に似た音形が『ベルガマスク組曲』の「前奏曲」に登場することなどから、ドビュッシーがヴェルレーヌやフォーレを意識したことを窺わせる[1][2]。同じ詩にはドビュッシーがその初期に単曲として歌曲を作曲しており、当時彼の心を射止めていたヴァニエ夫人に献呈されている。そしてその歌曲は改訂され、前述のヴェルレーヌの詩集による歌曲集「艶なる宴」に収録された[注釈 1][注釈 2]。ただしこの組曲内の「月の光」は、この歌曲版とは全く異なる音楽である。
当初、ドビュッシーは『仮面』(Masques)(前述の詩に基づく)および『喜びの島』(L'Isle joyeuse)をこの『ベルガマスク組曲』の中に加えようとしたが、出版社の都合でそれぞれ単独で出版された。
構成
音楽・音声外部リンク | |
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『ベルガマスク組曲』の試聴 | |
![]() Debussy:Suite bergamasque - アラン・プラネス(P)による演奏。France Musique公式YouTube。 ────── |
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![]() Debussy:Clair de lune - ジャン=クリストフ・スピノジ指揮hr交響楽団による演奏。hr交響楽団公式YouTube。 |
以下の4曲からなる。
- 第3曲 「月の光」 (Clair de Lune)

- 第4曲 「パスピエ」 (Passepied)
- 嬰ヘ短調、Allegretto ma non troppo、4分の4拍子。
- 終曲であり、再びバロック舞曲によっている。パスピエは一般に8分の3拍子だが、この曲は4分の4拍子である。こちらも当初のタイトルは「パヴァーヌ(Pavane)」となっており、パスピエでありながら4分の4拍子であるのはこの名残である[3]。
みんなのうた
みんなのうた 月の光 |
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歌手 | 芹洋子、東京トルベール |
作詞者 | 中山知子 |
作曲者 | クロード・ドビュッシー |
編曲者 | 石川皓也 |
映像 | 実写合成 |
初放送月 | 1971年8月・9月 |
「月の光」が、NHKの『みんなのうた』で1971年8月・9月に放送された。中山知子が作詞し、石川皓也が編曲、歌は芹洋子と東京トルベールが担当した。映像は実写と画像の合成。
再放送はされていないが、2011年10月21日発売のDVD-BOXの第4集に収録されている。また芹がキングレコード所属であるため、キングレコードから発売されたレコードやCDにも収録されている。
脚注
注釈
- ^ なお同じ詩にはフォーレが作曲した歌曲もあり、こちらは後にオーケストレーションが施され、劇音楽『マスクとベルガマスク』(ルネ・フォーショワの台本によるヴェルレーヌの詩をモティーフとした劇作品)に収められている(同曲の組曲版では省略)。一般的には歌曲ではこちらの方が有名である。
- ^ 前述のヴェルレーヌの詩ではmasquesは仮面劇の人物たち、bergamasquesはベルガモ風ではなく「ベルガモ舞曲を演じる人たち」と解釈するのが一般的である。
出典
参考文献
- 松橋麻利『ドビュッシー 作曲家・人と作品』音楽之友社、2007年。
関連項目
外部リンク
- ベルガマスク組曲の楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト
固有名詞の分類
- ベルガマスク組曲のページへのリンク