ベルガマスク組曲とは? わかりやすく解説

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ベルガマスクくみきょく【ベルガマスク組曲】

読み方:べるがますくくみきょく

原題、(フランス)Suite bergamasqueドビュッシーピアノ曲集。全4曲。1890年作曲1905年改訂第3曲「月の光」が特に有名で、単独でも演奏される


ドビュッシー:ベルガマスク組曲

英語表記/番号出版情報
ドビュッシー:ベルガマスク組曲Suite bergamasque作曲年1890, revised 1901年  出版年1905年  初版出版地/出版社: Fromont 

作品概要

楽章・曲名 演奏時間 譜例
1 プレリュード "Prélude"4分00 No Image
2 メヌエット  "Menuet"4分30秒 No Image
3 月の光  "Clair de lune"4分30秒 No Image
4 パスピエ  "Passepied"4分00 No Image

作品解説

2007年6月 執筆者: 和田 真由子

 この作品4つ小曲から成っている。初期ピアノ作品で、1890年ころから書き始めたが、完成に至るまではほぼ15年という長い年月かかっている。ドビュッシー独自の語法はまだ確立しておらず、マスネグリーグサン=サーンスなどの影響顕著にみられる
 「ベルガマスク」というタイトルの由来については、いろいろな説がある。イタリア在学中北部イタリアベルガモ地方訪問した際、その地方独特の舞曲「ベルガマスカ」に強い影響をうけ、この名前もそこに由来している、というものや、詩人ヴェルレーヌ詩集雅びた宴》のなかに出てくる「18世紀宮廷的(ベルガマスク)な」という言葉関係しているであろう、というものがある。

第一曲〕プレリュード
モデラート四分四拍子和音支えられ印象的な旋律が、リズム変化楽句反復により展開していく。

第二曲〕メヌエット
アンダンティーノ四分の三拍子。「きわめてデリケートに」と指示があり、その敏感な動きは、18世紀フランスクラヴサン作曲家作品通じるような、洗練された美しさがある。

第三曲〕月の光
アンダンテ・トレ・エクスプレシィフ、八分の九拍子ドビュッシー作品中でも一般的に広く親しまれている曲。ヴェルレーヌ詩集雅びた宴』の中の一つ、「月の光でも、ベルガマスクという言葉みられる。この詩では、一見楽しそうではあるが、仮面の下には悲しみ郷愁の念をかくしもっている道化師たちの様子うたわれている。

第四曲〕パスピエ
アレグレット・マ・ノン・トロッポ、四分四拍子パスピエは本来3拍子フランス古舞曲であるが、ドビュッシーは、四拍子作曲している。


参考金子一朗 ドビュッシー探究 ⇒こちら


ベルガマスク組曲

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/03 04:08 UTC 版)

ベルガマスク組曲』(フランス語: Suite bergamasque)はフランスの作曲家、クロード・ドビュッシーが1890年から1905年にかけて作曲したピアノ独奏曲。

概要

親しみやすい曲想で知られ、とりわけ第3曲「月の光」はドビュッシーの作品のなかでも最も有名であり、単独での演奏機会も多い。

1890年ごろに作曲されたが、1905年に改訂版が出版された。初期作品であり、和声法旋律の感覚およびピアノの書法に、グリーグマスネフォーレなどの先人の影響がまだはっきり認められる。

タイトルの「ベルガマスク(「ベルガモの」、あるいは「ベルガモ舞曲」の意)」は、ポール・ヴェルレーヌの詩集『艶なる宴』(Fêtes galantes)に収録されている詩「月の光」(Clair de lune)の、"Que vont charmant masques et bergamasques"(現われたる艶やかな仮面喜劇者たちとベルガモの踊り子たちは)という一節に使用されている言葉である[1][2]。またこれに基づくガブリエル・フォーレの歌曲『月の光』(1886年-1887年)があり、その伴奏の一部に似た音形が『ベルガマスク組曲』の「前奏曲」に登場することなどから、ドビュッシーがヴェルレーヌやフォーレを意識したことを窺わせる[1][2]。同じ詩にはドビュッシーがその初期に単曲として歌曲を作曲しており、当時彼の心を射止めていたヴァニエ夫人に献呈されている。そしてその歌曲は改訂され、前述のヴェルレーヌの詩集による歌曲集「艶なる宴」に収録された[注釈 1][注釈 2]。ただしこの組曲内の「月の光」は、この歌曲版とは全く異なる音楽である。

当初、ドビュッシーは『仮面』(Masques)(前述の詩に基づく)および『喜びの島』(L'Isle joyeuse)をこの『ベルガマスク組曲』の中に加えようとしたが、出版社の都合でそれぞれ単独で出版された。

構成

音楽・音声外部リンク
『ベルガマスク組曲』の試聴
全曲
Debussy:Suite bergamasque - アラン・プラネス(P)による演奏。France Musique公式YouTube。
  ──────
第3曲「月の光」(管弦楽版)
Debussy:Clair de lune - ジャン=クリストフ・スピノジ指揮hr交響楽団による演奏。hr交響楽団公式YouTube。

以下の4曲からなる。

  • 第1曲 「前奏曲」 (Prélude)
    ヘ長調Moderato、4分の4拍子
    冒頭部分は旋律と低音が反進行する形で進み、中間部では教会旋法の一種であるエオリア旋法で書かれている。
  • 第3曲 「月の光」 (Clair de Lune)
    変ニ長調Andante très expressif、8分の9拍子。
    ほとんどピアニッシモで演奏される夜想曲で、優しく切ない曲想で有名。中間部の優雅な旋律は教会旋法の一種ミクソリディア旋法が採用されている。なお、1900年から1901年にかけて出版されたドビュッシーの「夜想曲」に掲載されたこの曲集の広告では、当初のタイトルは「感傷的な散歩道(Promenade sentimentale)」となっていたが、後にこのタイトルへ変えられた[2]
第3曲「月の光」の中間部分
  • 第4曲 「パスピエ」 (Passepied)
    嬰ヘ短調Allegretto ma non troppo、4分の4拍子。
    終曲であり、再びバロック舞曲によっている。パスピエは一般に8分の3拍子だが、この曲は4分の4拍子である。こちらも当初のタイトルは「パヴァーヌ(Pavane)」となっており、パスピエでありながら4分の4拍子であるのはこの名残である[3]

みんなのうた

みんなのうた
月の光
歌手 芹洋子、東京トルベール
作詞者 中山知子
作曲者 クロード・ドビュッシー
編曲者 石川皓也
映像 実写合成
初放送月 1971年8月9月
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月の光」が、NHKの『みんなのうた』で1971年8月9月に放送された。中山知子が作詞し、石川皓也が編曲、歌は芹洋子と東京トルベールが担当した。映像は実写と画像の合成。

再放送はされていないが、2011年10月21日発売のDVD-BOXの第4集に収録されている。また芹がキングレコード所属であるため、キングレコードから発売されたレコードやCDにも収録されている。

脚注

注釈

  1. ^ なお同じ詩にはフォーレが作曲した歌曲もあり、こちらは後にオーケストレーションが施され、劇音楽『マスクとベルガマスク』(ルネ・フォーショワの台本によるヴェルレーヌの詩をモティーフとした劇作品)に収められている(同曲の組曲版では省略)。一般的には歌曲ではこちらの方が有名である。
  2. ^ 前述のヴェルレーヌの詩ではmasquesは仮面劇の人物たち、bergamasquesはベルガモ風ではなく「ベルガモ舞曲を演じる人たち」と解釈するのが一般的である。

出典

  1. ^ a b 松橋 2007, p. 101.
  2. ^ a b c d 松橋 2007, p. 180.
  3. ^ 松橋 2007, p. 181.

参考文献

  • 松橋麻利『ドビュッシー 作曲家・人と作品』音楽之友社、2007年。 

関連項目

外部リンク




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