ドビュッシー:仮面(マスク)
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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ドビュッシー:仮面(マスク) | Masques | 作曲年: 1904年 出版年: 1904年 初版出版地/出版社: Durand |
作品解説
1904年に作曲された<仮面>は、当初、<ベルガマスク組曲>の一曲に入れることが考えられていた。ドビュッシーが歌曲にしたヴェルレーヌの詩集<艶めく宴>のなかの<月の光>の一節に、"masques et bergamasques"とある。
ドビュッシーは<艶めく宴>にも描かれている華やかで滑稽であるが、その裏に潜む哀しい運命をテーマとしたイタリア喜劇ーコメディアデッラルテーに深い関心を抱い ていた。
このイタリア喜劇に仮面は欠かせない。ドビュッシーに学んだピアニスト、マルグリ ット・ロンは「仮面と題した音楽、ピアノのためのドラマともいえるでしょう。この作品は、ドビ ュッシーの性質をそのまま表しているように思えます。ドビュッシーは、皮肉でもって本心を隠 そうとする痛ましい熱意にとりつかれているのです。これは、イタリア喜劇ではなく人間存在の悲劇的な表現なのです」と語った。仮面の持つ二面性は、曲を通して交互にあらわれ、6/8、3/4のリズム、中間部との雰囲気のコントラスト、また調性が長調・短調の間を揺れ動くことなどによって表現されている。
1904年に作曲され、《喜びの島》とともに、1905年に初演が行われたが、あまり好評を得られなかった。前年に作曲された《版画》や、同時期にかかれた他の作品と比べて、低い評価を受けることがある。しかしながら、美しく幻想的な旋律や、独特のリズムによって、"道化"のキャラクターが生き生きと描きだされている。ドビュッシーは本曲において「人間の存在の悲劇的な表現」を目指したとされる。「きわめて快活に、そして幻想的に」との指示が付記されている。
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