ブダペストキャンパスの開設とその論争
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/27 04:57 UTC 版)
「復旦大学」の記事における「ブダペストキャンパスの開設とその論争」の解説
ハンガリーの首都ブダペストに復旦大学のキャンパスを2024年に開設する予定であり、建設費はハンガリーの高等教育予算1年分を上回る推計15億ユーロで、中国はうち13億ユーロを融資する。元請け業者は中国の建設会社に決定したが、入札は実施されず、地元行政区のブダペスト市九区(特別区)区長のバラニ・クリスティナ(ハンガリー語版)(Baranyi Krisztina [ˈbɒrɒɲi ˌkristinɒ])は「地元の誰も賛成していないのに、マンモス大学を造ろうとしている」「それを知ってショックを受けた。何もかも不透明だ。誰にも相談はなかった」と不満をあらわにしている。 復旦大学が2019年に大学憲章から「思想の自由」を削除したことも、ハンガリーの学問の自由をめぐる懸念を拡大させている。 復旦大学のキャンパス建設は、オルバーン・ヴィクトルが掲げる「東方開放政策」の一環であるが、中国に接近するオルバーン・ヴィクトルの外交姿勢や対中債務の急増に対する不安をかき立てており、EUとNATOの内側に中国を招き入れる「トロイの木馬」になると批判されており、キャンパス建設を中国人労働者が担い、ハンガリーの納税者がその費用を支払う計画は、「ハンガリーには何らメリットがないように見える」「(中国からの融資は)経済的主権の喪失」「対中債務がかさみつつあり、危険だ」と批判されている。 2021年6月2日、バラニ・クリスティナ九区区長はカラーチョニュ・ゲルゲイ(英語版)(Karácsony Gergely [ˈkɒrɑ̈ːt͡ʃoɲ ˌɡerɡej])ブダペスト市長(英語版)と共同で、大学の建設予定地を取り囲む四つの道路名を、38086/12番地の「船着き場通り」から「自由香港通り」に、38086/176番地の「橋造り街」からチベット仏教の最高指導者にちなんで「ダライ・ラマ通り」に改称し、新たに「大市場」の地域の38086/160 と38086/161番地を「ウイグル犠牲者通り」と、同じく「大市場」の地域の38086/186番地を迫害されたカトリック司祭の名前にちなんで「謝士光(ハンガリー語版)通り」と命名したと発表した。九区とブダペスト市は中国の人権問題を非難し、「大学建設計画が実現しないことを望むが、もし実現しても大学側はこれらの名前を我慢しなければならない」と述べている。これに対して、中国外務省は「極めて不愉快」「中国とハンガリーは極めて良好な関係を保っている」とコメントしている。ただし九区の道路名の命名および改称に関する決定は表向きはあくまでもCOVID-19 新型コロナウイルス感染症の緊急事態に対する対策の一環という形を取っている。 カラーチョニュ・ゲルゲイ(英語版)ブダペスト市長(英語版)は、ハンガリーの中国政府による広域経済圏構想「一帯一路」への参加により、中国への負債が積み重なるなかでハンガリーの経済危機が強まっており、復旦大学を誘致すれば、一層の中国依存から逃れられなくなると反対している。 2021年6月5日、ブダペストで復旦大学のキャンパス建設計画に反対する抗議デモが行われ、約1万人が参加した。カラーチョニュ・ゲルゲイ(英語版)ブダペスト市長(英語版)も参加した抗議デモでは、「復旦大はいらない! 東側ではなく西側!」と書かれプラカードや、「オルバーンとフィデスは反共を自称しているが、実際には共産主義者の仲間だ」として、オルバーン・ヴィクトルと所属政党フィデス=ハンガリー市民同盟は中国に擦り寄っていると批判するものもあり、デモ参加者は「独裁を持ち込むな」などとシュプレヒコールを上げた。 2021年6月10日、オルバーン・ヴィクトルは、復旦大学のキャンパスをブダペストに設置する計画について、住民投票で是非を問う方針を表明した。中国接近をもくろむオルバーン・ヴィクトルは設置を推進してきたが、市民の猛反発を受けて姿勢を後退させた。 ハンガリーのシンクタンクである共和党研究所の最新世論調査によると、ハンガリー国民の66%が復旦大学の設立に反対しており、支持しているのは27%に過ぎず、 ハンガリーメディアは、復旦大学の建設により、ハンガリーは少なくとも数十億ドルの対中債務を新たに抱え込むと報じている。
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