豚インフルエンザ
別名:ブタインフルエンザ、豚インフル
英語:pig influenza、swine influenza、swine flu
豚インフルエンザとは、豚がA型インフルエンザウイルスに罹患して発症する感染症である。特に、2009年に流行した「H1N1型」「インフルエンザA(H1N1)」と呼ばれる、新型インフルエンザウィルスを指すことが多い。
一般的に、豚インフルエンザは鳥インフルエンザなどよりは致死率も引き起こされる症状は軽い。豚インフルエンザも人に伝染する危険性があるが、普通のインフルエンザのような症状を引き起こすとされている。
2009年前半に、米国で人がH1N1型豚インフルエンザウィルスに感染した例が報告され、2009年6月にはWHOが「パンデミック」を宣言した。2010年8月に終息が宣言されている。
2011年にはインフルエンザA(H1N1)に通じる遺伝的特性を持った「H1N1亜型」のインフルエンザウィルスが発見されており、強い警戒が求められている。
関連サイト:
インフルエンザ対策 - 厚生労働省
ぶた‐インフルエンザ【豚インフルエンザ】
読み方:ぶたいんふるえんざ
A型インフルエンザウイルスに起因するブタの呼吸器感染症。人にも感染するが、多くの場合は局所的な流行にとどまり致死率は低い。1918年〜1919年にかけて世界的に流行したスペイン風邪の原因となったインフルエンザAH1N1ウイルスは、鳥類から豚を経由して人に感染したと考えられている。
[補説] 2009年、メキシコでブタ由来の新型インフルエンザウイルスAH1N1への感染が人の間で広がり、全世界に拡大。WHOはパンデミック警戒レベルを最高水準のフェーズ6まで引き上げた。日本でも若年者を中心に流行し、学級閉鎖が相次いだ。またワクチンの供給不足が問題となり、重症化が懸念される基礎疾患をもつ患者・乳幼児・妊婦などが優先的に接種を受けた。当初は「豚インフルエンザ」と呼ばれたが、WHOの呼称変更に従い「新型インフルエンザAH1N1」と呼ばれるようになった。
豚インフルエンザ
(ブタインフルエンザ から転送)
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(2020年5月) |
Swine flu | |
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別称 | Pig influenza, swine flu, hog flu, pig flu |
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H1N1インフルエンザウイルスの電子顕微鏡写真[1] | |
概要 | |
診療科 | 感染症 |
分類および外部参照情報 | |
GeneReviews |
インフルエンザ |
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豚インフルエンザ(ぶたインフルエンザ、swine influenza, swine flu, hog flu, pig flu)とは、豚に感染するインフルエンザウイルスを指す。豚由来インフルエンザ(swine-origin influenza virus, S-OIV)とも表記される。また、豚インフル、豚フルとも略称される。
豚由来のインフルエンザウイルスがヒトに感染して新型インフルエンザウイルスとなり、2009年に世界的な流行が発生した。詳細は2009年新型インフルエンザの世界的流行を参照。
ウイルスの種類
ウイルスの種類は、オルトミクソウイルス科のC型インフルエンザウイルス(属)、およびA型インフルエンザウイルス(属) H1N1、H1N2、H2N1、H3N1、H3N2、H2N3などが確認されている。
初めて確認されたのは、2009年のメキシコであり、3種類の様々なウイルスが交配されたものによるとされている[2]。遺伝子の6つがN1N2型インフルエンザと類似しており、これは2000年ごろに豚の間で広まったものである[2]。
このインフルエンザウイルスは、国立感染症研究所「病原体等安全管理規定」によりバイオハザードレベル3(個体に対する高い危険度、地域社会に対する低危険度)に分類される生物災害(人間と自然環境に重大な危険をもたらすような生態異変)の原因となりうるウイルスである[要出典医学]。
豚に感染した場合

ブタはヒト、トリのA型インフルエンザウイルスに容易に感染する。鳥インフルエンザも参照。
発症ブタは元気消失、食欲不振、発熱などの一般症状と鼻汁、発作性の咳、呼吸促拍などの呼吸器症状を示す。病理所見として呼吸器粘膜上皮のカタル性炎症、咽頭粘膜の充血、気管支や気管内の粘液貯留、無気肺、間質性肺炎、肺気腫などが認められる。ウイルスの分離は鼻汁拭い液、気管や肺病変部を発育鶏卵の羊膜腔内あるいは尿膜腔内接種して行う。特異的な治療法はないため、対症療法を行う。一般に予後は良好であり死亡率は1%以下であるが、肺炎に進行すると予後は悪く幼若ブタでは致死的となる。
日本においてブタの間で流行しているA型インフルエンザウイルスの主要な亜型はH1N1とH3N2の2亜型であり、この2亜型に対する不活化ワクチンが開発されている。異なる亜型の豚インフルエンザウイルス株が同時に同一細胞に感染した場合には、遺伝子再集合によって新型インフルエンザウイルスが出現する可能性がある(抗原不連続変異)。
人への感染例
1976年
豚インフルエンザが人へ感染した最初の発見例は、1976年2月にニュージャージー州フォートディクスのアメリカ陸軍訓練基地(Fort Dix)で死亡した19歳の二等兵の検死によるものである。同基地内で発病が疑われたのは数人だったが、500人以上が感染していることが分かった。事態を重く見た保健衛生当局の勧告に従い、フォード大統領は同年10月に全国的な予防接種プログラムを開始した。
結局、この時の感染は基地内にとどまって、外部での流行は無く(感染自体による)死者は兵士1人だった[3]。
約4000万人が予防接種を受けたが、予防接種の副作用で500人以上がギラン・バレー症候群を発症し、30人以上が死亡したため、12月16日にプログラムは中止された[要出典医学]。ワクチンが原因でギラン・バレー症候群となってしまったのは565件ともされ、30人の高齢者が予防接種を受けてから数時間以内に「説明不可能な死」を遂げていたという[4][信頼性の低い医学の情報源?]。
2009年
2009年には、インフルエンザウイルスA(H1N1)pdm09が流行した。
脚注
- ^ International Committee on onomy of Viruses. “The Universal Virus Database, version 4: Influenza A”. 2010年1月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年1月13日閲覧。
- ^ a b Gibbs, Adrian J.; Armstrong, John S.; Downie, Jean C. (2009-11-24). “From where did the 2009 'swine-origin' influenza A virus (H1N1) emerge?”. Virology Journal 6: 207. doi:10.1186/1743-422X-6-207. ISSN 1743-422X. PMC 2787513. PMID 19930669 .
- ^ “March 24, 1976: Ford Orders Swine-Flu Shots for All”. WIRED. (2008年3月24日) 2020年4月14日閲覧。
- ^ ロバート・メンデルソン『医者が患者をだますとき』p.234
参考文献
- 日本獣医内科学アカデミー編 『獣医内科学(大動物編)』 文永堂出版 2005年 ISBN 4-8300-3200-6
- 見上彪監修 『獣医感染症カラーアトラス』 文永堂出版 2006年 ISBN 4-8300-3203-0
関連項目
外部リンク
ブタインフルエンザ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/10 01:25 UTC 版)
ブタにおいてはA型インフルエンザウイルスの内、3つの亜型(H1N1、H3N2、H1N2)が世界中で豚インフルエンザを起こしている。米国では1998年までH1N1がブタの間で流行していたが、1998年後期からはH3N2が分離されている。 H3N2の多くは3重の遺伝子再集合を起こしており、ヒト(HA, NA, PB1)、ブタ(NS, NP, M)、トリ(PB2, PA)の3つの遺伝子領域を持っている。米国では、SIV(Swine Influenza Virus:ブタインフルエンザウイルス)のコントロールとブタへの感染予防のため、2価SIVワクチンの内の1つを使用している。近年分離された97株のH3N2の内、41株は3つのSIVワクチンに対して血清交差反応を起こした。インフルエンザワクチンは流行しているウイルスと一致しなければ効果がないため、H3N2が変異した場合は市販のブタに対するワクチンの効果がなくなる可能性がある。 H3N2トリインフルエンザウイルスは、もともと中国のブタの間で流行していたが、ベトナムのブタでも感染が確認され、新しい変異株が出現する可能性が高まった。ブタはヒトインフルエンザウイルスにも感染するが、それによってH5N1との間で遺伝子再集合を起こして変異する恐れがある。遺伝子再集合によって、ヒトに簡単に感染することが出来る株が出現する可能性がある。 H3N2はH2N2から抗原シフトによって誕生し、香港かぜを引き起こした。2006年1月のインフルエンザ感染者数では、H3N2の感染者数が最も多かった。一般的な抗ウイルス薬であるアマンタジンとリマンタジンの耐性株の割合が2005年までに91%に増加した。H5N1のようなトリインフルエンザウイルスと遺伝子再集合を起こして変異した場合は、大規模なパンデミックが起こることも考えられる。2004年8月、中国でブタからH5N1が発見された。
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