フェミニストアイコン
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「ワンダーウーマン」の記事における「フェミニストアイコン」の解説
1970年代にワンダーウーマンがいったん失った能力を取り戻したのは、雑誌『Ms.』の創設者であり、フェミニストアイコンであるグロリア・スタイネムに負うところがある。スタイネムは、最も有名な女性のスーパーヒーローが無力でボーイフレンドのことばかり考えている囚われの姫君であることに気分を害していた。スタイネムはコスチューム姿のワンダーウーマンを1972年の『Ms.』初号の表紙に登場させた。DCコミックスのオーナーでもあるワーナー・コミュニケーションズ(現タイム・ワーナー)は『Ms.』の投資者で、この雑誌にはキャラクターを高く評価するエッセイが含まれていた。ワンダーウーマンの力と伝統的なコスチュームは1973年1~2月の204号にて復帰した 。 1972年、革新的なアメリカ合衆国最高裁判所の判決(ロー対ウェイド事件)のちょうど1か月後、SF作家のサミュエル・R・ディレイニーは『Ms.』のために、私服のワンダーウーマンが妊娠中絶クリニックを守る物語を構想していた。しかし、ワンダーウーマンがコスチュームを身に付けないことにスタイネムが不満を示したため、この議論を呼びそうな物語は発表されなかった。 ワンダーウーマンの本来の意義は、男性のみが得るのではないものとして身体的、精神的強さ、価値、倫理的な特質を披露することで、全ての年齢の多くの女性に影響を与えようという意図があった。「ワンダーウーマンは、今、フェミニストたちがメインストリームに加えようとしている、女性の文化のものとされるたくさんの価値観を象徴している。それは女性の強さや自己に対する信頼、女性の絆、女性間の相互サポート、平和と生命の尊重であり、また『男らしい』攻撃性や、暴力が問題を解決する唯一の方法だという信念をなくしていくことだ」と当時スタイネムは書いた。 ワンダーウーマンの誕生と、ウィリアム・モールトン・マーストンがこのキャラクターをこうした形で作った理由の裏にある心理を考えることにより、マーストンの教育的、道徳的、倫理的価値観がよく理解できる 。「ウィリアム・マーストンは彼女をフェミニストのキャラクターにすることを意図し、若い男性たちに、有名なスーパーマンと同じように強いとも考えうる女性の無限の可能性を示した」と、グラディス・L・ナイトは、スーパーヒーローが1870年代から現在までに社会に及ぼした強い印象と影響を説明した。 マーク・ディパオロはワンダーウーマンの制作者と歴史を紹介し、「キャリア」の全段階において、いかに彼女が「第二次世界大戦の英雄で、フェミニストアイコン、セックスシンボル」であるかを論証した。ワンダーウーマンは多くの映画に出演し、赤、白、青のワンピースを着た、背が高くセクシーな、強い自己を持った女性として一般的に知られている。ディパオロによると、多くの人が知らないのは、ワンダーウーマンがいかに年齢、性別、民族、人種を問わず人々に影響を与え、それによってコミックとスーパーヒーロー世界の歴史に大きな地位を占めたかということである。「マーストンはコミックブックのキャラクター、ワンダーウーマンを力強くかつセクシーに作り、毅然と自己主張する強さを現実の女性が見習うよう願った」。 影響力のあるフェミニストアイコンとしての伝統を継続し、2015年にワンダーウーマンはコミックシリーズで初めて同性愛婚式を執り行うスーパーヒーローとなった。 2016年10月21日、国際連合がワンダーウーマンを女性や女子の地位の向上に対する国際連合名誉大使に任命し、議論を呼んだ。式典には国連広報担当事務次長クリスティーナ・ガラッチや女優のリンダ・カーター、ガル・ガドットが出席した。2か月後、「文化的注意が不足している」そして「国際連合が明白に性的イメージのあるキャラクターを使うことを考えることに警戒心を抱く」という理由でこの任命に反対する請願がなされたため、ワンダーウーマンは国連の役割を外された 。
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