フェミニスト文芸批評の対象として
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 02:59 UTC 版)
「ルイーザ・メイ・オルコット」の記事における「フェミニスト文芸批評の対象として」の解説
オルコットは、女性が外で働くことに偏見が大きかった時代に、女性が仕事を持つこと、外で働くことの有用性、社会的意義を作品の中でも力説し、働く女性が社会的に孤立させられていることを批判した。女性の権利拡張を訴えたが、同時に、家事、料理、裁縫といった、伝統的な女性のスキルの習得の大切さも説いた。オルコットの女性の権利拡張論者としての側面が注目され、彼女の仕事遍歴をもとにした自伝的小説『仕事―経験物語』は、女性の権利の拡張を直接テーマにしており、関心を集めた。前田絢子・勝方恵子は、本作に描かれた彼女の勇気と苦悩は、現在にも通じるものであり、19世紀後半という当時の社会状況を考慮するならば、その新しさが再認識されると評価している。 ハリエット・レイセンは、『若草物語』のジョーは情熱的なキャラクターで、「彼女は多くの間違いを犯し、成功し、自分を追い込み、女の子がやってはいけないことに注意を払わなかった。」と述べており、オルコットの遺産、ジョーという遺産は、世界中の女性や少女たちのエンパワーメントに関わるものだと考えている。 平石貴樹は、オルコットのスリラー小説発掘の時期が、ちょうどフェミニスト文芸批評(英語版)が盛り上がった時期であったことから、オルコットの実情以上にフェミニズムの視点での批評がなされ、彼女をフェミニストとして一面的に評価し(その結果、しばしば『若草物語』の保守的な物語の展開に失望する)という流れが生じたことを指摘している。アルフレッド・ハベガー(Alfred Habegger)は「オールコットが筆名で書いたスリラー小説に関してショッキングなのは、筆者がラディカルな生まれと育ちで、男女平等を主張していたにもかかわらず、いかにそれらの作品が男性の優位や支配を受け入れているか、程度の差こそあれ政治的に反動(保守)ではあるか、という点にこそあるのだ」と評しており、平石は、これが「最終的には妥当な判断であるようにも思われる。」と述べている。
※この「フェミニスト文芸批評の対象として」の解説は、「ルイーザ・メイ・オルコット」の解説の一部です。
「フェミニスト文芸批評の対象として」を含む「ルイーザ・メイ・オルコット」の記事については、「ルイーザ・メイ・オルコット」の概要を参照ください。
- フェミニスト文芸批評の対象としてのページへのリンク