ヒュスマンスコスト
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/14 22:56 UTC 版)
「スウェーデン料理」の記事における「ヒュスマンスコスト」の解説
ヒュスマンスコスト(Husmanskost)は、スウェーデンの伝統料理であり、地元の材料で作る古典的なスウェーデンの家庭料理を示す。Husmanskostという名称は、土地の所有とは関係なく「家の持ち主」を意味するhusmanに由来し、元来は都市の外にある素朴な田舎の食べものほとんどに対して使われていた。本物のスウェーデンのヒュスマンスコストは、主に豚肉の全部位、魚、穀物、牛乳、ジャガイモ、根菜、キャベツ、タマネギ、リンゴ、ベリー等の地元でとれる食材を使用し、牛肉や羊肉はあまり使われない。ベリー類を除けばリンゴが最も使われる伝統的な果物であり、生で食べたり、アップルパイ、アップルソース、またはアップルケーキとして供される。レドニンガ(redningar、ルー)やロングコック(långkok(「長時間茹でる」)といった時間のかかる調理法が一般に用いられ、香辛料は控えめである。スウェーデンのヒュスマンスコストの例はアートソッパ(ärtsoppa、エンドウマメのスープ)、ルートモース・メド・フレスク(rotmos med fläsk、茹でてつぶしたニンジン、ジャガイモ、ルタバガと豚肉)、グラブラックス(gravlax)、インコクト・ラックス(inkokt lax、弱火で茹でたサケ)、フライ、酢漬けといった各種サケ料理、各種ニシン料理(ほとんどは酢漬けだが、フライ、グラタン等もある)、フィスクブッラ(fiskbullar、魚すり身団子)、ショットブラール(köttbullar、ミートボール)、パルト(肉などが入ったのジャガイモのダンプリング)、ラッグムンク(raggmunk、ポテトパンケーキ)、様々なグルート(gröt、粥)、ピッティパンナ(pytt i panna、ジャガイモ、数種の肉、ソーセージ、ベーコンとタマネギの角切り炒め)、カロープス(kalops、肉とタマネギのシチュー)、クロップカーカ(kroppkaka、タマネギと豚肉を詰めたジャガイモのダンプリング)である。 スウェーデンのヒュスマンスコストや伝統食品に類似した料理は、他のスカンディナヴィア各国で見られるが、細かい部分が異なることがある。スウェーデンはウォッカ・ベルトに属し、歴史的にブレンヴィーンやスナップス(英語版)等の蒸留酒が日常の食事の一部であった。スウェーデンにおけるワイン消費量は、ビールやより強いアルコール飲料の一部に替わって、この50年間で増加している。多くの地域で、地元産ワインが地元のヒュスマンスコストと組み合わせられている。 ヒュスマンスコストは過去10年間に、トーレ・ヴレットマンのような著名なスウェーデンのシェフが伝統的スウェーデン料理の現代風アレンジを発表するルネサンスを経験した。ヌーベル・ヒュスマン(nouvel husman)と呼ばれるこの現代料理では、昔の肉体労働の維持に必要であった脂肪分が減り、新たな食材が追加された。調理法もまた、調理時間を短縮し、栄養価を高め、料理の風味を増すために見直されている。 スウェーデン料理は、ロールキャベツや17世紀から18世紀にかけてのフランス料理からの影響、現在のピザやカフェ・ラッテに至るまで、海外の影響を受けている。多くのスウェーデン料理レストランは、伝統的ヒュスマンスコストと近代的な美食の手法を組み合わせている。
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