ディーノ・リージ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/09/27 07:17 UTC 版)
Dino Risi ディーノ・リージ | |||||||||||||||
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生年月日 | 1917年12月23日 | ||||||||||||||
没年月日 | 2008年6月7日(90歳没) | ||||||||||||||
出生地 | ロンバルディア州ミラノ県ミラノ | ||||||||||||||
死没地 | ローマ | ||||||||||||||
国籍 | イタリア | ||||||||||||||
職業 | 映画監督、脚本家 | ||||||||||||||
ジャンル | 映画(イタリア式コメディ)、テレビ映画 | ||||||||||||||
活動期間 | 1940年 - 2005年 | ||||||||||||||
活動内容 | 1940年 助監督となる 1952年 長篇劇映画を初監督 | ||||||||||||||
配偶者 | クラウディア・リージ | ||||||||||||||
著名な家族 | フェルナンド・リージ 兄 ネロ・リージ 弟 クラウディオ・リージ 長男 マルコ・リージ 次男 | ||||||||||||||
主な作品 | |||||||||||||||
『貧しいが美しい男たち』 『追い越し野郎』 『女の香り』 | |||||||||||||||
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ディーノ・リージ(Dino Risi、1917年12月23日 - 2008年6月7日)は、イタリアの映画監督、脚本家である[1][2]。マリオ・モニチェリ、ルイジ・コメンチーニ、ナンニ・ロイ、エットーレ・スコラとならぶ「イタリア式コメディ」の重要人物である。代表作は『貧しいが美しい男たち』、『追い越し野郎』、『女の香り』[3]。
来歴・人物
医学の素養
1917年(大正5年)12月23日、イタリアのロンバルディア州ミラノ県ミラノに生まれる[1][2]。26歳離れた兄フェルナンドが撮影・照明の技術者で、4歳下の弟ネロは、のちに詩人・映画監督となった[1]。
父親はミラノの歌劇場・スカラ座専属の医師であったが、リージが12歳になるころ死去した[3]。
親戚や両親の友人に育てられて成長したリージは、精神科医としてのキャリアを始める[2][3]が、そのうち、映画批評が好きになり、ニュース記事やシナリオを書き始める。
1940年(昭和15年)、同郷の友人アルベルト・ラットゥアーダが共同脚本に参加し、助監督を務めることとなったマリオ・ソルダーティ監督、アリダ・ヴァリ主演の映画『小さな古風な世界』に、ラットゥアーダに誘われて、初めて助監督として参加する[1][2]。
第二次世界大戦中、スイス・ジュネーヴに移住し、アテネ・ド・ジュネーヴでフランスの映画監督ジャック・フェデーに師事する[2]。第二次世界大戦後、1946年(昭和21年)から短篇映画やドキュメンタリーを20本近く演出する。1948年(昭和23年)11月12日、スイスのベルンで、長男でのちの映画監督クラウディオ・リージが生まれる[4]。
商業デビュー以降
その後イタリアに帰還、ミラノに戻り、1951年(昭和26年)6月4日、次男でのちの映画監督マルコ・リージが生まれる[5]。同年、『ギャングと過ごすヴァカンス』で長篇劇映画監督としてデビューする[1][2]。
ルイジ・コメンチーニ監督のヒット作『パンと恋と夢』(1953年)とその続篇『パンと恋と嫉妬』(1954年)につづき、第3弾で交代してリージが監督した「パンと恋と…」(Pane, amore e..., 日本公開題『殿方ごろし』、1955年)が成功し、リージは売れっ子監督となった。最大のヒット作は『貧しいが美しい男たち』(1956年)で[3]、同作は『美しいが貧しい娘たち』(1957年)、『貧しい富豪たち』(1959年)と三部作をなす[1]。
『困難な人生』、『追い越し野郎』、『怪物たち』、『女の香り』とすべてリージが監督した。『女の香り』は、1992年(平成4年)にハリウッドでリメイクされ、『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』(監督マーティン・ブレスト)となった。
1993年(平成5年)、リージに関する研究書 Dino Risi - maître de la comédie italienne が刊行された[6]。
2002年(平成14年)、85歳のとき、永年の業績に対し、ヴェネツィア国際映画祭で功労金獅子賞を受賞した[1]。
2008年(平成20年)6月7日、イタリアの首都ローマで死去した[1]。満91歳没。
没後
リージの訃報に接したローマ市長ジャンニ・アレマンノは、「イタリアは、自国の映画と自国の文化にとって、気品と生命力に溢れる父親を失ってしまった」とコメントした[3]。
2010年(平成22年)、第67回ヴェネツィア国際映画祭での「イタリアコメディ回顧展」のプログラムに、『木曜日』(1963年)、『女の香り』(1974年)、『あきれた刑事 南の島へ行く』(1987年)の3本が選ばれ、上映された[7]。
おもなフィルモグラフィ
特筆以外はすべて監督作である[1]。劇映画の監督作に関してはフルリストである[1]。
1940年代
- 『小さな古風な世界』 Piccolo mondo antico : 監督マリオ・ソルダーティ、1940年 - 助監督
- 『理想主義者ジャコモ』 Giacomo l'idealista : 監督アルベルト・ラットゥアーダ、1942年 - 助監督
1950年代
- 『アンナ』 Anna : 監督アルベルト・ラットゥアーダ、1951年 - 原案・脚本
- 『ギャングと過ごすヴァカンス』 Vacanze col gangster : 1951年 - 長篇劇映画の監督としてのデビュー作
- Il viale della speranza : 1953年
- 『巷の恋』 L'amore in città : オムニバス、1953年
- 第三話『4時間のパラダイス』 Paradiso per 4 ore : 主演ウーゴ・トニャッツィ
- 参加監督フェデリコ・フェリーニ、ミケランジェロ・アントニオーニ、カルロ・リッツァーニ、フランチェスコ・マゼッリ、チェーザレ・ザヴァッティーニ、アルベルト・ラットゥアーダ
- 『ヴィーナスのサイン』 Il segno di Venere : 主演ソフィア・ローレン、1955年 - 第8回カンヌ国際映画祭コンペティション部門上映
- 『殿方ごろし』 Pane, amore e... : 1955年 - 第6回ベルリン国際映画祭コンペティション部門上映
- 『貧しいが美しい男たち』 Poveri ma belli : 主演レナート・サルヴァトーリ、マリサ・アラシーオ、1956年
- La nonna Sabella : 1957年
- 『美しいが貧しい娘たち』Bella ma povere : 主演アレッサンドラ・パナーロ、1957年
- 『恋はすばやく』 Anna di Brooklyn : 監督カルロ・ラストリカティ / ヴィットリオ・デ・シーカ、1958年 - 原案、第8回ベルリン国際映画祭コンペティション部門上映
- 『ベニスと月とあなた』 Venezia, la luna e tu : 主演アルベルト・ソルディ、マリサ・アラシーオ、1958年
- Il vedovo : 主演アルベルト・ソルディ、1959年
- 『貧しい富豪たち』 Poveri milionari : 1959年
- 『闘牛士』 Il mattatore : 主演ヴィットリオ・ガスマン、1959年 - 第10回ベルリン国際映画祭コンペティション部門上映
1960年代
- 『ローマの恋』 Un amore a Roma : 主演ミレーヌ・ドモンジョ、ピーター・ボールドウィン、エルザ・マルティネッリ、1960年
- A porte chiuse : 1961年
- 『困難な人生』 Una vita difficile : 主演アルベルト・ソルディ、レア・マッサリ、1961年
- 『追い越し野郎』 Il sorpasso : 主演ヴィットリオ・ガスマン、ジャン=ルイ・トランティニャン、1962年
- La marcia su Roma : 主演ヴィットリオ・ガスマン、ウーゴ・トニャッツィ、1962年
- 『木曜日』 Il giovedì : 1963年
- 『怪物たち』 I mostri : 主演ヴィットリオ・ガスマン、ウーゴ・トニャッツィ1963年
- 『バンボーレ』 Le bambole : オムニバス、1965年
- 第一話『電話の呼び出し』 - 主演ジーナ・ロロブリジーダ、ニーノ・マンフレディ
- 参加監督ルイジ・コメンチーニ、フランコ・ロッシ、マウロ・ボロニーニ
- Il gaucho : 主演ヴィットリオ・ガスマン、ニーノ・マンフレディ1965年
- 『おとぼけ紳士録』 I complessi : オムニバス、1965年
- Una giornata decisiva 篇 - 主演ニーノ・マンフレディ、アルベルト・ソルディ
- 参加監督フランコ・ロッシ、ルイジ・フィリッポ・ダミーコ
- L'ombrellone : 1966年
- I nostri mariti : オムニバス、1966年
- Il marito di Attilia 篇
- 参加監督ルイジ・フィリッポ・ダミーコ、ルイジ・ザンパ
- 『ナポリと女と泥棒たち』 Operazione San Gennaro : 主演ニーノ・マンフレディ、マリオ・アドルフ、1966年
- 『カロリーナ』 Il Tigre : 主演ヴィットリオ・ガスマン、1967年
- Straziami, ma di baci saziami : 1968年
- Il profeta : 主演ヴィットリオ・ガスマン、1968年
- Vedo nudo : 主演ニーノ・マンフレディ、シルヴァ・コシナ、1969年
- Il giovane normale : 1969年
1970年代
- In nome del popolo italiano : 主演ヴィットリオ・ガスマン、ウーゴ・トニャッツィ、1971年
- 『結婚宣言』 La moglie del prete : 主演ソフィア・ローレン、マルチェロ・マストロヤンニ、1971年
- Noi donne siamo fatte così : 1971年
- 『ダーティウィークエンド』 Mordi e fuggi : 1973年
- 『セッソ・マット』 Sessomatto : 主演ジャンカルロ・ジャンニーニ、ラウラ・アントネッリ、1973年
- 『女の香り』 Profumo di donna : 主演ヴィットリオ・ガスマン、アレッサンドロ・モモ、1974年 - 第28回カンヌ国際映画祭コンペティション部門上映、第48回アカデミー賞外国語映画賞ノミネート、『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』(1992年)にリメイク
- 『白い電話』 Telefoni bianchi : 主演アゴスティーナ・ベリ、ヴィットリオ・ガスマン、1976年
- Anima persa : 主演ヴィットリオ・ガスマン、カトリーヌ・ドヌーヴ、1977年
- La stanza del vescovo : 1978年
- 『新怪物たち』 I nuovi mostri : オムニバス、1978年
- Con i saluti degli amici, Tantum ergo, Pornodiva, Mammina mammona, Senza parole の各篇 主演アルベルト・ソルディ、ヴィットリオ・ガスマン
- 参加監督マリオ・モニチェリ、エットーレ・スコラ
- Primo amore : 1978年
- 『親愛なるパパ』 Caro papà : 主演ヴィットリオ・ガスマン、ジュリアン・ギオマール、1979年 - 第32回カンヌ国際映画祭コンペティション部門上映
1980年代
- 『俺はフォトジェニック』 Sono fotogenico : 主演エドウィジュ・フェネシュ、1980年 - 第33回カンヌ国際映画祭特別招待作品
- 『サンデー・ラバーズ』 I seduttori della domenica : オムニバス、1980年
- 第四話『ローマ』 Roma : 主演ロジャー・ムーア、リノ・ヴァンチュラ
- 参加監督ブライアン・フォーブス、エドゥアール・モリナロ、ジーン・ワイルダー
- Fantasma d'amore : 主演ロミー・シュナイダー、マルチェロ・マストロヤンニ、1981年
- Sesso e volentieri : 1982年
- ...e la vita continua : テレビ映画、1984年
- 『善良なる王ダゴベール』 Dagobert : 製作ジャン=ピエール・ラッサム、主演コリューシュ、ミシェル・セロー、1984年
- 『戦争の狂人』 Scemo di guerra : 主演コリューシュ、ベッペ・グリッロ、1985年 - 第38回カンヌ国際映画祭コンペティション部門上映
- 『女トラッカー 甘い爆走』 Teresa : 1987年
- 『あきれた刑事 南の島へ行く』(デカ) Il commissario Lo Gatto : 1987年
- 『ふたりの女』 La ciociara : テレビ映画、1988年
- Il vizio di vivere : 1989年
1990年代 - 2000年代
- Tolgo il disturbo : 主演ヴィットリオ・ガスマン、ドミニク・サンダ、1990年
- Vita coi figli : テレビ映画、主演モニカ・ベルッチ、ジャンカルロ・ジャンニーニ、1990年
- Giovani e belli : 1996年
- Esercizi di stile : オムニバス、1996年
- Myriam 篇
- 参加監督セルジオ・チッティ、ヴォルファンゴ・デ・ビアシ、マウリツィオ・デッロルソ、クラウディオ・フラガッソ、アレックス・インファシェッリ、フランチェスコ・ラウダディオ、ルイジ・マーニ、ロレンツォ・ミエリ、マリオ・モニチェリ、アレッサンドロ・ピーヴァ、ピノ・クワルトゥロ、ファリエロ・ロザティ、シンツィア・Th・トリーニ
- Le ragazze di Miss Italia : テレビ映画、2002年
- Rudolf Nureyev alla Scala : ビデオ映画、2005年 - 遺作
関連事項
- フェルナンド・リージ (Fernando Risi [8])
- ネロ・リージ (en:Nelo Risi)
- クラウディオ・リージ (it:Claudio Risi)
- マルコ・リージ (it:Marco Risi)
- ジャンニ・アレマンノ (Gianni Alemanno)
関連書籍
- Dino Risi - maître de la comédie italienne, Valerio Caprara / Fabrizio Corallo, Gremese, 1993年, ISBN 8873010202
註
- ^ a b c d e f g h i j Dino Risi, Internet Movie Database (英語), 2010年9月10日閲覧。
- ^ a b c d e f 『外国映画監督・スタッフ全集』、キネマ旬報社、1989年5月 ISBN 4873760356, p.239.
- ^ a b c d e Italian director Dino Risi dies, BBCニュース (英語)、2008年6月7日付、2010年9月15日閲覧。
- ^ Claudio Risi - IMDb(英語), 2010年9月7日閲覧。
- ^ Marco Risi - IMDb(英語), 2010年9月7日閲覧。
- ^ 関連書籍、ISBN 8873010202
- ^ Italian Comedy - The State of Things Archived 2010年8月1日, at the Wayback Machine., 第67回ヴェネツィア国際映画祭 (英語), 2010年9月7日閲覧。
- ^ Fernando Risi - IMDb(英語), 2010年9月10日閲覧。
外部リンク
固有名詞の分類
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