ツォルキンとは? わかりやすく解説

ツォルキン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/14 17:32 UTC 版)

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ツォルキン(暦)は、マヤ文明において使われていた。260日を一周期とし、神聖暦あるいは儀式暦などと呼ばれることがある。ツォルキンは、ユカテコ語で「日の勘定」という意味であるが、この暦の元の名はわかっていない。

概要

先コロンブス期メソアメリカでは260日暦は日常生活や宗教儀式や日々の占いに欠かせない暦であり、アステカ暦ではトナルポワリと呼ばれる。現在でも260日の暦を使用している部族がいる。

なぜ260なのかは、マヤにおいて天上は13の層があり、手足の指の数が合計で20だからという説や、二十進記数法が使用されていたからという説がある。

メキシコオアハカ州サン・ホセ・モゴテの石碑3(紀元前600年ごろ)には260日暦に由来する「1の地震」と読める名前が記されている。マヤ地域においてはサン・バルトロ遺跡の壁画(紀元前3世紀ごろ)に「7の鹿」(現在の慣用に従うと「7マニク」)と読める箇所が発見された[1]

「ツォルキン」という名前、および20の日の名前はいずれも植民地時代のユカテコ語のものを慣用的に使用している。ほかの地域では別の名前で呼ばれていた。たとえばキチェ語ではツォルキンをチョルキフと呼び、各日の名はImox, Ic, Acbal, Cat, Can, Camey, Queh, Canel, Toh, Tzi, Batz, E/ei, Ah, Balam, Tziquin, Ahmac, Noh, Tihax, Caoc, Hunahpuであった[2]

ツォルキンとハアブ(暦)が組み合わされて約52年で一周期の暦となる。これをカレンダー・ラウンド(rueda calendárica)という。

13の係数と20の日

ツォルキン暦は、1から13までの数字(係数)と20の「日」が順次組み合わさってできる暦になっている。 20の「日」は、順に、

  1. イミシュ
  2. イック
  3. アクバル
  4. カン
  5. チクチャン
  6. キミ
  7. マニク
  8. ラマト
  9. ムルク
  10. オック
  1. チュエン
  2. エブ
  3. ベン
  4. イシュ
  5. メン
  6. キッブ
  7. カーバン
  8. エツナブ
  9. カワク
  10. アハウ

と呼ばれる[注釈 1]。つまり1イミシュの翌日は、2イックとなり、最小公倍数の260の組み合わせが終わると、また1イミシュにもどる。

脚注

[脚注の使い方]

注釈

  1. ^ 上記の箇条書きで使われている番号は、13個ある係数とは無関係な、20の「日」に対する便宜上のもの。

出典

  1. ^ David Stuart; Heather Hurst; Boris Beltrán; William Saturno (2022). “An early Maya calendar record from San Bartolo, Guatemala”. Science Advances 8 (15). doi:10.1126/sciadv.abl9290. 
  2. ^ 『マヤ神話 ポポル・ヴフ』A・レシーノス原訳、林屋永吉訳、中公文庫、2016年(原著1977年)、305頁。ISBN 9784122062511

参考文献

  • ケネス・ジョンソン 『ジャガーの智恵 - マヤ・カレンダー「神聖暦」で占う(シリーズ先住民の叡知)』中央アート出版社 ; ISBN 4813600921 ; (2002/07)

外部リンク


ツォルキン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/06 02:00 UTC 版)

マヤ暦」の記事における「ツォルキン」の解説

詳細は「ツォルキン」を参照 ツォルキン(tzolk'in:正書法、またはtzolkin:ユカテコ語表記)は、マヤニスト(マヤ文明研究者)によって命名された、1周期260日の暦法である。「ツォルキン」という単語自体は、ユカテコ語で「日付」を意味する語にもとづいた造語である。いくつかある呼び名のうち、当時マヤ族がどの名称を使用していたのかについては、依然として学者による議論対象となっている。しかし、慣用的にはユカテコ語による読み用いられている。 ツォルキンは宗教的な儀式行事占いなどの時間決定するために使用される暦法であり、13日数字20日間の名前を組み合わせて260ユニークな日を形成している。それぞれの日は1から13まで続き、1周期で再び1に戻る。これとは別に20日間の名前のリストから順番に名前が付けられ13×20260日で1周期の暦が形成される。 ツォルキンにおける日付名と表記番号1標準表記2/ユカテコ語表記3(発音マヤ文字表記4意味守護神ないし関連する事柄対応するアステカ暦 番号1標準表記2/ユカテコ語表記3(発音マヤ文字表記4意味守護神ないし関連する事柄対応するアステカ暦01Imix'/Imix(イミシュスイレン 大地の神多産豊饒の女神カイマン シパクトリ 11Chuwen/Chuen(チュエン) サル の姿をした双子の神 オソマトリ 02Ik'/Ik(イク) 風、息吹、息、溜息生命 チャックエエカトル 12Eb'/Eb(エブ) 恐らく豊饒の女神イシュ・チェル邪悪な化身 マリナリ 03Ak'b'al/Akbal(アクバル地下暗闇 ジャガーカリ 13B'en/Ben(ベン未熟なトウモロコシの神 アカトル 04K'an/Kan(カン成熟したトウモロコシユム・カーシュ神 大きな花 クエツパリン 14Ix/Ix(イシュジャガー神 オセロトル 05Chikchan/Chicchan(チクチャン天の怪物 のようなコアトル 15Men/Men(メン欠けていく月 年老いた月の女神 クアウトリ 06Kimi/Cimi(キミ) 死 ユム・キミル 16K'ib'/Cib(キブの姿をした神 コスカクアウトリ 07Manik'/Manik(マニク) ブルク・チャブタン マサトル 17Kab'an/Caban(カバン若々しい姿をした月の女神 オリン 08Lamat/Lamat(ラマト天のドラゴン トトチリ 18Etz'nab'/Etznab(エツナブ) 恐らく黒曜石の刃の神 テクパル 09Muluk/Muluc(ムルク翡翠の神 アトル 19Kawak/Cawac(カワク) 嵐 キアウィトル 10Ok/Ok(オク足跡、しるし イツクィントリ 20Ajaw/Ahau(アハウ高貴なイツァムナー ショチトル 注釈ツォルキンにおける日付配列番号。 グアテマラマヤ語族アカデミー英語版)によって改訂標準化され正書法18世紀ディエゴ・デ・ランダらによって記録されユカテコ語による日付表記法。この正書法近年まで広く使われてきた。 マヤ文字表記一例表記法はいくつかの異な形式がある。ここに示されているものは、記念碑銘文などに彫られることが多かったのであるいくつかの暦法においては 1 Imix'を第1日とし、2 Ik'、3 Ak'b'al続いて13 B'enまでカウントされる。日付数字14日目になると再び1番目に戻り、1 Ix、2 Men…と続いて20日目には7 Ajawとなる。翌日21日目には日付の名前が最初に戻って 8 Imix'になる。このようにして全ての組み合わせが揃う260日で1周期となる。

※この「ツォルキン」の解説は、「マヤ暦」の解説の一部です。
「ツォルキン」を含む「マヤ暦」の記事については、「マヤ暦」の概要を参照ください。

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