エエカトルとは? わかりやすく解説

エエカトル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/31 09:25 UTC 版)

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エエカトル=ケツァルコアトル(エエカトルと習合したケツァルコアトル)の図。『ボルジア絵文書』より。

エエカトル (Ehēcatl) は先コロンブス期の風にまつわるで、アステカ神話メソアメリカのうちメキシコ中央部に由来するその他の文化の神話で崇められていた。ほとんどの場合、風神としての羽毛のある蛇神アステカやその他のナワ族系文化におけるケツァルコアトル)の一側面として解されており、そのためエエカトル=ケツァルコアトルとしても知られる[1]。またエエカトルは、創造神や文化英雄の一柱として、先コロンブス期の中央メキシコ文化を記した創造神話で大きく描かれている[2]

風はあらゆる向きに吹くため、エエカトルは方位とも結びつけられた。神殿は空気抵抗を減らすため円筒型に建てられ、吹く風に向かって突き出した2つの仮面で飾られることもあった。

神話

メキシコシティ地下鉄メトロ・ピノ・スアレス駅の中に設置された、エエカトル神に捧げられた祭壇。これは1967年、駅の建設中に発掘され、今日に至るまで1号線と2号線間の連絡通路中にある。

アステカ創造神話において、神々が自らの作り出した人類に満足できなかったゆえに第4の太陽が破壊された際、神々はテオティワカンに集った。その地でナナワツィンテクシステカトルが火に飛び込んで身を捧げ、太陽と月になった。しかし彼らは動かないままでいたので、エエカトルが強く風を吹きつけて動かした。

第5の太陽の創造に関するアステカの伝説において、エエカトルはすべての神々が身を捧げられるように手助けをしていたが、ただショロトルだけは変身を繰り返して逃れようとし、最後にアショロトルとなることで、他の神々のように世界を照らすための犠牲となることを免れたという[3]

エエカトルはかつて人間の女性マヤウェルと恋に落ちたことがあった。ふたりの愛の営みが1本の樹を育てることになった[4]

脚注

  1. ^ Miller and Taube (1993, p.84)
  2. ^ Miller and Taube (1993, pp.70, 84)
  3. ^ The Creation of the 5th Aztec Sun”. 2015年1月20日閲覧。
  4. ^ Ehecatl - God of wind.”. The White Goddess. The White Goddess. 2014年8月7日閲覧。

参考文献

  • Carrasco, David (1982). Quetzalcoatl and the Irony of Empire: Myths and Prophecies in the Aztec Tradition. Chicago, IL: University of Chicago Press. ISBN 0-226-09487-1. OCLC 0226094871 
  • Milbrath, Susan (1999). Star Gods of the Maya: Astronomy in Art, Folklore, and Calendars. The Linda Schele series in Maya and pre-Columbian studies. Austin: University of Texas Press. ISBN 0-292-75225-3. OCLC 40848420 
  • Miller, Mary; Karl Taube (1993). The Gods and Symbols of Ancient Mexico and the Maya: An Illustrated Dictionary of Mesoamerican Religion. London: Thames & Hudson. ISBN 0-500-05068-6. OCLC 27667317 
  • Séjourné, Laurette (1981) (スペイン語). El pensamiento náhuatl cifrado por los calendarios. Colección América nuestra. América indígena, no. 35. Josefina Oliva de Coll (trans.), Françoise Bagot (illus.), Julio Pliego (photog.). Mexico D.F: Siglo XXI Editores. ISBN 968-23-1057-1. OCLC 8563957 
  • Smith, Michael E. (2003). The Aztecs (2nd ed.). Oxford and Malden, MA: Blackwell Publishers. ISBN 0-631-23015-7. OCLC 48579073 
  • Wimmer, Alexis (2006年). “Dictionnaire de la langue nahuatl classique (online version, incorporating reproductions from Dictionnaire de la langue nahuatl ou mexicaine [1885], by Rémi Siméon)”. 2015年1月20日閲覧。 (フランス語) (ナワトル語)

エエカトル

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風神」の記事における「エエカトル」の解説

詳細は「エエカトル」を参照 先コロンブス期の風にまつわる神エエカトルは、古ナワトル語英語版)でその名も「Èhecatl(=wind、風)」。風神としてのケツァルコアトル一面解されており、そのため「エエカトル=ケツァルコアトル」としても知られる先コロンブス期中央メキシコ文化記した創世神話では創造神文化英雄神の一柱として存在感大きい。

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「エエカトル」を含む「風神」の記事については、「風神」の概要を参照ください。

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