シートベルトの歴史
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1899年イギリスのロンドンで、ダイムラーの自動車による事故で乗員2人が放り出され死亡したことがきっかけとなり、シートベルトが開発されたといわれている[要出典]。それを端とした開発は1903年、フランスの技術者であるギュスターヴ・ルボー(Gustave Désiré Lebeau)により、シートベルトの原型である、高い背もたれと交差式ベルトからなる「自動車等の防御用ベルト」というものの開発へと至った[要出典]という。 シートベルトが初めて自動車に搭載されたのは1922年[要出典]である。当初は競技用自動車に任意で取り付けられていた[要出典]。一般の乗用車への採用は1946年のタッカー・トーピードが最初であったが、コンセプトの一つに「安全性」を取り入れた同車は少数製造されるに留まり、広く普及するまでには至らなかった。 シートベルト普及の契機はアメリカで1966年7月1日に成立した連邦交通車両安全法 (National Traffic and Motor Vehicle Safety Act) であり[要出典]、同法に基づいた連邦自動車安全基準 (FMVSS) により1967年3月1日から義務付けている。 シートベルトの形態としては、2点式シートベルトが一般的であったが、サーブからボルボに移籍した自動車技術者ニルス・ボーリン(Nils Bolin 1920-2002)により1959年に3点式シートベルトが開発され、特許が取得された。最初に装備したのは当時ボルボが生産していた乗用車PV544と120(アマゾン)である。しかし、安全は独占されるべきものではないという考えから、ボルボ社はこの特許を無償で公開した。これにより、3点式シートベルトは全世界の自動車に装着される装置となった。その後、プリテンショナーの追加(後述)などいくつかの改良は行われたが、3点式シートベルトの基本的レイアウト自体は開発後50年以上にわたって踏襲され続けている。 代表的な3点式の他にも、2点式、4点式、5点式、6点式がある。一部の高性能スポーツカーには4点式の採用例が見られ、現在のレーシングカーには6点式シートベルトが使われる。2点式は自動車の後部座席や飛行機の座席に用いられているが、事故の際に腰の部分への負担が大きく、上半身の保護能力も期待できないため、最近では自動車の後部座席については3点式が主流である(義務化している国も多い)。 F1などのフォーミュラカー(葉巻型ボディから4つの車輪が飛び出した一人乗りレーシングカー)では、1960年代末までシートベルトが義務化されていなかった(乗用車改造マシンのレースではすでに義務化されていた)。フォーミュラカーは運転席が狭く、事故で火災が発生すると脱出が困難になりやすいとされ、「焼け死ぬよりは車外に投げ出された方が安全」と考えられていたからである[要出典]。しかしフォーミュラカーにおいてもシートベルトを装着する方が安全と認識され、1970年代以降シートベルトは絶対的な義務となっている。 シートベルトが窮屈だという理由で装着しない人がいる。そのため窮屈にならないように、ベルトを装着したときにだけ巻き取りバネの力を弱めて、窮屈感を和らげるシートベルトが開発された。このタイプのシートベルトは「テンションレリーファー(レデューサー)付きシートベルト」と呼ばれ、一部の高級車に装備されている。衝突時に帯がゆるんでいる場合には、乗員を拘束する性能が低下するため、衝突の際にたるんだ帯が締まるような仕組み(火薬を使う)を持つシートベルトが開発された。このタイプのシートベルトのことを「プリテンショナー付きシートベルト」と呼ぶ。さらには衝突後、帯に入る荷重が設定荷重になると帯が伸び出し、エネルギーを逃がすタイプのシートベルトも開発されている。このタイプのシートベルトを「ロードリミッター付きシートベルト」と呼ぶ。プリテンショナーとロードリミッター付きシートベルトの開発により、衝突時の乗員に対する安全性は飛躍的に改善された。 自動車では、チャイルドシート固定機能付シートベルト(一杯に引っ張り出してから収納すると、完全に収納するまでは収納のみ可能となり、ベルトが一定の位置で固定される)も開発され、後部座席に取り付けられている車種が多い。
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