コンセプト・設計
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 16:12 UTC 版)
「刈谷パーキングエリア」の記事における「コンセプト・設計」の解説
街並み感を演出するために統一テーマを設けた。ケヤキ並木のあるプロムナード設置もそのうちの一つ。 非日常的空間にデザインされたセントラルプラザフードコート(画像左)と開業時点のデラックストイレ(画像右)。 自動車専用道路「伊勢湾岸道路」として計画された当初は沿道にPAを併設する計画はなかった。やがて伊勢湾岸道路の高速自動車国道への格上げに伴ってその路線名を第二東名高速道路と変更し、施行命令が1993年に日本道路公団(現、中日本高速道路)に下されるに及んでPAの計画が持ち上がった。 刈谷市が危惧したのは、第二東名が市にとって単なる通過道路になることで、特に従来のPAは閉鎖的で地元にとって何のメリットも無いことを問題視した。このため市は、日本道路公団、建設省中部地方建設局、県とも話し合いを持って市のメリットを模索するに至った。ハイウェイオアシス構想はこの時に考案された。これにより地域のメリットを考えて、近接する岩ヶ池周辺と一体的に整備することになった。 設計に先立ち、刈谷商工会議所での講演が元で、刈谷市に事務所を構える鵜飼哲矢事務所(建築事務所)に設計をはじめコンセプト設定を依頼することになった。従来、サービスエリアは公団独自の基準があって、何よりも上下線のサービスエリアが公団施設、中央のハイウェイオアシスが民間運営会社の施設と事業主体が別であったことから、公団の基準を当てはめては全体のテーマがちぐはぐになる恐れがあった。このため鵜飼は、全体模型や多数のCGパースを造るなどして具体的なイメージを視覚化することで公団を説得した。 設定したテーマは「街づくり」で、全体を一体性のある街として整備したいとの思惑があったことから、上下線PAを一本のプロムナードで結ぶことが企図され、延長約650 mのケヤキ並木を配置した。そこには地域施設としての性格も重視するため、散歩ができて人が集まり、街としての賑わいが生まれることも意図されている。元来、高速道路のサービスエリアは公共的なサービス部分と思われてきた傾向があったが、鵜飼はそこに民間的な発想を取り入れることで、高速道路サービスの本質を問い直すことを念頭にこれらのテーマを設定したとする。 設計チームは鵜飼を中心に学生時代の仲間を招集して結成、企画が始まった頃は全員三十代前半の若手であった。メンバーは、グラフィック、インテリア、ランドスケープなど分野が異なる専門家の混合だが、「街づくり」を共通テーマとしてそれぞれの箇所を担当した。例えば施設の路面はランドスケープの専門家が担当し、多様な施設に一体感を持たせるべくデザインしている。プロムナードに設置されたサインはグラフィックデザイナーが担当し、やはり全体の統一性を持たせている。インテリアも例外では無く、セントラルプラザの飲食スペースや名産品販売エリア、「産直市場おあしすファーム」のデザインにも「街づくり」のテーマを導入して連続感を持たせた。また同時に「非日常的な空間」にすることも企図された。これはデザインや素材を工夫することで演出することとしたが、中でも究極が「デラックストイレ」で、特に女性側トイレの床はタイルに代えてカーペットを採用、ソファまで置かれている。また、セントラルプラザ飲食スペースの木製テーブルはカリモク(刈谷木材工業、高級家具メーカー)の特注品であるが、これは運営主体の刈谷ハイウェイオアシスの社長が同社の会長であったことから実現可能となった。
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