コモン・ローの特質とは? わかりやすく解説

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コモン・ローの特質

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 10:20 UTC 版)

コモン・ロー」の記事における「コモン・ローの特質」の解説

法の支配コモン・ローにおける公法当初司法運用に関するもので、王国裁判所確立により王国一般的慣習コモン・ローへと変質していった。このため王国一般的な慣習コモン・ローにおける公法であるため、その慣習たるコモン・ローには「国王といえども法の下にある」とする「法の支配」つまり、「コモン・ロー支配」の原理生じたのである。これは、1215年ジョン王時にマグナ・カルタへの王の署名により最終的に確立したものとされる 。なお、コモン・ローでは公法と私法分化不明確性が指摘される大陸法私法重点置かれ、かつ公法と私法明確に区別されるが、コモン・ローではその分化が十分成熟でない 。 司法権の独立13世紀エドワード1世裁判官官吏から選ばず弁護士指導者の中から選び行政から司法分離したことにより始まるとされるコモン・ローでは、当事者それぞれの真相明らかにする十分な機会与えれば正義が最もよく達成されるとされた。このため大陸法裁判官真実発見のために裁判官自身証人尋問を行うなど中心的な役割を果たすのに対し弁護士指導者でもあるコモン・ローでの裁判官は、対立する当事者同士仲裁者 (arbiter) としての役割担った。この結果コモン・ロー独特な当事者主義確立した陪審制コモン・ロー継受した国では、一般市民から構成され陪審によって有罪表決されなければ重罪について有罪判決与えられることはない。陪審独立確立したのは、1670年Bushel事件(en)である。 判例法主義ここでの判例とは将来裁判拘束する判決先例のことであり、イギリスでは長い歴史経て19世紀末判例法体系確立されとされる貴族院判決最終審理裁判所(a final court of appeal)の判決であるため、その判決には先例として以後裁判に対して拘束性与えられる全ての裁判所においてその判決以後同一事実による裁判について先例同一に判決させる判例となる。この判例法的安定性を保つためその変更イギリスの司法内部では絶対に許さないローマ法からの疎隔ローマブリテン征服殖民のためではなかったため、他のヨーロッパ支配地のようにローマ法による政治組織法律体制確立されブリテン法文化の侵食がなかった。しかし、その後ローマ法の継受国王によって画策されなかったわけではなくヘンリー8世オックスフォードケンブリッジローマ法研究のため王立講座設け、そのため行政官大権裁判所 (Prerogative Courts) ではローマ法法律家活躍したが、コモン・ロー裁判所にはその影響力を及ぼしえなかった。一般にその理由として、第一に法曹生み出す法学院組織伝統多く既得権持っていた上、裁判所組織改変事実上不可であったこと。第二コモン・ロー硬直化エクイティー成立緩和されたため、他のヨーロッパ諸国スコットランドにおいて達成されローマ法の継受成立しなかったためとされる。しかし、その最大原因ヨーロッパ諸国ではラント諸侯絶対的な支配階級となり絶対主義的な後期ローマ法の継受進めたが、イギリスでは大諸侯国王に対して反抗して成果収め固有の習慣たるコモン・ロー擁護政治的に有利であったからとの分析がある 。

※この「コモン・ローの特質」の解説は、「コモン・ロー」の解説の一部です。
「コモン・ローの特質」を含む「コモン・ロー」の記事については、「コモン・ロー」の概要を参照ください。

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