公法と私法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/09 14:16 UTC 版)
公法はローマ国家の利益を保護するのに対して、私法は個人を保護すべきものである。ローマ法においては、私法には、身分法、財産法、民法及び刑法が含まれ、訴訟は私的な手続であった 。犯罪も私的なものだったのである(国家が訴追するような最も重大なものは除く)。公法は私法の中でもローマ国家に密接に関わり得るような領域のものだけを含んでいた。ローマは、その勢力の拡大と共に、ローマ市民と外国人の法的紛争に対応する必要が生じ、そのため私法を中心に法学が発展していった。そこでは、ローマ市民であると、外国人であるとを問わず、お互いに対等な立場にある個人の意思を出発点とした抽象的な法理論が発展した。近代法の特徴とされる故意責任と過失責任の区別がなされたのも古代ローマに遡ることができる。 公法は遵守が義務づけられた法的規制を表現するためにも用いられた。今日では強行規範と呼ばれる。これらは、当事者間の合意で変更したり排除したりすることができない規制である。変更できる規制は、今日では任意規範と呼ばれ、当事者が何かを共有し、かつ対立していない場合に用いられる。このような区別がなされるのも個人の意思を中心に法体系をつくるローマ法の理論に基づくのである。
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公法と私法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 04:06 UTC 版)
大まかに分類すると、公法とは、国家と市民との関係を規律する法をいい、私法とは、私人間の関係を規律する法をいう。具体的には、憲法や行政法が前者の典型であり、民法や商法が後者の典型とされる。 このような区別は、国家の立場と市民の立場が区別されていることを前提としたものであるが、英米法では伝統的にこのような区別はされていない。また、区別の基準についても様々な考えがあり、日本においても、問題となる法律関係が訴訟で争われた場合に、行政事件訴訟法の対象となるか民事訴訟法の対象となるかという意味でしか区別の意味がないとの指摘もされている。一方で、法の渉外的な適用範囲に関する議論においては、両者の区別の重要性が指摘されてもいる。 また、取引関係に国家が介入することを予定した経済法を中心に、公法と私法の中間領域と認められる法分野も発達しており、両者の区別は専ら理念型的な区別ともいいうる。
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