カノン法603条
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最も初期の隠修ないし隠遁生活は修道会のメンバーとしてのそれに先立つものであった、というのも修道院や修道会は修道生活のの歴史の中でも後になって発展してきたものだからである。今日では最初に修道院で生活することなしに隠遁生活、つまり人里離れた奥地で暮らすか街中でも俗界から厳しく隔離された環境で暮らす生活を自分の天職と感じる敬虔なクリスチャンが増えている。隠者の職業は旧約聖書の砂漠の神学(つまり、心境の変化をもたらすことになる40日間の放浪)であることを念頭に置きつつ、都市の隠者にとっての砂漠とは心の中に存在する砂漠であり、神の場で身一つで生きていくケノーシスを通じて清められていると言われる。 奉献生活の会の会員ではないが隠修ないし隠遁生活への呼びかけを感じるがそれにもかかわらずある種の奉献生活をカトリック教会に認知してもらいたい男女に備えるため、カノン法(1983年)に奉献生活に関する条項(第603条)が設けられた: (1) 教会は奉献生活の会のほかに, 隠修ないし隠遁生活を認める。それによってキリスト信者はこの世からのいっそう厳しい離脱, 孤独の沈黙, 絶え間ない祈りおよび償いを通じて, 自己の生涯を神の賛美と世の救いのために捧げる。 (2) 隠修者が, 奉献生活において神に捧げられたものとして法的に認められるのは, 三つの福音的勧告を請願又は他の聖なる絆によって確かなものとし, 教区司教の掌中において公に表明し, 同司教の指導のもとに固有の生活の仕方を順守する場合である。 つまりカノン法603条(2)は何らかの隠遁生活への呼びかけを感じた人が「他の種類の奉献生活」を送っているとカトリック教会に認められるための要件を規定している。彼らは大抵「隠修者」と呼ばれている。 カノン法603条の規定は他の多くの一人で生活して自身を神の愛への熱烈な祈りに捧げているカトリック信者には適用されない。しかし神の呼びかけを感じて自分の祈りに捧げられた孤独な生活を奉献生活に入ることでカトリック教会から認めてもらおうとする人には適用され得る。 1992年10月11日に出されたカトリック教会のカテキズム(§§918-921)では隠遁生活について次のように言及している。 教会史のごく初期から、全く自由にキリストについて行くことを述べ、誓願を実践することで彼をより強く模倣しようとした。彼らはそれぞれ自分のやり方で神にささげられた生活を送った。その多くは聖霊に導かれ、隠者になるか既存の信仰の家族の一員になった。彼らを教会はその徳と権威によって快く受け入れ承認した。 司教は常に聖霊から教会に贈られた奉献生活の贈物を認めようとするであろう;新しい形の奉献生活の承認は使徒座によって確保されている。(Footnote: Cf. CIC, can. 605). 隠遁生活常に三つの誓願を公に告白することなしに、隠者は「生涯をより厳密な世界の分割を通じた世界の救済と神をたたえること、そして静寂な孤独と勤勉な祈り・懺悔に捧げる。」(Footnote: CIC, can. 603 §1) 彼らは教会の神秘の内面、つまり、キリストとの個人的関係を皆に宣言する。人の目から逃れ、隠者の生涯は、単に隠者にとって主が全てであるからこそ隠者が生涯をささげたところの主に関する沈黙の説教である。ここに砂漠での、深い精神的な戦いの中での十字架に張り付けられた人の光輝を見出す特別な呼びかけがある。 隠修ないし隠遁生活に関するカトリック教会の規定(カノン法603条を参照)には慈悲を求めての身体的努力、つまり慈善活動が含まれていない。しかし、隠修者は皆、一般のクリスチャンと同様に、慈善活動の規則に縛られており、それゆえに特に慈善活動を行う必要がある際には自分の状況が許す限りで寛大にその必要に答える。ただし、隠修者は、やはり一般のクリスチャンと同様に、勤労の規則に縛られてもいて、そのため自分で自分の生計をまかなう必要があるので、キリスト教の教えに従わない限りいかなる手段を使ってでも自分で生計を立てないといけない。そのため、彼らは自分の司教にこれが自分に彼らがそのもとで礼式を整えるカノン法603条と矛盾しないで隠者という職業の義務を観察させないことはないと確信させるとすれば、介護分野において(自分に)仕えることは隠修者にとって適した職業選択ということになる。 カノン法603条には隠者の協会に関する条項がないが、そういう協会は存在する(例えば、ニュージャージー州チェスターには「ベツレヘムの隠者」、アメリカ合衆国では「聖ブルーノの隠者」といった団体が存在する。ラヴラ(en:vra)、スケーテ(en:skete)も参照)。
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