エンデュアランス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/03 02:21 UTC 版)
「ハリー・マクニッシュ」の記事における「エンデュアランス」の解説
帝国南極横断探検隊の目的は、世界で初めて南極大陸を横断することだった。マクニッシュはシャクルトンの遠征用広告に惹きつけられた。ただし広告が出ていたのかについて疑いがある。広告文は次のようだった。 求む男子:危険な旅。微々たる報酬、極寒、完全な暗黒の長い日々、不断の危険、安全な帰還の保証無し。 成功の際には名誉と知名度を手にする。 - アーネスト・シャクルトン 遠征に出た時のマクニッシュは40歳であり、隊員の中では年長だった。ただしシャクルトンが7か月年上だった。マクニッシュは痔が悪く、脚はリウマチを患っていた。幾分奇妙で洗練されていないと見られたが、大工として大いに尊敬されてもおり、エンデュアランスの船長フランク・ワースリーが「素晴らしい船大工」だと言っていた。しかし、パイプ煙草を喫うこのスコットランド人は、シャクルトンが「絶対的な信頼を寄せてはいない」乗組員では唯一の男だった。マクニッシュのスコットランド訛りは「すり切れたケーブルワイア」のようなガラガラ声だった。 ブエノスアイレスから南極に向けた航海の最初の段階で、マクニッシュは多くの定型業務で忙しくしていた。平底ディンギーのナンシー・エンデュアランスで働き、シャクルトンのために小さな整理ダンスを作り、生物学者ロバート・クラークのために標本棚を作り、気象学者レナード・ハッシーのためには装置入れを作り、操舵手を保護するために巻き上げスクリーンを設置した。補助甲板を作って船尾楼甲板から海図室まで伸ばし、船に積んでいた予備石炭を覆った。船の床屋としても活動した。船がウェッデル海の叢氷に突っ込んだとき、次第に航行が難しくなっていった。マクニッシュは船橋に6フィート (1.8 m) の木製信号機を作って航海士が操舵手に指示を送れるようにし、船尾には小さなステージを作って、プロペラが厚い氷に捕まらないよう監視することを可能にした。 船が叢氷に捕まってしまったとき、マクニッシュの任務は間に合わせの家を造ることまで拡大され、船がもう助からないことが明らかになると、氷の上の旅に使う橇を海でも使えるように改良した。乗組員が食事を摂る部屋(ザ・リッツと呼ばれた)や眠ることのできる小部屋も作った。マクニッシュは三等航海士のアルフレッド・チーザムと共に「セイラーズ・レスト」を共有していた。乗組員の助けを借りて、上甲板に犬小屋を建てた。エンデュアランスが動けなくなり、乗組員が氷の上で過ごすようになると、マクニッシュがゴールポストを建て、サッカーが隊員の日常行事になった。夜の時間を過ごすために、マクニッシュはフランク・ワイルド、トム・クリーン、ジェイムズ・マキルロイ、ワースリー、シャクルトンと士官室でポーカーをした。 氷の圧力のために、エンデュアランスが氷に飲まれ始めた。船への浸水を防ぐために囲い堰を作り、毛布の切れで隙間を埋め、継ぎ手の上に帯を釘付けした。この作業をしているときに凍るような水に腰まで浸かって何時間も立っていた。氷の圧力で船が潰れるのを防ぐことはできなかったが、いつ対策をやめるべきかは経験で分かった。船が破壊されてしまうと、「ザ・リッツ」であったものから物資を救い出す任務を行った。マクニッシュがその仕事に取り掛かってから、甲板を明けて大量の物資を取り出すまでに数時間もかからなかった。
※この「エンデュアランス」の解説は、「ハリー・マクニッシュ」の解説の一部です。
「エンデュアランス」を含む「ハリー・マクニッシュ」の記事については、「ハリー・マクニッシュ」の概要を参照ください。
- エンデュアランスのページへのリンク