ウィリアムマーティンと翻訳とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > ウィキペディア小見出し辞書 > ウィリアムマーティンと翻訳の意味・解説 

ウィリアム・マーティンと翻訳

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/15 14:35 UTC 版)

万国公法」の記事における「ウィリアム・マーティンと翻訳」の解説

詳細は「ウィリアム・アレキサンダー・パーソンズ・マーティン」を参照 翻訳着手したのは、アメリカ人宣教師ウィリアム・マーティン(W.A.P.Martin、中国名:丁韙良)であったマーティン1850年に来して以来中国留まり天津条約起草北京同文館京師大学堂での西欧学問教授キリスト教伝道など多方面にわたり活動した人物である。特に教育及び翻訳によって近代中国多大な影響与えたことで知られ、『万国公法』の訳出はその代表的な事績といえるマーティン漢語訳『万国公法』に着手したのは、在清アメリカ公使ジョン.E.ウォードJohn Elliott Ward中国名若翰)やアンソン・バーリンゲームAnson Burlingame、中国名安臣)、ロバート・ハートの強い薦めがあったためである。マーティン自身長年中国に留まっていたため、漢語の読み書きにも不自由はなかった。翻訳1862年上海滞在期に着手された。翌年ある程度訳出できた時点で、天津赴いて清朝の有力官僚一人崇厚提出しその後総理衙門公認得て出版する運びとなった刊行年については、研究者によって違い見られ1864年11月とする説(熊1994佐藤1996、田2001)と翌年1月とする説(坂野1973)がある。 『万国公法』の翻訳は、幾人かの中国人協力あってはじめて可能であった。まず崇厚提出した未完稿には何師孟・大文・張煒・曹景栄ら4人が参加して訳文練り上げたが、それは「文義が非常に不明瞭である」と評される代物そのまま刊行するには難があった。総理衙門公認得てからは総理衙門章京の地位にあった陳欽・・方濬師・毛鴻図らが協力して校訂臨み半年がかりで翻訳完成させている。元々中国西欧とでは法に対す観念が全く異なる上に、国際関係についての考え方大きく違っているため、その作業には大きな困難を伴った困難にぶつかりながらもマーティン訳業放棄しなかったのは、単なる名誉欲だけではない、彼なりの強い信念があったためである。すなわち宣教師であった彼にとって、『万国公法』の訳出は広い意味でキリスト教伝道活動一部であったマーティン国際法について「諸国間に行われ一国私することができない」(『万国公法凡例)と述べ欧米各国間に存在するこの公的なルールこそキリスト教文明生み出した最良成果一つ捉えていた。その国際法を(『万国公法』の訳出を介して中国普及することで、西欧夷狄視する中華思想思いこみ徐々に是正していこうと考えたのである。そしてそのこと後々キリスト教伝道プラスになるとの展望をもっていた。このような宗教的使命感こそが翻訳動機であったといえる(張嘉寧1991佐藤1996)。 マーティンは『万国公法刊行後1865年設立され同文館という外交における通訳者養成目的とする公立語学校の英語・国際法政治学教師の職に就き後日校長昇進している。彼はこの同文館英語表記を“International Law and Language School”とすることが多かったが、このことから同文館単なる通訳養成機関とは見ておらず、国際法普及拠点見なしていたことがわかる(佐藤1996)。実際、この同文館では『万国公法』に続き『星軺指掌』・『公法便覧』・『公法会通』といった国際法翻訳が行われ刊行されていった。これらはアジア諸地域国際法何たるかを伝え近代国家の礎を築く契機のひとつとなった

※この「ウィリアム・マーティンと翻訳」の解説は、「万国公法」の解説の一部です。
「ウィリアム・マーティンと翻訳」を含む「万国公法」の記事については、「万国公法」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「ウィリアムマーティンと翻訳」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ウィリアムマーティンと翻訳」の関連用語

ウィリアムマーティンと翻訳のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ウィリアムマーティンと翻訳のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの万国公法 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS