イピロス専制公時代とは? わかりやすく解説

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イピロス専制公時代

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/12 08:48 UTC 版)

ニキフォロス2世ドゥカス・オルシーニ」の記事における「イピロス専制公時代」の解説

ニキフォロスはヨアニス6世の婿としてその政権支えヨアニス6世のもう一人の婿ヨアニス5世パレオロゴス成年達して義父と争った時も義父支援し続けた。しかし1354年ヨアニス6世が廃位され、翌1355年セルビア王ドゥシャンが死去すると、東ローマ宮廷とカンダクジノス家(まだ共同皇帝マテオス・カンダクジノス抵抗していた)に対す忠誠心捨て単独ヨアニス5世和解してトラキア離れ帰郷途に就いた当時イピロスはドゥシャンの弟シメオン専制公統治していたが、ドゥシャン死後各地自立した諸侯対立巻き込まれその勢力は不安定であった。ニキフォロスはその不安に乗じ、また唯一の正統なドゥカス・コムニノス・アンゲロス家の後継者に期待する地元民歓迎されイピロスセサリア掌握しシメオンとその妻ソマイス(ニキフォロス自身姉妹)をマケドニアカストリア追放したエノス残してきた妻マリア間もなくしてセサリア到着し二人アルタ支配開始した念願帰郷と旧支配権回復果たしたニキフォロスであったが、問題幾つも存在していた。1347年にこの地域襲ったペスト1348年以来続いたセルビア支配はこの地域住民構成大きく変えてしまっていた。ギリシア人口減り、代わってセルビア人それ以上アルバニア人多数この地域南下し定住始めつつあった。ニキフォロスはこれに対抗するセルビア人との提携目論み、その為にマリア離婚して故ドゥシャン王の妻姉妹(即ちブルガリア王女)との結婚企てた。しかし、これに対してギリシア人アルバニア人住民一斉に反発し、ニキフォロスの立場は却って危うくなった。マリアミストラスにいた弟のモレアス専制公マヌイルの許に身を寄せていたが、セルビア王家との縁組み断念した夫に呼び戻されるになった。しかしニキフォロスは妻の帰国待たずアルバニア人武力討伐乗り出し、アヘロオス河畔戦い1359年)で逆に打ち破られ戦死した再建されイピロス専制公領は僅か三年あっけなく瓦解してしまった。 未亡人となったマリアは弟マヌイルの手コンスタンティノポリスにて修道院入りしていた母イリニの許に送り届けられた。彼女はそこで修道女となり残る余生送った。彼女とニキフォロスとの間にはメテオラ修道院一つアギオス・ステファノス修道院創立者目される修道士アンドニオス・カンダクジノス(1423年没)が生まれている。また、彼とは別にマヌイルという名の息子がいたという説もある。 ニキフォロスの死は、父ジョヴァンニ2世のそれと同じくイピロス専制公領史大きな転換点となった。彼はドゥカス・コムニノス・アンゲロス家に連なる最後君主となったまた、イピロスセサリア一人統治した中世最後君主となった彼の短い統治はそれ自体イピロス地方に於ける大きな転換期最中位置している。それは人口構成変動アルバニア人自立国家形成、イピロス・セサリアの地域的分断時期であった。しかしニキフォロスはそうした時代の変化にうまく対応出来ず、力で彼らを押さえ込もうとして失敗した彼の後にイピロス帰還し支配権掌握したシメオン・ウロシュはその轍を踏まなかった。彼はアルバニア人譲歩して彼らに自治与え緩やかな宗主権による統合満足した。しかしこれ以降イピロスセサリア事実上分裂の時代迎える。この地域一つ国家の許に統合するのはオスマン朝時代になってからの事であり、キリスト教徒による統合1912年バルカン戦争第一次)による近代ギリシアの両地域併合まで待たねばならない。 (本項目の表記中世ギリシア語発音依拠した。古典慣例表記については各リンク先の項目を参照。また国号については「専制公国」とした) 先代: ジョヴァンニ2世オルシーニ イピロス専制公 1335年 - 1340年1356年 - 1359年 次代: シメオン・ウロシュ

※この「イピロス専制公時代」の解説は、「ニキフォロス2世ドゥカス・オルシーニ」の解説の一部です。
「イピロス専制公時代」を含む「ニキフォロス2世ドゥカス・オルシーニ」の記事については、「ニキフォロス2世ドゥカス・オルシーニ」の概要を参照ください。

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