アニオン電着塗装とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 工業 > 加工 > 塗装 > アニオン電着塗装の意味・解説 

アニオン電着塗装

 従来防錆塗装方法、エアースプレー方式では隅々まで塗装が行き届かなく、ディッピングの場合タレの処理に手数要していた。
 1963年フォードにて電着塗装利点発表され自動車への適用検討始められた。トヨタ車体では、1964年初めから電着塗装自動車への適用開発着手し同年秋には、実験プラント設置し1965年4月刈谷向上に日本始めて電着塗装のボデーライン装置完成し量産方式による稼動始めた
 電着塗料陰極とし、被塗物陽極として100V前後直流電圧をかけると、樹脂及び顔料成分陽極向かって移動する(アニオン電着塗装)。陽極達した樹脂及び顔料成分負電荷失って陽極方面に塗膜を形成する。さらに電圧より脱水され90程度の非常に濃度の高い塗膜になり(電気浸透作用)、電着塗装後の水洗いではこの不溶な塗膜は残り、単に付着しているフリーペイントのみが除去される
 電着塗装は、閉断面部を含めて防錆力が各段に向上し塗料ロス非常に少ない
(1)膜厚さが時間電圧によって容易にコントロールでき、膜厚バラツキ大幅に低減できる。また、タレ流れのない塗膜が得られる
(2)エッジコーナー部、箱の内部スポット溶接部も十分な塗装ができる。
(3)低濃度塗料侵漬法であり、ボデーによる外への塗料持出し量が低減できる。
 稼動1ヶ月膜厚が付かなくなる。樹脂水溶化する中和剤アミン内に蓄積したのが原因で、塗料入れ替えるとともに恒久対策としてイオン交換装置導入しアミン除去定常的行い対処
 下塗り併せて中塗り塗装にも追加適用したが、当初電着塗膜を乾燥させずに、水性塗料ウェット・オン・ウェットにて塗布したが、当時は塗膜中の水分量が不安定であったために塗装外観不良発生電着塗膜乾燥後の中塗り塗装改める。

 1965年6月コロナハードトップRT50乗用車ライン電着塗装技術適用する
 内外板の高防錆化を狙って1971年従来のマイレン化油電着塗料から合成樹脂(ポリブタジエン電着塗料)電着塗料変更

保管場所:トヨタ車体(株)本社富士松工場技術管理部 (〒448-8666愛知県刈谷市一里山町金山100番地)

製作(製造)年:1965

製作者(社):トヨタ車体(株)

資料種類:設計図文献

現状:保存非公開

会社名:トヨタ車体

通称名:アニオン電着塗装(ED塗装)

搭載車:コロナハードトップ(RT50)

製作年:1965.4

協力者:トヨタ自動車

構造方式手段・方法:塗装工程:①補助電極取付(8種)②補助電極短絡テストプラス電極及び耳輪取付ED塗装水洗+エアブロー補助電極・プラス電極取り外しエアブロー補修塗装ED塗膜焼付
ED塗装方法塗料濃度(加熱残分):14.0±1.0%;電圧:55~80V;膜厚:2030μ(ボデー側面);塗料pH:7.8±0.3;コンベアスピード:1.6m/min;塗料温度:23±2(第1次温度管理範囲);液循環:1サイクル/h;
その他工程条件:⑤水洗スプレー圧:1.0±0.2kg/c㎡;⑤エアブロー圧:1.5±0.2kg/c㎡;⑦エアブロー圧:4.0±0.5kg/c㎡;⑨焼付:ボデー温度160±10保持時間25±5min;
塗料:エスベアTS-4(ブラック):神東塗料

エピソード話題性:自動車ボデーライン量産方式のアニオン電着塗装を開発し日本最初に稼動する。

特徴: 従来防錆塗装方法のエアースプレー方式やディッピングに比べ、塗膜厚さが時間電圧等によって簡単にコントロールでき、均一な膜厚容易に得られる。しかもエッジコーナー部・箱の内部スポット溶接部も十分な塗装ができ、またタレのない塗膜が得られた。
 低濃度途料侵漬法であり、ボデーによる外への塗料持出し量が低減し塗料損失少ない。
 防錆力は閉断面部を含めて格段に向上した

参考文献:トヨタ車体50年史(第4章 塗装生産方式変遷生産性向上)

その他事項:技術用途:ボデー防錆(下塗り)塗装;実物所在:トヨタ博物館(RT50);





アニオン電着塗装と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  
  •  アニオン電着塗装のページへのリンク

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「アニオン電着塗装」の関連用語

1
電着塗装 機械加工技術用語
50% |||||

2
塗装 百科事典
12% |||||

3
8% |||||

検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



アニオン電着塗装のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
社団法人自動車技術会社団法人自動車技術会
COPYRIGHT(C)SOCIETY OF AUTOMOTIVE ENGINEERS OF JAPAN, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS