アップル・レコード時代
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「バッドフィンガー」の記事における「アップル・レコード時代」の解説
1969年、アイヴィーズは再出発をはかるにあたり、ジ・アイヴィー・リーグ(英語版)との混同を避けるべく、改名されることとなった。ポール・マッカートニーは「The Cagneys」と「Home」を、ジョン・レノンは「Prix」と「The Glass Onion」を、ニール・アスピノールはビートルズのナンバー「ウィズ・ア・リトル・ヘルプ・フロム・マイ・フレンズ」の当初の名前である「バッドフィンガー・ブギ」より名をとった「バッドフィンガー」を提案。このうち、ニールの案が採用された。 バッドフィンガー名義のファースト・アルバム『マジック・クリスチャン・ミュージック』のレコーディング中、1969年8月のセッションを最後にロン・グリフィスがバンドを去り、残りの曲ではトム・エヴァンズがベースを弾いた。そして、アルバム完成後には新ギタリストにジョーイ・モーランドを加えて、バンドは再編成された。 ビートルズの弟分的存在として、1969年末にリンゴ・スター出演の映画『マジック・クリスチャン』のテーマ曲「マジック・クリスチャンのテーマ」(作詞・作曲はポール・マッカートニー)で再デビューを果たす。同曲は1970年にアメリカ盤シングルも発売され、Billboard Hot 100のTop10に入るヒットとなった。そして1970年にリリースされたファースト・アルバム『マジック・クリスチャン・ミュージック』は英米でリリースされなかったアイヴィーズのアルバムから7曲を再収録した。 1970年にはセカンド・アルバム『ノー・ダイス』をリリース。「嵐の恋」がシングル・カットされ、Billboard Hot 100の8位にまで上昇する。また、1972年と1994年にハリー・ニルソンとマライア・キャリーによって大ヒットとなる「ウィズアウト・ユー」が収録されているのもこのアルバムである。 1970年に最初のアメリカ・ツアーに備えて、バンドはスタン・ポリーという当時ニューヨークで評判の良かったマネージャーを雇い入れる。しかし実際は犯罪組織とつながりがあり、何よりバッドフィンガーにとって不利益となる支払協定がメンバーの承諾なしに織り込まれた契約であった。 バンドは人気の上昇にともないアップル関係の多くのセッションに参加。ジョージ・ハリスンの『オール・シングス・マスト・パス』、リンゴ・スターのシングル「明日への願い」ではバック・ボーカルを提供。トムとジョーイはジョン・レノンのアルバム『イマジン』でもプレイしている。そして4人のメンバー全員が1971年8月にバックアップ・ミュージシャンとしてジョージ・ハリスンのバングラデシュ・コンサートに参加している。 1971年には3枚目のアルバム『ストレート・アップ』をリリース。プロデュースは ジョージ・ハリスンとトッド・ラングレン。代表曲「デイ・アフター・デイ」が収録されており、彼らの商業的に最も成功したアルバムである。後に米誌Goldmineは廃盤アルバムの読者投票で最も人気の高かったアルバムとしてCDでのリリースを促した。 しかし、ビートルズ解散後のアップル・レコードは財政的に非常に混沌としていて、スタンが新たなレコードレーベルを捜しているのをアップルの社長アラン・クレインは知っており当然ながら両者の関係は良くなかった。 1972年のイギリスツアーの途中、マイクが一時脱退。ドラムスにロッド・スタウィンスキを迎え、残るイギリスツアーとアメリカツアーを行った。ツアー後、マイクが復帰。 バッドフィンガーの4枚目にしてアップルでの最後のアルバム『アス』のセッションは1972年9月にアップルの地下スタジオで始まり、5つのレコーディングスタジオで9カ月に渡り続いた。 その間、スタンはワーナー・ブラザースとの間で百万ドル以上に及ぶというレコーディング契約を交渉している。 新レーベルでのアルバムのリリースはアップルから合法的な処置で妨害されている。アルバム『アス』はアメリカでは1973年にリリースされたが、本国イギリスではクオリティの問題や契約に関するごたごたなどの理由で遅らされ1974年5月にやっとリリースされている。 ワーナー・ブラザースで1974年に2枚のアルバムをリリースする契約だったため、バンドは本国イギリスで1年の間で2つのレーベルから3枚のアルバムをリリースすることとなった。結果的にあまりプロモーションもされずじまいでセールスは伸び悩んだ。また、アップルはバンドをロバに見立て巨大なニンジン(ワーナーとの巨額な契約)につられるという皮肉的な絵をこのアルバムのジャケットに使用し、タイトルも『Ass(ロバ)』とした。
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