マジック・クリスチャン・ミュージックとは? わかりやすく解説

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マジック・クリスチャン・ミュージック

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/12 20:17 UTC 版)

『マジック・クリスチャン・ミュージック』
バッドフィンガースタジオ・アルバム
リリース
録音 1968年7月26日 - 1969年11月21日[2]
EMIレコーディング・スタジオトライデント・スタジオ英語版IBCスタジオオリンピック・スタジオ[1]
ジャンル サイケデリック・ポップ
パワー・ポップ
バロック・ポップ
時間
レーベル アップル・レコード
プロデュース トニー・ヴィスコンティマル・エヴァンズポール・マッカートニー
専門評論家によるレビュー
チャート最高順位
  • 55位(アメリカ[3]
  • バッドフィンガー アルバム 年表
    メイビー・トゥモロウ(アイヴィーズ名義)
    (1969年)
    マジック・クリスチャン・ミュージック
    (1970年)
    ノー・ダイス
    (1970年)
    『マジック・クリスチャン・ミュージック』収録のシングル
    テンプレートを表示

    マジック・クリスチャン・ミュージック』(Magic Christian Music)は、イギリスロックバンドバッドフィンガー1970年に発表した初のアルバムである。

    同じメンバーからなる前身バンドのアイヴィーズ[4]が発表したデビュー・アルバム(1969年)を合わせると、通算2作目のスタジオ・アルバムに相当する。同アルバムの収録曲の一部を含んで、同じくアップル・レコードから発表された。

    解説

    経緯

    ピート・ハムトム・エヴァンズマイク・ギビンズ、ロン・グリフィス[5]からなるアイヴィーズは、アップル・レコードと契約を結んで1968年11月にデビュー・シングル「メイビー・トゥモロウ」を発表した。彼等はマル・エヴァンズトニー・ヴィスコンティのプロデュースによりファースト・アルバム『メイビー・トゥモロウ[6]を制作して1969年に日本、西ドイツ、イタリアのみで発表[7][注釈 1]した後、バンド名をバッドフィンガーに変更した。

    バッドフィンガーは同年に公開されたコメディ映画『マジック・クリスチャン[注釈 2]のオープニングテーマ「マジック・クリスチャンのテーマ」を演奏し、2曲のオリジナルを提供した。同映画のサウンドトラック盤はバッドフィンガー名義の3曲とケン・ソーン・オーケストラによる挿入曲を収録して、アップル・レコードから発売される予定だった。しかし同じく映画に使用されたサンダークラップ・ニューマンの「サムシング・イン・ジ・エアー」も収録されることになり、アップル・レコードとサンダークラップ・ニューマンが所属するトラック・レコード[注釈 3]の間で販売権に関する悶着が起きた。その結果、同サウンドトラック盤『マジック・クリスチャン』(The Magic Christian Original Sound Track)は、翌1970年にイギリスではPye International[8]、アメリカではCommonwealth United Records[9]から発売された。

    アップル・レコードは予定していたサウンドトラック盤の発売が中止になって生じた損失を埋めるため、前述の3曲、アイヴィーズの『メイビー・トゥモロウ』の収録曲、新曲を収録した『疑似サウンドトラック』を企画した。

    内容

    マジック・クリスチャンのテーマ」、「ロック・オブ・オール・エイジス」、「明日の風」の3曲は、映画『マジック・クリスチャン』で使用された[10]。「マジック・クリスチャンのテーマ」の作詞、作曲、プロデュースはポール・マッカートニーによる。「ロック・オブ・オール・エイジス」と「明日の風」も、実際にはマッカートニーがプロデュースしたといわれている[2]。1969年8月のレコーディング・セッションを最後に、オリジナル・ベーシストのグリフィスが脱退。9月18日に行われた「ロック・オブ・オール・エイジス」のレコーディングではエヴァンズがベースを弾き、「クリムゾン・シップ」、「ミッドナイト・サン」、「雨の散歩道」も3人編成でレコーディングされた[2]

    英米では未発表だったアイヴィーズの『メイビー・トゥモロウ』から「メイビー・トゥモロウ」、「いとしのアンジー[注釈 4]など7曲が収録された。一部の曲にはリミックスが施された[1]

    1970年2月に発売されたアメリカ盤[11]には「アンジェリーク」と「ギヴ・イット・ア・トライ」を除く12曲が収録され、イギリス盤[12]ではA面の4曲目だった「フィッシャマン」がB面の4曲目に収録された[13]

    ジャケットのデザインはデヴィッド・キング(David King)による。完成直後にジョーイ・モーランドが加入したが、ジャケットは既に完成していたので、裏ジャケットにはハム、エヴァンズ、ギビンズの三人だけの写真が掲載された。

    反響・評価

    イギリスでは先行シングル「マジック・クリスチャンのテーマ」が全英シングルチャートで4位を記録するが、本作は全英アルバムチャート入りを逃した[14]。一方、アメリカでは「マジック・クリスチャンのテーマ」がBillboard Hot 100で7位に達し、本作もBillboard 200入りを果たして55位を記録[3]

    Stephen Thomas Erlewineはオールミュージックにおいて5点満点中3点を付け「魅力的なメロディ、軽妙でサイケデリックな装飾、そして何よりビートルズ的なハーモニーを持つ、この時代の楽しめる作品」と評している[15]

    収録曲

    特記なき楽曲はピート・ハム作。

    1. マジック・クリスチャンのテーマ - Come and Get It (Paul McCartney) - 2:21
    2. クリムゾン・シップ - Crimson Ship (Pete Ham, Tom Evans) - 3:42
    3. いとしのアンジー - Dear Angie (Ron Griffiths) - 2:39
    4. フィッシャマン - Fisherman (T. Evans) - 2:24
    5. ミッドナイト・サン - Midnight Sun - 2:46
    6. 美しく青く - Beautiful and Blue (T. Evans) - 2:40
    7. ロック・オブ・オール・エイジス - Rock of All Ages (P. Ham, T. Evans, Mike Gibbins) - 3:16
    8. 明日の風 - Carry on Till Tomorrow (P. Ham, T. Evans) - 4:47
    9. 愛のとりこに - I'm in Love - 2:26
    10. 雨の散歩道 - Walk Out in the Rain - 3:27
    11. アンジェリーク - Angelique (T. Evans) - 2:28
    12. ノッキン・ダウン・アワ・ホーム - Knocking Down Our Home - 3:40
    13. ギヴ・イット・ア・トライ - Give It a Try (P. Ham, T. Evans, M. Gibbins, Ron Griffiths) - 2:31
    14. メイビー・トゥモロウ - Maybe Tomorrow (T. Evans) - 2:51

    1991年再発盤ボーナス・トラック

    1. ストーム・イン・ア・ティーカップ[注釈 5] - Storm in a Teacup (T. Evans) - 2:31
    2. アーサー - Arthur (T. Evans) - 3:20

    2010年再発盤ボーナス・トラック

    1. アンド・ハー・ダディーズ・ア・ミリオネイア(未発表 別ヴァージョン)[注釈 6] - And Her Daddy's a Millionaire (Alternate Version) (P. Ham, T. Evans) - 2:26
    2. ミセス・ジョーンズ (リミックス) - Mrs. Jones (Remix) - 2:20
    3. サリ・ブルー (未発表 モノ・ミックス) - Sali Bloo (Mono Mix) - 2:46
    4. シー・ソー・グランパ (未発表 モノ・ミックス) - See-Saw Granpa (Mono Mix) - 3:34
    5. アイヴ・ビーン・ウェイティング (未発表 未編集 ミックス) - I've Been Waiting (Unedited Remix) - 5:58

    参加ミュージシャン

    アディショナル・ミュージシャン

    脚注

    注釈

    1. ^ ビートルズ以外のアーティストやバンドの作品に対するアップル・レコードの方針に従って、英米での発表は見送られた。
    2. ^ 主演はピーター・セラーズリンゴ・スター
    3. ^ ザ・フーのマネージャーのキット・ランバートクリス・スタンプが設立したレコード会社。因みに「サムシング・イン・ジ・エアー」をプロデュースしたのはザ・フーのピート・タウンゼントである。
    4. ^ ヨーロッパで2作目のシングルとして発売された。
    5. ^ 1969年ウォールズ・アイスクリームのプロモーション用にアップル・レコードが配布したサンプル用EPに収録された曲。
    6. ^ アイヴィーズ時代の邦題は『ダディは百万長者』。
    7. ^ 当時のバッドフィンガーのマネージャー。

    出典

    1. ^ a b c d Magic Christian Music - Apple Records - 2015年2月7日閲覧
    2. ^ a b c d e f 2005年再発CD(TOCP-67562)ライナーノーツ(藤本国彦、2005年1月)
    3. ^ a b Badfinger | Awards | AllMusic
    4. ^ Discogs”. 2025年3月11日閲覧。
    5. ^ Discogs”. 2025年3月11日閲覧。
    6. ^ Discogs”. 2025年3月11日閲覧。
    7. ^ 『地球音楽ライブラリー ビートルズ』速水丈(監修)、TOKYO FM出版、1997年3月1日、267頁。ISBN 4-924880-88-4 
    8. ^ Discogs”. 2025年3月11日閲覧。
    9. ^ Discogs”. 2025年3月11日閲覧。
    10. ^ The Magic Christian (1969) - Soundtracks - IMDb
    11. ^ Discogs”. 2025年3月11日閲覧。
    12. ^ Discogs”. 2025年3月11日閲覧。
    13. ^ Badfinger - Magic Christian Music (Vinyl, LP) at Discogs - アメリカ盤LPの情報
    14. ^ BADFINGER | Artist | Official Charts - アルバムに関しては「Albums」をクリックすると表示される
    15. ^ Magic Christian Music - Badfinger | AllMusic - Review by Stephen Thomas Erlewine



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