ねこやの扉
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/04 04:52 UTC 版)
異世界と「ねこや」をつなぐ扉で、異世界のあちこちにそれぞれある日突然現れる。黒い樫の扉で、招き猫のように右前足を上げた猫の絵が描かれているのが特徴。取っ手は年代物の真鍮でできており、金色をしている。扉には日本語で「洋食のねこや」と書かれた看板がついていたが、後に、特別営業の日だけは異世界の東大陸語で「異世界料理のねこや」と書かれたものに掛け替えられるようになった。また、異世界に現れる扉は、裏表の両面とも同じ姿をしている。 扉が現れる場所は、街の中、砂漠、洞窟の中、孤島の山の上、月面など様々だが、一度扉が現れ始めるとその後は7日毎(「ねこや」の世界の土曜日)に定期的に出現するようになる。現れる場所が場所だけに、料理店とは思わず金を持たないまま店に入ってくる人物も多いため、初回の客にだけは持ち合わせがなくても料理は出していて、現在の店主も先代の店主も初回の客にはツケを薦めることがよくある。使用は1つの扉に付き1日1回限りで、扉を使うとその日はその扉は消滅する(つまり早い者勝ち)。扉を通過して閉じた時だけでなく、扉が開いてから約300秒(5分)経った時も消えるため、開け放したままにして使い続けるということはできない。他に、扉を開けて、通過せずに閉じた場合は扉は消えてしまうが、扉を開けず、取っ手を回して放すだけであれば、扉は消えないことが確認できる。 人里近くに出現した扉も結構な数があるが、数としては人里離れた辺鄙な場所に出現している扉のほうが多い。 魔術と魔法の道具で成り立っているため、ある程度魔術に長けた人物であれば、近くで出現した扉の魔力を感知して探し当てることができ、アルトリウスとヴィクトリアがそうしているように、魔法陣を使って扉を任意の場所に出現させるということもできる。 当初、作者は、この扉ができた時の話(「ロースカツ」)を最終回(もしくは第1部最終回)にすることを予定していた。 魔法の鈴 「ねこや」の扉に付けられた、右前足を上げた猫を模した形をした金色の鈴(ドアベル)で、この鈴が、「ねこや」と異世界をつなぐ魔法の力を宿している。 異世界からの来客が扉を開けると「チリンチリン」と音がする。この音は魔力の波動を含んでおり、真空中でも響く。魔術が発動していない状態の時は「カランカラン」という音を出す。 元々は1000年以上前のエルフが最も栄えていた時代に作られた魔法の道具で、彼らが店主らのいる世界にかつて渡ってきた際に残したものが骨董品として巡り、30年前に入手した暦(ヨミ)が調整して異世界とつながるようにした。 7日に1度という周期性については、数日の間隔で上下する魔力が最も高まった日にのみ魔法が発動することから生じていると考えられている。 この鈴には、2つの世界をつなげる魔術だけでなく、店内(建物内)の会話を瞬時に翻訳して伝えることができる魔術もかけられており、この魔術は、鈴に初めから備わっていたものではなく、アルトリウスが発明しヨミも使えるという意思疎通の魔術が使われているものと思われる。 マスターキー 扉のマスターキーで、鈴と対になっている魔法の道具。金色をしている。このキーを折ることで、扉の魔術を解き「異世界食堂」を終わらせることができる。 扉の鍵の開け閉め自体は普通のスペアキーでもでき、店主はずっとそれを使っていたが、暦が10年ぶりに来店した際に店主に託した。 入店拒否 ブラックリスト機能があり、過去に店で食い逃げなどのトラブルを起こした者については、たとえ店主が許していたとしても、手が扉の取っ手をすり抜けてしまうようになり、自分では扉を開けることができなくなる(ただし、他の人間が開けた扉を通ることは可能)。 過去に、食い逃げしたハーフリングのネズミや、店主を連れていこうとしてつまみ出された『白の子』が現在も扉の取っ手に触れなくなっているほか、店内で喧嘩した客が出入り禁止処分になったこともあり、常連たちが店の中で食事以外のことでは争わないようにしている動機となっている。 この入店拒否の機能は、暦とアルトリウスが後付けで施した。融通が利かないため、入店拒否の解除はできない。 退店時の扉の働き 異世界に扉が現れるのは「ドヨウの日」(土曜日)だけだが、異世界の住人が「ねこや」から退店する時は、土曜日以外であっても扉は異世界に通じる。 異なる場所から「ねこや」を訪れた者同士が連れ立って同時に退店した場合でも、それぞれが入ってきた時の扉の場所に戻り、店を経由して別の場所に移動するという使い方はできない。物についてはその限りではなく、サラが「ねこや」でジュニアから渡された手帳を持ち出したりしている。 作品中では触れられていないが、店主が異世界に行くことはできず、店主が扉から出た場合は単に店の外に出ることになる。
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