たたき台
「たたき台」とは・「たたき台」の意味
「たたき台」とは、主にビジネスシーンで、素案や草案、概要といった意味で使用される言葉だ。企画書やプロジェクト資料などの元となるものを指す。企画書や資料を無造作に作ろうとすると、支離滅裂な内容になったり、作成がスムーズに進まなかったりする恐れがある。そのため、大抵の場合は、大まかな骨組みとなるたたき台を作ることが望ましいとされる。たたき台という基礎があれば、企画書や資料を作っていく際に、内容がまとまりやすくなり、なおかつ制作がスムーズに進む可能性が高い。たたき台には、文字だけで構成されたものや、簡単なイラストを交えたものなど、様々な形がある。ただ、たたき台はあくまでも、素案や草案として扱われる。そして、社内の人に見せるためのものであるので、デザインやレイアウトなど、細部にこだわって作る必要はない。企画のコンセプトや目的、見積もり額など、重要な情報が入っていて、なおかつ内容がわかりやすければ、たたき台として十分だとされる場合がほとんどである。
本格的な企画書や資料を作るかどうかは、たたき台の内容で判断されることも多い。その判断をなるべく早い段階で行うために、たたき台は短期間で作成することが望ましい。簡単なたたき台であれば、すぐに作成して、メールに添付する形で送ることも珍しくない。そして、上長や会議の判断で、企画書や資料が作られることが決まれば、たたき台を元にして、案の追加や修正を行いながら形を整えていく。
たたき台は、叩き売りを行うための台を指す言葉でもある。叩き売りとは、商売人が台をたたいてリズムを刻みながら、品物の値引き口上を行っていくというものだ。現代では、北九州門司港で行われるバナナの叩き売りなど、伝統的なパフォーマンスとして、叩き売りが行われている地域もある。たたき台は、ビジネスシーンで使用するものと、叩き売りで使うもので、それぞれ漢字の表記が異なる。ビジネスで用いるたたき台の漢字表記は、「敲き台」である。それに対して、叩き売りで使用するものは、「叩き台」という表記だ。そのため、漢字の表記で、使い分けることが可能である。
「たたき台」の語源・由来
ビジネスシーンで使用される「たたき台」の語源となっているのは、刀鍛冶で使用する道具の名前である。刀鍛冶では、熱した金属の棒を刀の形に近づけるため、台に乗せて金槌で何度も叩いていく。その時に使用する台が、たたき台(敲き台)である。金属の棒を叩いて、刀の形に近づけていく様子を、素案や草案に修正や追加の案を加えて、しっかりとした形に仕上げていくことに例えてある形だ。叩き売りで使用するたたき台は、商売人が手や棒を使って叩くことが由来となっている。「たたき台」の熟語・言い回し
たたき台としてとは
「たたき台として」は、何らかの案や概要を、たたき台の名目で作成したり、提出したりする際に使用する表現である。「思いついたアイデアをたたき台としてまとめることにする」「来週の会議で、概要をたたき台として提出することを求められた」といった形で使用する。
「たたき台」の使い方・例文
ビジネスシーンで「たたき台」を使用する場合、以下のような表現になる。「プロジェクトのたたき台を上司に見せたところ、企画書を作るよう命じられた」
「たたき台の内容が却下されたため、修正をすることにした」
「新入社員は、たたき台を早く作ることより、内容にこだわってしまう傾向がある」
「部下からのたたき台が送られてこないので、催促のメールを出すことにする」
「彼のたたき台は、程よくイラストが使われていてわかりやすい」
「今回のたたき台作成にはあまり時間をかけられないので、彼女に任せようと思う」
「彼女のたたき台は、レイアウトを工夫すればそのまま資料として使えるほどのクオリティであった」
「このプロジェクトはそう複雑ではないため、たたき台は簡単で構わない」
叩き売りの台を指す場合は、以下のように使用する。
「あの叩き売りで使用されているたたき台には、数十年の歴史があるそうだ」
「叩き売りを行う商人は、たたき台の素材にこだわると聞いたことがある」
たたき台
原案
原案(げんあん)とは、議論や検討にかけるために考案された最初の段階の案、アイディア。たたき台(叩き台)とも言われる。決定案、修正案等とは対を成す。
概要
理想的には、基本方針に基づいて原案を練り、議論の場においては様々な角度から検討し、実際的な問題点を洗い出し、それらに対応した修正を経て決定される。議決を行う場合、修正案を先にする。ただし日本の企業風土においては、現実的には原案の段階で検討が済んでおり議論ではなく再確認および承認の場になる場合もある。
備考
創作の世界では、作品化される物語やキャラクターの元となる大まかな設定やデザインを考案する人物、作品そのものを指すことが多い。メディアミックスがなされる場合に、作者や権利元・提案元である企業の地位を「原案」とする場合もある。多くの場合、原作または原作者よりは、立場が弱いか、あるいは遠い位置関係を示す。
例として、ライトノベルがアニメ化された場合、元の文章の執筆者が「原作」、キャラクターデザインおよびイラストの執筆者が「キャラクター原案」または「原作イラスト」といった形でクレジットされる場合が多い。
関連項目
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