「東方問題」とクリミア戦争とは? わかりやすく解説

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「東方問題」とクリミア戦争

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/16 17:31 UTC 版)

近代における世界の一体化」の記事における「「東方問題」とクリミア戦争」の解説

詳細は「東方問題」および「クリミア戦争」を参照 1683年第二次ウィーン包囲を境に、オスマン帝国縮小向かった1699年カルロヴィッツ条約オスマン帝国ハンガリーを完全に喪失すると、ヨーロッパ諸国の間にあったオスマン帝国への危機感徐々に薄れ勢力拮抗とともに安定期訪れた。「チューリップ時代」と呼ばれたこの安定期に、オスマン帝国西ヨーロッパ諸国との宥和政策推進し西ヨーロッパ文物流入するようになった。そしてこの安定期を過ぎる頃にはヨーロッパ諸国オスマン帝国力関係逆転したオスマン帝国弱体化につれて、その支配下にあった諸民族独立向けて蠢動するようになり、ヨーロッパ諸国はその動き連動するように、軍事介入繰り返してオスマン領内勢力圏拡大をはかるようになる19世紀前半ヨーロッパウィーン体制代表される列強保守協調によって、かろうじて利害対立回避していたのであり、それは分裂していたイタリア・ベルギーなどの小国犠牲にすることで贖われた勢力均衡依拠するのだった。しかし国民主義高まりによりイタリア統一運動起こりベルギー独立するなど、これらの地域がもはや従属的な地位満足しなくなると、ヨーロッパ諸国は自らの東方存在するオスマン帝国領へ目を転じ、この地域一国が「一人勝ち」する状況排除することで勢力均衡維持しようとした。こうして、オスマン帝国をめぐる紛争当事者以外の諸国介入し外交によってヨーロッパ勢力均衡実現するという構造見られるようになった。このオスマン帝国をめぐる外交問題を「東方問題」と呼ぶようになった。 この「東方問題」は1821年ギリシャ独立戦争の際には、世論喚起する形で他の欧州諸国をこの戦争介入させる結果となり、1830年にはギリシャ独立同年セルビア公国独立1817年)も自治権獲得した。この問題は、19世紀後半中東欧国際政治枠組み再編する契機となったが、それが1853年はじまったクリミア戦争顕在化した。この戦争の発端は、1852年独立宣言したモンテネグロ公国独立戦争にあったが、これを機にロシア地中海への出口求めて南下政策をとり、オスマン帝国領内の正教信徒保護聖地イェルサレム管理権をめぐる対立理由バルカン半島一部占領したロシア地中海進出をおそれたイギリスフランスは、オスマン帝国支援してロシア宣戦しヨーロッパ諸国どうしがヨーロッパ外で全面的な武力衝突に至る事態となった。この結果ロシア敗北し黒海艦隊をおく権利失った1856年講和会議では、ナポレオン3世ナショナリズム擁護しオーストリア中立保って神聖同盟崩壊しロシア孤立した1880年代にいたるとビスマルク卓越した手腕のもとに、ヨーロッパ諸国は「ビスマルク体制」という外交的安定期迎え、この直前行われた1878年ベルリン会議によって、ブルガリア独立(及び独立後の領土見直し)やセルビア等の領土拡大達成されたことにより、「東方」における列強利害関係調整され外交問題としては一応の解決見たかに思われた。 またこのころにはすでにヨーロッパ諸国利害遠く東方」を越えてアフリカ東アジア含めた全世界規模調整されるようになっており、「東方問題」はその重要性相対的に減じていた。しかしながら、このことはバルカン民族問題解決意味しておらず、バルカン半島は相変わらずヨーロッパ火薬庫」であり続けたまた、内外からの攻撃さらされオスマン帝国は「瀕死重病人」と呼ばれるようになった

※この「「東方問題」とクリミア戦争」の解説は、「近代における世界の一体化」の解説の一部です。
「「東方問題」とクリミア戦争」を含む「近代における世界の一体化」の記事については、「近代における世界の一体化」の概要を参照ください。

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