「シャラップ(Shut up)」発言
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/10 02:48 UTC 版)
「上田秀明」の記事における「「シャラップ(Shut up)」発言」の解説
拷問等禁止条約の履行状況を調査する機関である国連拷問禁止委員会は、スイスのジュネーヴで2013年(平成25年)5月21日から22日にかけて、日本に対する審査を行った。 22日に行われた審査の席上でモーリシャスのドマー委員が「日本は自白に頼りすぎでは。中世の名残だ。日本の刑事手続を国際水準に合わせる必要がある」と発言した。日本政府の代表として出席していた上田はこの指摘に対し、ややギクシャクした英語で反論した。記録動画の音声によると上田の具体的な発言は次の通りである(以下、文法上の誤りがある場合もそのまま発言の通り記載する。和訳はAFP通信の記事によるもの)。 Certainly Japan is not in the middle age. We are one of the most advanced country in this field.日本は決して中年世代などではない。この分野では、最も進んだ国の1つだ。 この発言を受けて会場に失笑する声が広がると、上田は再び英語で Don't laugh! Why you are laughing? Sharappu! Sharappu!笑うんじゃない!なんで笑うんだ?黙れ!黙れ!(意訳) と叫び、会場は急に静まり返った。上田は更に以下のように続けた。 We are one of the most advanced country in this field. That is our proud, of course....この分野で進んだ国の1つであることは、もちろん我々の誇りだ。 翻訳家で英会話学校を経営するデイヴィッド・セインによると、"Shut up!"(シャラップ)は日本語で「黙れ」を意味する言葉だが、英語圏では「てめえ、黙りやがれ」といった強いニュアンスで用いられることが多く、知的な表現ではない。また"Shut up!"は普通しゃべっている人を黙らすときに使われるもので、笑っている人に言うのは不自然である。またone of the most advanced countryはone of the most advanced countries が正しく、Why you are laughing?はWhy are you laughing? の誤りである。また形容詞であるproudに所有形容詞のourをつけることはできない。 上田の発言は日本のイメージダウンにつながりかねない不適切なものだといった批判があいつぎ、辞任を求める声も上がった。日刊ゲンダイの取材に応じた外務省関係者によると、上田はもともと英語をあまり得意としておらず、AFP通信も上田の英語力について「あまり得意とは見受けられない」と評している。 また、上田が「中世」を意味する"the Middle Ages"と言うべきところで、「中年」を意味する"middle age"(定冠詞 the がなく、age が単数形)と発声したことが失笑を買った原因だったのではないかとする説も挙げられた。 なお、上田が出席した国連拷問禁止委員会は日本への勧告で、代用監獄、自白強要、独房への監禁、死刑、軍用性的奴隷(従軍慰安婦問題)などの問題を指摘したが、その内容は上田にとっては理解の難しいものであった。日本共産党の紙智子参議院議員は、第2次安倍内閣に対する慰安婦問題の質問主意書で、拷問禁止委員会の勧告についても質問した。6月18日、安倍内閣は「御指摘の趣旨の勧告は、法的拘束力を持つものではなく、(中略)当該勧告に従うことを義務づけているものではないと理解している」と答弁した。 外務省は翌6月17日までに上田に口頭で注意を行ったが、当人も反省しているとしてそれ以上の処分は行わなかった。その後、9月20日付で上田は人権人道担当大使を辞任した。理由は明らかにされていない。
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