「ある男の理想」編(6巻)
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「不能犯 (漫画)」の記事における「「ある男の理想」編(6巻)」の解説
坂口(さかぐち) 多田の交番勤務時代の先輩で階級は巡査。当時から刑事志望で、地道の検挙を重ねるなど努力家。保坂に殴られて一時記憶喪失になった多田の治療の一環で、一時外出するため同行するための警察官として登場する。一軒家を購入し、多田を誘う。結夏の許可もあり、家にあげてもらい坂口の家族全員で多田と結夏をもてなす。 息子のテニスのコーチにいそしんだり、家族サービスに熱心になるなど、多田の知っていた坂口とは変化が見られる。しかし本質は努力しても刑事になれなかった彼のやりきれない思いを、家族にぶつけていただけにすぎず、妻の些細なミスでも暴力をふるうほど激しく叱責したり、息子に対しても苛烈なスパルタ指導など、"完璧な自分の家族"を強要していた。 坂口の娘が結夏に渡した折り紙が「ママをたすけて」のSOSになっており、それを利用した結夏によって坂口の子供の依頼によって宇相吹に狙われることになる。 坂口の娘のSOSの折り紙を多田から知らされ、帰宅して妻を殴りながら問い詰める。業を煮やした坂口はそばにあったドライヤーを手に取り、コードで絞殺しようとするがそれは宇相吹のマインドコントロールで、気が付いた時にはそれで自分の首を絞めていた。そこへ宇相吹が現れ、今回の殺しの依頼の全容を打ち明けられると、多田は自らの出世が坂口を変えてしまった事に激しい動揺を受けるもそれでも尊敬する先輩として守ろうとするが、その守るという発言が逆に彼の自尊心を深く傷つけ、多田が宇相吹を殺すつもりで持っていた包丁を奪い、自ら首を深く切り、自殺してしまう。 死の直前には多田に対して「お前に助けられるなんて、死んでもごめんだ」と長年抱えていた劣等感と嫉妬心、憎悪を顕にする一方で、宇相吹に自らの殺しを依頼した子供達に対しては、元を辿れば自分が子供達をここまで追い込んでしまった事を自覚したのか「自分の意志でこう(自殺)したんだ。お前達は何も悪くない」と寛恕する言葉を言い残した。その為、妻も子供達も坂口の死に嘆き悲しんだ。 宇相吹によると、坂口は「補償の防衛機制」であり"多田の中途半端な正義感で生み出された歪んだ人間"であるとのこと。 この事件を通して多田は宇相吹に関する記憶を完全に取り戻す事となった。 坂口美弥子(さかぐち みやこ) 坂口の妻。夫から裏で苛烈な暴力を受けながらも、夫を一途に愛し続け、元々温厚で真面目だった夫が変貌する原因になった多田を内心憎んでいる。 後に「正義の権力」編(8巻)に再登場。夫の死によって多田への憎悪は更に増長して遂に殺意の域に達し、より屈辱的に死なせる為に、多田が執心している宇相吹に殺させようと考え、宇相吹に対し多田の殺害を依頼しようとするが、宇相吹からは新たに「多田刑事は殺さない」というルールを制定してまで、依頼を頑なに断られてしまう。 それでも多田殺害を諦めきれず、闇サイトの殺しを請け負う犯罪集団を雇い、多田を拉致させる強硬手段に出るが、それを察知した諏訪部ら捜査一課の宇相吹専従班に利用される事となる。その後、宇相吹と多田の前に現れ、多田をナイフで刺殺しようとするが、宇相吹にマインドコントロールと共に水をかけられ、炎で焼かれる幻覚を見せつけられながら錯乱・ショック死する。 宇相吹は咄嗟に多田を守る為に依頼対象でない彼女を殺害する事で、初めて自ら殺しのルールを曲げた事に困惑しながらも、喜びを覚え、自分という存在を壊していく多田に対してますます興味を懐き、珍しく「楽しいね…人間は…」と感想を呟くのだった。 坂口の子供達 坂口の小学校4年生の息子とその妹の幼い兄妹。一見すれば父親を慕う温かい家庭であるが、裏では息子は坂口からテニスのスパルタ教育を受けるなど、美弥子同様に多田への嫉妬心や劣等感から変貌した父に怯える生活を送っていた。 特に父からの当たりがキツい母を救う為に、結夏に娘が折り紙を使ってSOSを送った結果、それを利用しようとした結夏の誘導で、宇相吹が殺し屋であると知らずに父を止めるべく依頼をしてしまうが、それがきっかけで目の前で父を自殺で失う事となる。 2人共「正義の権力」編(8巻)には未登場だったが、結果的に父に続いて母をも失ってしまった彼らのその後の動向は不明。
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