《香典》の正しい読み方
「香典」の正しい読み方
「香典」の正しい読み方は「こうでん」である。「こうてん」や「かてん」などは間違った読み方だ。そもそもは正式には「香奠」と書く語であったが、「奠」が常用漢字ではないために「典」になったとされる。「典」は「辞典」のように音読みで「てん」と読むことが多いが、この場合二文字の後ろの語は濁音にあり「でん」と読む。ほかにはあまり「でん」と読む熟語は見られないので注意したい。「香」においては、「香水」や「香草」の場合と同じように「こう」と読む。「香典」の意味解説
「香典」とは、死者の霊前に香の代わりにお供えするお金のことである。香典の「香」とは、線香の「香」という捉え方が強いだろう。香に代わって金銭を供えることは、現実的には告別式費用をまかなう助けにつながる。すなわち遺族への労わりの気持ちも含まれていることになる。香典においては、香典袋と呼ばれる不祝儀袋に入れて葬儀の受付にて渡すことが一般的である。香典の額や種類は、宗派や故人との関係性によって変わってくる。なぜ「香典」と読むのか・理由
「香典」は「典」の読み方が珍しい。通常は「てん」と読んで「でん」とは読まない。「こうでん」という読み方は、日本語の連濁の影響が強い。連濁とは、二文字でできた熟語の場合に、発音しやすいように後ろの語が濁音になる現象である。「香」と「典」の二文字が組み合わさったことで、「こうてん」よりも「こうでん」のほうが自然に発音できることから「こうでん」と読まれるようになった。清音の「て」が濁音の「で」に変化したのである。「香典」の類語・用例・例文
「香典」の類語は、「弔慰金(ちょういきん)」や「御霊前(ごれいぜん)」、「御仏前(ごぶつぜん)」などが挙げられる。「香料(こうりょう)」や「志(こころざし)」なども類義語に含まれる。「香典」はいろいろな宗派を総称しての葬儀の際にお供えするお金を表すが、「御霊前」や「御仏前」は宗派や法事の種類にもよる。一般的に四十九日前は御霊前、過ぎると御仏前となる。宗派が分からないときは、「お香典」として供えるのが無難である。一方、弔慰金というのは企業が故人の功労として遺族へと渡すお金のことを言う。このように、類語は多少意味が異なるので使い分けが大切だ。・故人の遺言により、香典類なしの葬儀であった。
・彼は非常に優秀な人材であり、感謝とお悔みの気持ちを込めてご家族へ弔慰金を渡した次第である。
・法事のマナーとして、四十九日前の場合は御霊前と書いて手渡す。
・「このたびは大変悲しいことです。御仏前をお持ちしました。お受け取りください。」
・志ばかりだが、友人の死に仲間一同で手向けようと思う。
「香典」の英語用例・例文
「香典」は英語では、「incense money」や「condolence gifts」、もしくは「funeral offering」などと表現ができる。 incense は「香・香料」という意味合いがある。condolenceは「お悔み、追悼の」という意であることからcondolence giftsは香典ということができるだろう。さらに、funeralは「葬儀」で offeringは「供物・贈り物」であることから、funeral offeringは葬儀のお届けもの、すなわち香典になる。・I took some money along as a funeral offering for your mother.(あなたのお母さんのお香典として、お金を持ってきた)
・Monetary condolence gifts are gratefully declined.(都合により、お香典は辞退させていただく)
- 《香典》の正しい読み方のページへのリンク