《行きます》の敬語
「行きます」の敬語表現
「行きます」は、それそのもので敬語として成り立っています。「行く」の丁寧語が「行きます」です。丁寧語は、「です」や「ます」、「ございます」などを付けて丁寧な言い回しをすることによって敬意を表します。例えば、「話す」の丁寧語は「話します」です。敬語には、丁寧語、謙譲語、尊敬語の3種類があります。「行きます」の元の形である「行く」の、ほかの敬語表現についてもみていきます。まず、「行く」の謙譲語は、「参る」、「伺う」です。謙譲語は、自分に対してへりくだった表現を使うことによって相手を立てて、敬意を表します。つまり、「行く」という動作の主語は自分です。自分がどこかへ行く、ということを伝える際に使う敬語が謙譲語です。「わたくしのほうから参ります」などと使うことができます。
「行く」の尊敬語は、「行かれる」、「いらっしゃる」、「おいでになる」です。尊敬語は、相手を高める表現をすることによって敬意を表します。尊敬語の場合、「行く」の動作の主語は自分以外の相手です。「部長は現場の応援に行かれますか？」などのように表現できます。
「行きます」の敬語の最上級の表現
「行きます」の元の形である「行く」にはいくつかの敬語表現がありますが、どの表現が最上級であるか、という問いに対しての明確な答えはありません。丁寧語よりも、謙譲語・尊敬語のほうが丁寧な表現ですので、上記に挙げた敬語表現の中でいうと、「行きます」よりもそのほかの表現「伺います」や「参ります」のほうが丁寧な敬語表現です。謙譲語と尊敬語は、どちらがより上位の敬語表現であるかというような上下関係を決めることはできません。謙譲語と尊敬語の違いは前述の通り、「行く」という動作の主語が自分なのか、自分以外なのかという点です。例えば、「先生は次回の練習に参られますか？」としてしまうと、先生に対してへりくだった表現を使ってしまっているので失礼になります。謙譲語と尊敬語の使い分けに気をつけましょう。「行きます」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
「行く」の敬語表現を使ったビジネスメールの例文をご紹介します。最初の例文は、自分が相手のところへ「行く」場合です。「株式会社〇〇
人事部〇〇様
いつも大変お世話になっております。
株式会社〇〇の〇〇（氏名）です。
面談可能な日時についてのご連絡をありがとうございました。
それでは〇月〇日〇時に伺います。
当日はどうぞよろしくお願いいたします。
署名」
続いては、手紙の例文をご紹介します。
「株式会社〇〇
総務部〇〇様
拝啓
新緑の候、貴社ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
平素は弊社製品をご愛用いただき誠にありがとうございます。
本日は、夏の新製品のご案内をお送りいたします。
新製品の発売にあたり、イベントを行う予定です。
〇〇様は今年のイベントにおいでになりますか？
お忙しいところ恐縮ですが、ご検討のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
敬具
署名」
「行きます」を上司に伝える際の敬語表現
「行きます」は敬語表現として間違っていませんが、上司に伝える際に「行きます」と伝えるのでは少し子供っぽい印象になってしまいます。自分がどこかへ行くことを伝える際には、「伺う」や「参る」と伝えましょう。「明日は新人研修で本社に参ります。」や「来週、〇〇の件で〇〇社に伺うことになっています」などと表現することができます。部長が「行く」ことを敬語で表現する場合には、「行かれる」、「いらっしゃる」、「おいでになる」を使って表現しましょう。「部長は全体ミーティングにいらっしゃいますか？」などと表現できます。取引先などの社外の人に対して、部長が「行く」ことを伝える際には、「部長の佐藤が参ります」としましょう。社外の人に、社内の人の話題を出す時には上司であっても高める表現を使いません。「部長の佐藤が行かれます。」は間違いですので気をつけてください。「行きます」の敬語での誤用表現・注意事項
語尾を「～させていただく」とすると丁寧な印象になるような感じがして、「行かさせていただきます」としてしまう人がいますが、これは間違った表現です。「行かさせていただきます」のように、本来は不要である「さ」を入れてしまう言葉を「さ入れ言葉」と言います。「読まさせていただく」や「休まさせていただく」なども間違った表現です。「～させていただく」という言葉を付けることができるのは、直前の言葉がア行以外で終わる場合です。「行かさせていただく」の「行か」はア行で終わっています。分かりやすくローマ字で書いてみると「IKA」です。「読まさせていただく」の「読ま」も「YOMA」でア行です。「そのお話を受けさせていただく」の場合であれば、「受け」は「UKE」でエ行ですので「～させていただく」を付けることができます。ややこしく感じるかもしれませんが、少しずつ慣れていって正しい表現を使えるようになりたいものです。「行きます」の敬語での言い換え表現
「行きます」の元の形である「行く」は、「赴く（おもむく）」や「訪ねる」と言い換えることができます。「赴く」の敬語表現には、「赴きます」があります。また、自分が「赴く」場合には「赴かせていただく」、相手が赴く場合には「赴いていただく」となります。それぞれ、「わたくしから赴かせていただいてよろしいでしょうか。」、「現場まで一緒に赴いていただきありがとうございます。」などのように使うことができます。「訪ねる」の敬語表現は、「訪ねます」、「お訪ねする」、「お訪ねになる」です。自分が訪ねる場合は「明日、先生のお宅をお訪ねします」、相手が訪ねる場合は、「昨日、会長自ら〇〇社にお訪ねになりました。」、それぞれこのように使うことができます。「赴く」という言葉では少し冗長であると感じる場合には、相手やシーンに合わせて「訪ねる」を使ってみるのも良いでしょう。
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