《聞いてください》の敬語
「聞いてください」の敬語表現
「聞いてください」は、そのままで敬語表現となっています。「ください」は「くれ」の丁寧語ですので、「聞いてください」は話を聞いてほしいという時に使える敬語表現です。ただ、「聞いてください」だけの場合、一方的で命令のようだと感じる人もいるかもしれません。敬語には、丁寧語、謙譲語、尊敬語の3種類があります。丁寧語は、言葉の始めに「お」や「ご」を付けたり、文末を「です」や「ございます」などにして丁寧な言い回しをする敬語です。先述した「聞いてください」は丁寧語です。丁寧語は日常生活で広く使われており、敬意はさほど高くありません。丁寧語よりも、謙譲語、尊敬語のほうが高い敬意を伝えることができます。謙譲語は、自分に対してへりくだった表現を使うことによって相手を立たせ、敬意を表す敬語です。「聞いてください」の場合、「聞く」という動作をするのは自分以外の他人ですから、謙譲語はありません。尊敬語は、相手を高める表現をして敬意を表します。「お聞きください」の尊敬語は「お聞きになる」、「お聞きください」です。例えば、「〇〇さんが福岡支店に異動される件、もうお聞きになりましたか？」などのように表現できます。
「聞いてください」の敬語の最上級の表現
「聞いてください」の最上級の敬語表現は、「お聞きいただけましたら幸甚に存じます」です。「幸甚」は「こうじん」と読みます。幸甚は、「非常にありがたい」や「この上なくうれしい」などの意味です。文書や礼状など、あらたまった表現が好まれる場合によく使われています。「存じます」は、「知る」や「思う」の謙譲語である「存じる」に、丁寧語の「ます」が付いていて非常に丁寧な敬語表現です。「大変恐縮ではございますが、本日中にご返信いただきたく存じます」などのように、相手に対して丁重に伝えたい場合に使われます。文末を「幸甚に存じます」とする表現は、ビジネスシーンやかしこまった場面に適していて、高い敬意を伝えることができる表現です。「聞いてください」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
「聞いてください」の敬語表現を使った例文をご紹介します。「お聞きください」という言葉は、文末表現を工夫することでより丁寧な伝え方をすることができます。まずは、ビジネスメールの場合の例文をご紹介します。「営業部〇〇様
お疲れさまです。
支店管理部の〇〇（氏名）です。
お問合せいただいた書類の件ですが、本社にございます。
総務の山田さんがご担当ですので、お聞きいただければと存じます。
恐縮ですが、よろしくお願い申し上げます。
署名」
続いては、手紙の例文をご紹介します。
「株式会社〇〇
人事部〇〇様
拝啓
盛夏の候、貴社ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
平素は弊社サービスをご利用いただき誠にありがとうございます。
〇月〇日〇時より、弊社会議室にて「営業力向上研修」を行います。
座学研修だけでなくプレゼンの実践演習や、営業職30年以上のベテラン講師に直接質問ができる質疑応答の時間も用意しております。
日ごろ営業の仕事を進める中でのお困りごとやお悩みなど、講師に直接お聞きいただければ幸いです。
弊社サービスユーザーの皆様は無料でご参加いただけます。
ご検討のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
暑い日が続きますがくれぐれもご自愛ください。
敬具
署名」
「聞いてください」を上司に伝える際の敬語表現
「聞いてください」を上司に伝える場合には、「お聞きになる」、「お聞きください」といった敬語表現が適しています。上司から「〇〇常務に出張日程変更の件を伝えたか」と聞かれた場合に、「日程変更の件について、〇〇常務は秘書から既にお聞きになったそうです」などのように使うことができます。また、上司から「研修用資料について確認したいのだが…」と声をかけられた場合には、「研修用資料については田中さんが担当していますので、お聞きください」などと答えることができます。「お聞きください」は正しい敬語ですが、上司に対して使うのは「失礼ではないか…」と心配になる人もいるかもしれません。「お聞きください」だけでは少し一方的な言い方であると感じる人もいるでしょう。そのような場合はクッション言葉を活用することをおすすめします。クッション言葉には、「恐縮ですが…」や「申し訳ございませんが…」、「お忙しいところ恐れ入りますが…」などがあります。文の始めにクッション言葉を置くことによって、文章全体がやわらかい雰囲気になります。先ほどの例の場合ですと、「申し訳ございませんが、研修用資料については田中さんが担当していますので、お聞きください」、このような感じで使うことができます。
「聞いてください」の敬語での誤用表現・注意事項
「聞いてください」の間違いやすい表現についてみていきます。まず「伺ってください」という表現は間違った敬語表現です。「伺う」は「聞く」の謙譲語であり、自分が聞く場合に使う敬語表現です。「伺ってください」では、自分以外の他人をへりくだって表現していることになります。また「ご拝聴ください」という表現も間違っています。「拝聴」も「聞く」の謙譲語です。「伺う」も「拝聴」も、丁寧な言葉という感じがするため、間違いやすいです。謙譲語は自分をへりくだって表現する敬語、尊敬語は相手を高める表現をする敬語です。敬語を使う際は、言葉の響きの丁寧さに惑わされないように気をつけてください。「聞いてください」の敬語での言い換え表現
「聞いてください」は、「お尋ねください」と言い換えることができます。「見学の途中で道に迷われましたら、各工場の入り口にあるインフォメーションにてお尋ねください」などのように使うことができます。「聞いてください」は「ご確認ください」とも言い換えることができます。「ご確認ください」はビジネスシーンで多用される表現です。「資料をお送りいたしましたのでご確認ください」のように使われています。ほかに、「何なりとお申し付けください。」といった言い換え表現もあります。「何なりとお申し付けください」は、「用件があれば何でも言ってください」や「お気軽に質問してください」というニュアンスを伝えることができる表現です。相手やシーンによって様々な表現を使い分けてください。- 《聞いてください》の敬語のページへのリンク
