《聞いた》の敬語
「聞いた」の敬語表現
「聞いた」の尊敬語は「お聞きになった」、謙譲語は「伺った」「拝聴した」、丁寧語は「聞きました」です。「お聞きになった」は、「おききになった」と読みます。「聞く」の尊敬語「お聞きになる」の連用形「お聞きになり」が促音便化して、助動詞の「た」がついた形です。「た」は、過去や完了、存続や確認を表します。意味は「音や声を耳に感じ取られた」「耳を傾けられた」「尋ねられた」などです。謙譲語の「伺った」は、「うかがった」と読みます。動詞「伺う」の連用形「伺い」が促音便化して、助動詞の「た」がついています。意味は「お聞きした」「問うた」などです。「拝聴した」は、名詞「拝聴」に動詞「する」の連用形「し」が続き、助動詞「た」がついています。意味は「つつしんで聞いた」です。
丁寧語の「聞きました」は、「ききました」と読みます。動詞「聞く」の連用形「聞き」に丁寧の助動詞「ます」の過去形「ました」がついています。意味は、「音や声を耳に感じ取った」です。
「聞いた」の敬語の最上級の表現
敬語の最上級の表現は、最高敬語です。最高敬語は、天皇や皇族、王や王族に対してのみ使うことができる尊敬語になります。「お聞きになった」の最上級の表現は、二重敬語の「お聞きになられた」です。「お聞きになった」という尊敬語に、軽い尊敬の意を表す助動詞「られる」の過去形などを意味する「られた」が重なっています。二重敬語は、同じ種類の敬語が1つの言葉の中に2つある敬語です。「聞いた」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
「聞いた」の尊敬語である「お聞きになった」を使ったビジネスメールや手紙では、次のような使い方ができます。肯定文では「お客様がお聞きになったことには、できるだけ早く返信してください」、疑問文では「お客様から、なにをお聞きになったのでしょうか」、否定文では「課長は来週の定例会議のことについて、お聞きになっていないそうです」のようになります。謙譲語である「拝聴した」を使うときは、次のように使います。肯定文では「社長の御高説を拝聴したことがあります」、疑問文は「社長の御高説を拝聴したことがありますか」、否定文では「社長の御高説は拝聴しなかったので、内容は存じません」となります。
丁寧語である「聞きました」を使った例文は、次の通りです。肯定文では「社長の話を聞きました」、疑問文では「社長の話を聞きましたか」、否定文では「社長の話は聞いていません」のように使います。丁寧語が配慮しているのは人ではなく、場や聞き手、読み手です。フォーマルな場で人やもの、場などに使うことができるとされていますが、取り引き先など改まった関係性の場合は尊敬語や謙譲語を使う方が無難です。
「聞いた」を上司に伝える際の敬語表現
「聞いた」を上司に伝える際も、基本的にはメールや手紙と同じような使い方になります。尊敬語「お聞きになった」を使う場合は、次の通りです。肯定文では「社長はお客様の意見を、直接お聞きになりました」、疑問文では「社長はお客様の意見を、直接お聞きになりましたか」、否定文では「社長はお客様の意見を、直接お聞きになっていません」となります。謙譲語には「伺う」もあるので、ここでは「伺った」の例文を示します。肯定文では「社長の出身地を伺ったことがあります」、疑問文は「社長の出身地を伺ったことがありますか」、否定文は「社長の出身地を伺ったことはありません」となります。
丁寧語の「聞きました」を使う場合は、次のように言います。肯定文は「社長は、風邪で欠席だと聞きました」疑問文は「社長の欠席理由を聞きましたか」、否定文では「社長の欠席理由は聞いていません」となります。口頭の場合も、丁寧語は上司との関係性によって使い分けましょう。
「聞いた」の敬語での誤用表現・注意事項
「聞いた」の謙譲語には「拝聴した」「伺った」がありますが、意味が多少異なるので使い方には注意が必要です。「耳を傾ける」という意味で「聞く」を使う場合は、特に「聴く」という漢字を使います。「伺った」は単に「聞いた」場合にも使えますが、「拝聴した」は「耳を傾けた」場合にのみ使います。従って「社長は欠席すると拝聴したので、昼食を手配しませんでした」は、そぐわない表現です。「聞いた」の敬語での言い換え表現
「聞いた」の言い換えには、「知った」があります。「知った」の場合には尊敬語の特別な動詞があるので、尊敬語は「ご存知だ」になります。謙譲語は「存じています」、丁寧語は「知っています」です。「知った」の謙譲語の普通体は「存じている」ですが、「存じている」は現在の日本では使えません。そのため、必ず丁寧体の「存じています」の形になります。「聞いた」の言い換えとして「耳にした」を使うと、尊敬語は「お耳にされた」です。謙譲語は「伺った」、丁寧語は「耳にしました」となります。
「聴いた」という意味での言い換えには、「傾聴した」があります。尊敬語は「ご傾聴になった」です。謙譲語は「拝聴した」、丁寧語は「傾聴しました」となります。
「お尋ねになった」は、「聞いた」を「尋ねた」の意味で言い換えたときの尊敬語です。謙譲語は「お伺いした」、丁寧語は「お尋ねしました」になります。
《聞いた》の敬語
「聞いた」の敬語表現
「聞いた」は、日常生活でよく使われる言い回しですが、伝える相手によって適切な敬語表現に置き換えて話すことが必要です。例えば、「聞いた」を「聞きました」に言い変えるだけでも、相手に与える印象は格段にやわらかくなり、丁寧なコミュニケーションにつながります。ただし、「聞きました」はあくまでも丁寧語なので、相手を尊重して高めるための敬語表現にはあたりません。そこで、目上の人に対して「聞いた」と伝える時には、謙譲語の「伺いました」「承っております」などに言い換えることで、自分がへりくだりながら相手を立てることができ、十分な敬意を表すことが可能です。そのほか、「聞いた」を言い換える敬語表現には「拝聴しました」「拝聞しました」という謙譲語もありますが、こちらは会話の中で使うと、場合によっては過剰に堅苦しい印象を与えてしまう時があります。そのため、話し言葉として使うよりも、目上の人への手紙や取引先へのビジネスメールといった文章の中で使うようにすると、自然な敬語表現として活用できるでしょう。「聞いた」の敬語での誤用表現・注意事項
「聞いた」の敬語表現でよくあるミスは、尊敬語と謙譲語を取り違えてしまうことです。例えば、相手の行動に対して使うべき尊敬語を「私がお聞きになりました」「その件はこちらでお聞きになっています」というように、自分の行動を表すのに使うのは間違っています。同様に「ご自分で伺いましたか?」「スピーチを拝聴されましたか?」など、相手の行動に対して謙譲語を使うこともNGです。ただし、上司など目上の人のことであっても、社外の人に対して話す時には「部長から伺っています」ではなく「部長から聞いております」が正しい表現になります。1番に敬意を表すべき相手が誰なのかを考えて、注意しながら言い換えるようにましょう。「聞いた」の敬語での言い換え表現
・聞きました・聞いています・聞いております・伝え聞きました・伝え聞いております・たしかに聞いております・その件は、すでに聞いております・聞き知りました・聞き知っております・聞き及んでおります・耳にしました・耳にいたしました・小耳に挟みました・小耳に挟んでおります・伺いました・伺っております・たしかに伺っております・伺っておりますのでご安心ください・承りました・承っております・たしかに承っております・拝聴しました・拝聴いたしました・たしかに拝聴いたしました・拝聴いたしております・拝聞しました・拝聞いたしました・たしかに拝聞いたしました・拝聞いたしております- 《聞いた》の敬語のページへのリンク