《肉芽》の正しい読み方
「肉芽」の正しい読み方
「肉芽」の正しい読み方は、「にくげ」あるいは「にくが」である。いずれも「肉」と「芽」の漢字をそれぞれ音読みしてある形であり、特殊な読み方ではない。「芽(げ)」も、常用外ではあるが、問題ない読み方である。ただ、「にくげ」と「にくが」では、意味が大きく異なり、使用する場面も違う。したがって、状況に応じて使い分ける必要はある。場面に合っていない方の読み方をすると、間違いとなってしまう。「肉芽」の意味解説
「肉芽(にくげ)」は、医療用語であり、人体における若い細胞組織を指す。人の体は、傷が付いたり炎症が起こったりすると、自己治癒力によって細胞を作り出し、元の状態に戻ろうとする。その際に作られる細胞が、肉芽である。基本的には、傷や炎症が原因で、人体で新しく作られる細胞全てを指し、身体の表面だけでなく、内蔵で生まれるものも対象だ。また、細胞が集まって腫瘍状になった「肉芽種(にくげしゅ)」を略して、肉芽と呼ぶ場合もある。それに対して「肉芽(にくが)」は、主に植物の茎の部分に発生する芽のことである。特に、大量の養分を吸うことによって、肉のように厚みを持ったものを指す。なぜ「肉芽」と読むのか・理由
医療業界で「肉芽」を「にくげ」と読むのは、古くから新しい細胞を意味する際には、「にくげ」という読みが使用されてきたからである。20世紀初頭の段階で、「にくげ」と呼ばれていた記録が残っている。そして、植物の芽を指す場合には、常用の読みである「芽(が)」が使用され、「肉芽(にくが)」となっている。「肉芽」の類語・用例・例文
医療用語としての「肉芽(にくげ)」は、新しい細胞あるいは肉芽腫を指すために使用する。例文にすると、「傷の検査をしたところ、肉芽組織は問題なく作られているところであった」「ピアスホールを自ら開けた結果、肉芽ができてしまった」といった形だ。植物の「肉芽(にくが)」を指す場合は、「この植物は肉芽ができるのが通常である」「植物の茎に見たことがない膨らみがあるが、これは肉芽だろうか」のような使い方となる。医療用語の「肉芽」の類語としては、「瘢痕(はんこん、きずあと)」が挙げられる。肉芽組織が変化したものである。傷や炎症ができた場合、肉芽組織が作られ、傷あるいは炎症が起こった部分を覆っていく。その後、肉芽は硬質化し、最終的には瘢痕として残る。植物の「肉芽」の類語としては、「零余子(むかご)」がある。肉芽の別名であり、特に食材として使用されるヤマノイモやナガイモなどの肉芽を零余子と呼ぶことが多い。その他にも、「珠芽(しゅが)」という類語があり、意味は肉芽や零余子と同じである。
「肉芽」の英語用例・例文
医療用語の「肉芽」を英語で表現すると、「granulation」となる。「肉芽形成」という意味を持つ単語だ。また、「肉芽腫」という意味の場合は、「granuloma」を使用する。それらを用いて例文を作ると、「The wound on my arm healed by granulation(腕の傷が肉芽によって治った)」「It looks like I have a granuloma in my ear(耳に肉芽があるようだ)」となる。植物の肉芽は、「bulbil」という単語で表現する。例文にすると、「Bulbil is growing well(肉芽が順調に育ってきた)」「This bulbil is edible and very delicious(この肉芽は食すことが可能で、非常に美味である)」という風になる。《肉芽》の正しい読み方
「肉芽」の正しい読み方
「肉芽」は「にくが」もしくは「にくげ」と読む語。植物学の分野では「にくが」と読み、医学・医療の分野では「にくげ」と読むことが多い。たとえば医学用語である「肉芽腫」は、普通は(慣用的に)「にくげしゅ」と読まれる。
「肉芽」の意味解説
植物学の分野における「肉芽(にくが)」は、主にヤマノイモ科の植物の葉腋(葉の付け根)に生じる珠芽(丸い芽)のことである。「むかご(零余子)」という呼び名でも知られている。葉腋から離れて地上に落ちると根を出し、あらたな個体として生長する。あるいは食材として利用される。医療分野における「肉芽(にくげ)」は、外傷や炎症に伴い形成される、盛り上がった塊状の組織のことである。損傷した組織を治癒するする過程で生じる。肉芽は毛細血管や繊維芽細胞、好中球、大食細胞、遊走細胞などからなる。体内に侵入した異物を排除しきれない場合に、組織が病巣を分離するために肉芽を形成することがあり、これを肉芽腫という。
なぜ「肉芽」と「にくが」「にくげ」と読むのか・理由
肉芽を「にくが」と読むのは、素直な音読みである。ちなみに「肉」は音読みが「ニク」であり、訓読みは「しし」である。訓読みで「しし」と読む例としては「太り肉(ふとりじし)」が挙げられる。
「芽」の音読みは「ガ」のみである。訓読みが「め」。すなわち、「げ」という読み方はない。
医療分野で「にくげ」と読まれるようになったのは、1906年に発行された「日独羅医語新字典」が影響していると言われている。この本で「肉芽」を「にくげ」と読んだことから、日本の医療業界ではこう読まれるようになったらしい。
- 《肉芽》の正しい読み方のページへのリンク