"John Barron" (1980年代)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/26 15:45 UTC 版)
「ドナルド・トランプが使用する偽名」の記事における「"John Barron" (1980年代)」の解説
トランプが1980年代を通して使っていた偽名は「ジョン・バロン」(英: John Barron)だった。1980年の使用例が知られているうちで最初のもので、最後は1990年である。ワシントン・ポストによれば、この名前は「〔トランプが〕監視の目を向けられている時に頼りにしていた変名であり、タフなフロントマンが必要というよりも自分の名前を名乗らずに伝えたいメッセージがあるときに重宝していた」。バロンは、トランプのスポークスマンであるという触れ込みだった。 バロンの名が初めてメディアに登場するのは1980年5月7日の新聞記事である。トランプ・オーガナイゼーションがワールド・トレード・センターを1億ドルで購入する計画を進めている可能性があることを報じる記事であり、紙面には「同社の副社長であるジョン・バロン」による「私にはそんな話が進んでいるのかどうかはわからないが、可能性の1つではある」という談話が掲載された。1980年6月1日付のニューヨーク・タイムズの記事では、メトロポリタン美術館との約束をトランプが反古にしたことでも物議をかもした、老舗百貨店ボンウィット・テラー(後のトランプ・タワーの所在地)に設置されていたレリーフが建物の改修のため破壊された事件について、「バロン」がトランプを擁護している。この時は、偽名を名乗る副社長がトランプのスポークスマンとして3日間にわたり紙面に登場した。その後の10年間もトランプは折に触れては「バロン」として振る舞い続けた。1983年には、クリーブランド・インディアンスを買収しないとトランプは決断したと、「バロン」がマスコミに対して語っている。 1984年5月、トランプを長者番付の「フォーブス400」に掲載させるため、「バロン」は当時フォーブスの記者であったジョナサン・グリーンバーグに虚偽の情報提供を行った。「バロン」は「〔ドナルド・トランプの父フレッド・トランプの〕資産の大部分は〔ドナルド・〕トランプ氏の資産と一体になっている」と語っていた。2018年4月に、グリーンバーグは「バロン」とやりとりした当時の録音を発見してそれを公開するとともに「トランプは〔バロンという〕ソックパペットを通じて、フレッド・トランプの資産の『90パーセント超』は自分が保有している、と私に語った」と証言した。最終的にグリーンバーグはトランプをフォーブス400の最下位にあたる1億ドルの資産家としてトランプを掲載したが、この金額は「バロン」がトランプの純資産と主張した5億ドルの5分の一である。グリーンバーグによれば、当時のドナルド・トランプの資産額は5百万ドル以上であったことはなく、フォーブスの推計の5パーセント、「バロン」の主張の1パーセントに過ぎなかった。後に裁判記録からも明らかになったが、トランプは父フレッドが1999年に亡くなるまで父親の資産は一切所有していなかった、とグリーンバーグは証言し、フォーブスの記録を訂正した。また父の死後も、トランプが遺産として相続したのはあくまで彼に分与された分だけであり、彼のほかに3人いたフレッドの子と何人かの孫もまたベネフィシャリーとして相応の遺産を相続していた。 1984年にも「バロン」はマスコミに対してニューヨークにトランプ・キャッスルを建設する計画が頓挫したことを良いように捻じ曲げた風説を流している。1985年、USFL(当時NFLのライバルであったフットボールリーグ)でトランプがオーナーを務めるニュージャージー・ジラルズが高額な年俸の選手と契約交渉を進めていた際には、「バロン」が、他のUSFLのオーナーたちに対して年俸の「一部を肩代わり」するように迫る談話が紙面に掲載された。1985年4月には、「トランプ・オーガナイゼーションの副社長、ジョン・バロン」が、同社がアトランティックシティにある開業前のヒルトンホテルを買収する契約を結んだとメディアに発表している。 John Barron Twitterより @barronjohn1946 Hello I am brand new to Twitter, what are you guys up to Jan 8, 2021 トランプは、裁判でジョン・バロンが自分の偽名の1つであることを証言せざるを得なくなり、その後この偽名を使うことをやめた。ワシントン・ポストは、「裁判で『私がこの名前を使った場面もあると思う、と1990年に宣誓のもとで証言』していなければ、トランプはその後もジョン・バロンの偽名を使っていた可能性があることを示唆している。 2021年1月にトランプがプライベートで使っていたTwitterアカウントが永久凍結された直後、@barronjohn1946というユーザー名のアカウントがTwitterに登場した。このアカウントのプロフィール欄には、自己紹介ととして「ドナルド・トランプ以外」、場所は「ホワイトハウス以外」と登録されていた。トランプをからかうことが目的での登録とみられていたが、このアカウントには2021年1月9日の時点で15万を超えるフォロワーがつき、最初のツイートには83万6千以上の「いいね」がついた。
※この「"John Barron" (1980年代)」の解説は、「ドナルド・トランプが使用する偽名」の解説の一部です。
「"John Barron" (1980年代)」を含む「ドナルド・トランプが使用する偽名」の記事については、「ドナルド・トランプが使用する偽名」の概要を参照ください。
- "John Barron"のページへのリンク