かまじょうせっけっきゅう‐しょう〔かまジヤウセキケツキウシヤウ〕【鎌状赤血球症】
読み方:かまじょうせっけっきゅうしょう
鎌形赤血球症
鎌状赤血球症
鎌状赤血球症
鎌状赤血球症
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/31 15:37 UTC 版)
鎌状赤血球症は、赤血球の中で酸素を輸送する役割を担うタンパク質であるヘモグロビンのサブユニットに変異が生じることで発症する疾患群である。鎌状赤血球症の中でも最も危険なものは鎌状赤血球貧血として知られている。鎌状赤血球貧血は、最も一般的なホモ接合型劣性単一遺伝子疾患であり、この病気に苦しむ患者は、罹患した遺伝子の両方のコピー(両親から受け継いだもの)に変異がなければならない。ヘモグロビンは複雑な四次構造を持ち、αサブユニット2個とβサブユニット2個の、計4個のポリペプチドサブユニットから構成されている。鎌状赤血球貧血の患者は、ヘモグロビンβサブユニットのポリペプチド鎖をコードする遺伝子にミスセンス変異または置換変異がある。ミスセンス変異とは、ヌクレオチド変異により、全体的なコドントリプレットが変化し、異なるアミノ酸が新しいコドンと対になることを意味する。鎌状赤血球貧血の場合、最も一般的なミスセンス変異は、ヘモグロビンβサブユニット遺伝子のチミンからアデニンへの一塩基変異である。これにより、コドン6がアミノ酸のグルタミン酸のコードから、バリンのコードへと変化する。 このようなヘモグロビンβサブユニットのポリペプチド鎖内の一次構造の変化は、低酸素状態におけるヘモグロビンマルチサブユニット複合体の機能を変化させる。赤血球が体内の組織に酸素を放出すると、変異したヘモグロビンタンパク質は赤血球内でくっつき初め、半固体構造を形成する。これにより、赤血球の形状が歪み、特徴的な「鎌状」の形になり、細胞の柔軟性が低下する。この硬くて歪んだ赤血球は、血管内に蓄積して閉塞を引き起こすことがある。その閉塞は組織への血流を妨げ、組織が死滅して患者に大きな苦痛をもたらすことがある。
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鎌状赤血球症
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 16:00 UTC 版)
鎌状赤血球症は、遺伝性の貧血病で、赤血球の形状が鎌状になり酸素運搬機能が低下して起こる貧血症である。主にアフリカ、地中海沿岸、中近東、インド北部で見られる。 11番染色体にあるヘモグロビンβ鎖の第6番目のアミノ酸置換(グルタミン酸がバリン)に変わる遺伝子突然変異が原因であり、常染色体劣性遺伝をする。遺伝子型がホモ接合型の場合、常時発症しているのでたいていは成人前に死亡するが、遺伝子型がヘテロ接合型の場合、低酸素状態でのみ発症するので通常の日常生活は営める。鎌状赤血球遺伝子を持つ者は、日本にはほとんど見られないが、マラリアが比較的多く発症するアフリカにはかなり見られる。これは鎌状赤血球が短時間で溶血してしまうため、マラリア原虫が増殖できず、マラリアの発症を抑えるためである。
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