新展開
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/15 15:14 UTC 版)
DXの時代に入って、活用可能なソフトウェアの選定が重要な要素となることから、これまでの展開と今後の展開を辿ることで、適切な選定のツールとして開示する。 ■ 海外展開: 海外におけるUC-win/Roadユーザの急増を受け、2007年には中国(上海)に合弁会社を設立し、シンガポール、インド、オーストラリアに駐在事務所を設置するなどグローバルな展開を強化。青島(中国)、台湾、ベトナムなどにもグループ会社を設立し、韓国をはじめアジアや欧米、中東の各国で海外代理店網を拡張している。 ヨーロッパ市場については、2007年にロンドンオフィス(ヨーロッパ事務所)を設立し、現地販売代理店とともにUC-win/Roadの販売展開、ヨーロッパ企業の製品の日本での販売展開、関連する展示会への出展などを実施。2021年にはアイルランド・ダブリンにFORUM8 Irelandを設立しており、独占代理店契約を結んで活動を開始している。 主力製品の多言語対応(英語・韓国語・中国語・フランス語等)を進めており、近年では特に、国産統合型3DCGソフトShade3D(英語・中国語版)の海外展開に力を入れている。また、2020年に型式認定を取得し、国内の教習所、免許センターなどで安全運転講習に活用できる「安全運転シミュレータ」は、走行環境のVRを交通ルールや信号現示など各国の状況に合わせて設定可能であり、ベトナムの政府機関などアジアを中心として積極的に展開されている。 ■ VR技術の開発とDX推進の展開: 時代の進展に合わせたVR技術の開発により、UC-win/Roadは、プロジェクト全体や交通・自動車研究などの分野で幅広く活用されている。近年は、これらの3DVRを中核としたVRプラットフォームの構築および、インフラデジタルDB(道路・橋梁等)を整備してプラットフォームに組み込むことによるDX推進にも力を入れている。 2019年12月には、第8回ものづくり日本大賞「Connected Industries -優れた連携」部門で、「VR Design Studio UC-win/Roadのオープンデータ連携による多様な技術・分野間でのコネクト加速」が経済産業大臣賞を受賞。「3DVRを提供することで利害関係者間の合意形成支援が可能」、「種々のオープンデータや産業分野を結ぶプラットフォーム」といった受賞理由が挙げられている。 また、VRプラットフォームをベースとした統合的なレジリエンス強化への取り組みが評価され、2021年3月、「FEM/CAD/Cloud等各種ソフトと連携したVRプラットフォームとインフラデジタルDB統合によるレジリエンス強化」をテーマとして、一般財団法人レジリエンスジャパン推進協議会による「ジャパン・レジリエンス・アワード(強靭化大賞)」の準グランプリ「特別顧問賞 古屋圭司(初代国土強靱化大臣)賞」を受賞している。 経済産業省の令和3年度「産業技術実用化事業費補助金(次世代ソフトウェアプラットフォーム実証事業)」では、「XR技術を用いた次世代コミュニケーションプラットフォーム開発事業」が採択されている。これは、あらゆる空間を3DVR化しインタラクティブに活用可能なF8VPS(フォーラムエイトバーチャルプラットフォームシステム)を基本システムとして、MRデバイスを使った低遅延・多拠点リアルタイムシステム対応の開発を行うものである。 このF8VPS(フォーラムエイトバーチャルプラットフォームシステム)、は各種3DVR空間を演出するアプリを作成するためのフレームワークであり、クラウド上で現実と同様のリアルタイムコミュニケーションが行えるシステムを短時間に作成できる。また、都市空間、オフィス、ショールーム、工場など、目的に応じたパッケージカスタマイズ製品として提供できる。 災害大国と言われる我が国でのDX対応は、まさしくVRプラットフォームを活用することで、近年の防災教育や避難計画の用途にも有効であり、市民の防災意識の浸透・向上がさらなるレジリエンスにつながると考えられる。 ■ ドライブシミュレータへの展開 UC-win/RoadのVRと連携し、ITS、ADAS・自動運転、MaaSソリューションなど多様な研究・開発をサポートするドライビングシミュレータをシステムインテグレーションにより提供。パッケージ機能を最大限に活用することで、ドライブシミュレータをはじめとした各種訓練・研究・実験用システムを効率的に構築・提供している。車両運動モデルやHILSとリアルタイムで連携し、開発キットであるSDKおよび充実したソフトウェアライブラリの利用により、外部データや各種センシングモデル、既存システムとの連携や追加開発も行っており、AUTOSARに対応した自動車ECU向けソリューションも提供している。自動車の他にも、自転車、バイク、車いす、鉄道、船舶など多様なシステムに対応している。 UC-win/Road 安全運転シミュレータ 運転シミュレータ型式認定基準((公財)日本交通管理技術協会)に準拠した運転教習所向けドライビングシミュレータ。運転時の危険場面や注意場面を再現、筐体は42インチ3画面の広視野角モニター、自動車部品のステアリング機構を搭載した、実車に近い感覚でのシミュレーションを可能とするシステムとなっている。2020年8月に運転シミュレータ型式認定(国家公安委員会)を取得。[認定番号:交L20-1、交L20-2、交L20-3、交L20-4] 8DOF交通安全シミュレータ(Traffic Safety Simulator) 中国交通部が交通安全研究のために計画したシステムで、交通運輸部公路科学研究院が仕様を作成、構築した大型シミュレータ。2009年1月の国際入札でフォーラムエイトが単独受注し、2014年2月に完成。 UC-win/Roadをベースとした高性能大型ドライビングシミュレータのシステムで、6自由度モーションプラットフォームとYawテーブル、Xテーブルで構成される8自由度車両運動モデル実車運転模擬装置である。360度投影装置、音響システム、振動装置などによる実運転に近い環境を提供。 ■ クラウドの展開 UC-1シリーズの既存製品をクラウド化した“UC-1 for SaaS”シリーズを皮切りに、3DVRのクラウド型合意形成ソリューション“VR-CloudⓇ”や“スパコンクラウドⓇ”、“UMDC”等の製品・サービスを提供。また、2018年に完全クラウド対応スイート会計シリーズ初版製品“スイート建設会計”をリリース、現在同シリーズ製品5製品を提供している。近年では、“クラウド基盤開発サービス”や“サブスクリプション基盤開発サービス”、“UC-1自動設計シリーズ”、“F8VPS”を開発・提供、クラウドサービスの拡充・強化が進められている。 ■BIM/CIM、i-Construction・建設ICTへの対応 UC-win/Roadを中心として各種土木設計ソフトや構造設計・構造解析ソフト、UC-1Engineer’s Suite積算などの積算ツール、クラウドシステム等と連携し、BIM/CIMのフロントローディングを支援するIM&VRソリューションを提供。i-Construction・建設ICTへの対応にも早くから取り組んでいる。 また、2019年度~2020年度の厚生労働省委託事業「教育訓練プログラム開発事業」(2年開発コース/区分名:建設A(設計・施工))に「CIM技術者育成を目的としたVRコンテンツ活用教育訓練プログラム」が採択され、2020年より「建設ICTマスター講座」を開講している。 遠隔操縦や自動運転に対応する重機と、連携動作する3DVRシステムにより、事前シミュレーションによる作業計画の検証、事前訓練・安全教育、作業監視、複数重機の統合管理が行える「3DVRによる重機の遠隔操縦システム」を提供し、国交省北海道開発局「北海道開発技術研究発表会の新技術展示(2021年3月 )に掲載されている。 ■国土強靭化への対応 創業当初の土木・建設分野に留まらず広く社会全体の領域にVR技術を普及させ、現在では、UC-win/Roadのオープンデータ連携により3DVRプラットフォームを推進し、社会インフラの充実・強化や、防災・減災対策など、土木・建築分野を中心とした幅広い強靭化の取り組みを統合的に支援している。地震/津波/河川氾濫/土石流など、外部ソフトの解析結果をVRで可視化する防災対策ソリューションや、3DVR浸水ハザードマップサービスなどを提供している。具体的な事例として、ハザードマップ「津波迅速避難教育システム」(秋田県/秋田大)、揺れや倒壊を可視化できる「地震シミュレータ」(清水建設)等の実績があり、このように、直感的にわかりやすい防災・避難教育によって民の防災意識を向上させることにより、レジリエンスの強化を支援している。 ■ VR普及への取り組み: デザインフェスティバル・シンポジウム 技術・製品・ユーザ交流の場として各種コンファランスやシンポジウムを開催している。 デザインコンファレンス UC-win/UC-1を広くテーマとして発展、拡張し、土木解析ソリューション、建築・BIMセッション、地盤セッション、水工セッションなどで構成。セッション毎に専門分野の研究者やユーザの特別講演などを行っている。 VRコンファレンス VR技術や映像技術、ドライビングシミュレーションを活用した最新研究、システム事例などについて、専門家の講師の講演を行っている。 国際VRシンポジウム 国際的な研究者(World16メンバー)を招聘し、最先端の3D・VR技術活用・展開を目的として、VR(UC-win/Road)を活用した研究やプロジェクトを発表。毎年夏に国内外でのサマーワークショップを実施し、11月にはフォーラムエイトデザインフェスティバルでVRについての多彩な研究・開発成果を発表している。 3DVRシミュレーションコンテスト オン クラウド 2002年のUC-win/Road「ソフトウェア・プロダクト・オブ・ザ・イヤー」の受賞を機に毎年開催されており、FORUM8デザインフェスティバルのメインイベントとして、毎年、国内外からUC-win/Roadによる高度なVRデータ作品が集まるコンテストで、一般投票と選考会により各賞が選定される。 2011年からはVR-Cloud(R)によるクラウド一般投票が選考プロセスに追加された。 一方、首都高・大橋ジャンクション、神戸市景観検討、北海道新幹線札幌駅計画など、常時における合意形成でも多数の実績があり、このような都市計画の段階から災害対策を組み込み、より効果的な強靭化の取り組みを測ることを意識している。 ナショナル・レジデンス・デザインアワード 2014年から、解析・シミュレーションの取り組みにスポットを当て、国土強靱化を支える様々な解析事例を審査・表彰するコンテスト「ナショナル・レジリエンス・デザインアワード」を創設。 学生BIM&VRデザインワールドカップ オンクラウド BIM/CIMおよびVRの活用により、先進的な建築、橋梁、都市、ランドスケープのデザインを行なう学生を対象とした国際コンペティション。課題となるテーマに対して計画、設計、シミュレーションなどを実施し、VRの総合的なデザインやBIM/CIMへの取り組みを評価する。 学生クラウド プログラミング ワールドカップ UC-win/Road、VR-Cloud®の伝送システムa3sSDKで開発のソフト、またはVR-Cloud®で動作するアプリケーションプログラムを対象とし、プログラミングの品質、論理性・技術力、審美性・オリジナリティ、プレゼンテーション技術などの点でSDKの活用を評価する。 ジュニア・ソフトウェア・セミナー表彰式 小中校生でジュニア・ソフトウェア・セミナー参加者およびUC-win/Roadeデュケーションバージョンユーザを対象に本コンテストを開催する UC-win/Road 高齢者運転シミュレータ 名城大学理工学部情報工学科の取り組みで、認知機能低下検出、運転能力評価、運転能力訓練にドライブシミュレータを活用している。実際の運転場面に近い運転模擬状態で運転行動を測定し、視覚・認知機能などの運転能力を定量的に評価できる。 大型4KVR立体視ドライブシミュレータ 国土交通省 国土技術政策総合研究所(国総研)のDX関連設備の一環として同研究所内に設置されている。キャビンは実際の自動車部品で構成されリアルな運転環境を再現しており、大型4面スクリーンの没入型立体視表示システムで広い視野角と高い没入感を伴う運転シミュレーションが可能となっている。BIM/CIMデータを活用した道路交通研究、インフラ構造物点検技術検証、VR・ARによる遠隔操作技術開発など、同省庁内外で分野横断的に利用されている。 ■ ソフトウェアの展開: 株式会社富士キメラ総研による「産業用VR/CGソフト国内市場シェア調査」(2020年8月31日発表)では、日本国内の産業用CG-VRおよびCG-VR作成ソフトの市場と、ベンダーシェアについての動向がレポートされ、UC-win/Roadは「産業向けCG-VR国内市場 企業シェア」「VR作成ソフト国内市場 企業シェア」におけるトップ、Shade3Dは「国産3DCGソフトウェア 企業シェア」「10万円以下3DCGソフト国内市場 企業シェア」におけるトップとなっている。
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