フライ‐バイ‐ワイヤ【fly-by-wire】
フライバイワイヤ
本来の意味は、俊敏な動きをする戦闘機で、パイロットの意思をもっとも効率よく運動制御部分に伝達するためのコンピューターによる計算制御のこと。 電子信号でアクチュエーターに伝達する電気配線(ワイヤ)を使用したのでこの名がある。自動車の場合はとくに電子制御式スロットルとし、最適なスロットル開度を得るのにハーネスと電気モーターを使用することがある。また、電子制御式変速機などもフライバイワイヤに属し、ドライブバイワイヤと呼ぶ。
参照 ドライブバイワイヤフライ・バイ・ワイヤ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/19 05:39 UTC 版)
フライ・バイ・ワイヤ(英語: Fly by wire, FBW と略される)とは、航空機等の操縦・飛行制御システムの1種。直訳すると「電線による飛行」。航空機の従来の手動飛行制御を電子インターフェースに置き換えるシステム。
- ^ Fly by Wire Flight Control Systems Sutherland
- ^ 一旦大きく動翼を操舵して姿勢を変えた後、反対に動翼を操舵してから中立の位置に動翼を戻す。機体ごとに異なる他、速度、高度、姿勢にも影響される。
- ^ FBWに限らず、動翼をアクチュエータで作動させる動力操作装置を装備する航空機には必ず操作感覚装置が装備される。
- ^ 実験用航空機 | 飛行試験設備 - JAXA
- ^ 『最強の戦闘機パイロット』 - 岩崎貴弘著、p276。
- ^ One of the history page, PSC "Tupolev", オリジナルの10 January 2011時点におけるアーカイブ。
- ^ The History of German Aviation Kurt Tank Focke-Wulfs Designer and Test Pilot by Wolfgang Wagner page 122.
- ^ Patent Hoehensteuereinrichtung zum selbsttaetigen Abfangen von Flugzeugen im Sturzflug, Patent Nr. DE619055 C vom 11. Januar 1934.
- ^ W. (Spud) Potocki, quoted in The Arrowheads, Avro Arrow: the story of the Avro Arrow from its evolution to its extinction, pages 83–85. Boston Mills Press, Erin, Ontario, Canada 2004 (originally published 1980). ISBN 1-55046-047-1.
- ^ a b Whitcomb, Randall L. Cold War Tech War: The Politics of America's Air Defense. Apogee Books, Burlington, Ontario, Canada 2008. Pages 134, 163. ISBN 978-1-894959-77-3
- ^ “Fairey fly-by-wire”, Flight International, (10 August 1972), オリジナルの6 March 2016時点におけるアーカイブ。
- ^ a b “RAE Electric Hunter”, Flight International: p. 1010, (28 June 1973), オリジナルの5 March 2016時点におけるアーカイブ。
- ^ “1 NEIL_ARMSTRONG.mp4 (Part Two of Ottinger LLRV Lecture)”. ALETROSPACE (2011年1月8日). 2018年4月24日閲覧。
- ^ “NASA - Lunar Landing Research Vehicle”. www.nasa.gov. 2018年4月24日閲覧。
- ^ “Fly-by-wire for combat aircraft”, Flight International: p. 353, (23 August 1973), オリジナルの21 November 2018時点におけるアーカイブ。
- ^ NASA F-8, www.nasa.gov 2010年6月3日閲覧。
- ^ Learmount, David (2017年2月20日). “How A320 changed the world for commercial pilots”. Flight International. オリジナルの2017年2月21日時点におけるアーカイブ。 2017年2月20日閲覧。
- ^ “海上自衛隊の次期哨戒機P1、日本の海守る純国産ジェット”. 産経新聞. (2013年3月26日) 2014年5月17日閲覧。
- ^ Rogoway, Thomas Newdick and Tyler (2022年1月13日). “The F-22 Raptor Could Finally Get The Infrared Sensor It Was Originally Promised” (英語). The Drive. 2023年7月3日閲覧。
- ^ “F-22 avionics designers rely on obsolescent electronics, but plan for future upgrades”. www.militaryaerospace.com. 2023年7月3日閲覧。
- ^ 飛行機の操縦(5)動翼の作動方法
- ^ アクチュエータ技術 - 電気静油圧アクチュエータ
- ^ “Fly-by-Wireless | Space Apps Challange 2019”. 2019.spaceappschallenge.org. NASA. 2023年7月3日閲覧。
- ^ “Development of Wireless Avionics Intra-Communications”. interactive.aviationtoday.com (2017年5月30日). 2023年7月3日閲覧。
フライ・バイ・ワイヤ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/06 05:48 UTC 版)
「エアバスA320」の記事における「フライ・バイ・ワイヤ」の解説
営業活動と並行して機体の設計も進められた。A320の操縦システムには、旅客機として世界初となるフライ・バイ・ワイヤ技術が本格導入された。フライ・バイ・ワイヤ方式では、パイロットの操縦操作は電気信号に変換されコンピュータに入力される。そしてコンピュータで計算処理された結果が電気信号として各操縦翼面のアクチュエータに伝達される。これにより、従来の操縦装置でコクピットから操縦翼面までを繋いでいたケーブル(索)やロッド、プーリーといった機械部品を削減でき、機体重量や整備負荷を軽減できる利点がある。 旅客機のような機体サイズで機械式の操縦装置を用いる場合、操舵力を適切な範囲に収めるためには大型の操縦輪を正面に配置する方式が適している。これに対してフライ・バイ・ワイヤの場合は、操縦入力を電気信号に変換することから、操縦桿の形態や配置の自由度が高くなる。そこでA320では操縦輪に代わりサイドスティックが採用された。サイドスティックは操縦室の左右に配置され、機長は左手で、副操縦士は右手で操作することとなった。操縦室はいわゆるグラスコックピット化され、計器類は6面のCRTディスプレイに集約された。 フライ・バイ・ワイヤやサイドスティックの全面採用はA320の商品力向上にとどまらず、エアバスにとって戦略上の重要な意味を持っていた。エアバスは今後開発する全ての旅客機にA320と同様のシステムを搭載し、小型機から大型長距離機に至るまで操縦性を共通化する方針を立てていた。従来の機械式の操縦系統では、機種ごとに異なる取り扱い特性を統一するのは困難であった。そこでエアバスは、コンピュータ制御の本格的なフライ・バイ・ワイヤ技術を導入することで、全機種の操縦操作や操縦感覚を揃えることにした。これにより、後に開発されるA320ファミリー機(派生型)の操縦資格は共通化され、さらに開発構想があったワイドボディ機のA340やA330への資格移行訓練も短時間で済むと見込まれる。小型機から大型機までをエアバス機で揃えれば航空会社は運航を大幅に合理化できるようになるため、エアバスの強力な強みとなる。そして、フライ・バイ・ワイヤなどの革新技術を実用化する最初の機種として、A320は適していた。短距離機のA320は整備拠点の近郊で運航されることから、重大な不具合が見つかった場合に対処しやすいとエアバスは考えたのである。 コックピットの設計はフランスのアエロスパシアル社が担当した。同社をはじめとするエアバス参加企業は、これまでにコンコルドでアナログ式フライ・バイ・ワイヤを実用化し、A310ではデジタルコンピュータの導入を実現しているほか、軍用機開発でも経験を蓄積していた。さらにアエロスパシアル社はA320の開発が決まる前から、次世代コックピットの研究開発に取り組んでいた。これらの経験や研究成果がA320のシステム開発に活かされた。エアバスはA300の3号機を試験機として、フライ・バイ・ワイヤ操縦システムの開発を行なった。サイドスティックについてもA300の試験機に実装され、航空会社のパイロットも含む多くの操縦士により延べ136時間の飛行試験が行われた。これらの評価の結果、問題がないとの結論が得られてA320への導入が決定した。
※この「フライ・バイ・ワイヤ」の解説は、「エアバスA320」の解説の一部です。
「フライ・バイ・ワイヤ」を含む「エアバスA320」の記事については、「エアバスA320」の概要を参照ください。
フライ・バイ・ワイヤ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/06 05:48 UTC 版)
「エアバスA320」の記事における「フライ・バイ・ワイヤ」の解説
A320の特徴として、旅客機で初めてフライ・バイ・ワイヤ技術を全面的に採用したことが挙げられる。エアバスはA320のフライ・バイ・ワイヤ・システムをEFCS (Electronic Flight Control System) と呼んでいる。 A320のフライ・バイ・ワイヤ・システムでは、パイロットの操縦操作は電気信号に変換されデジタル・コンピュータに送られる。コンピュータでは操縦入力と各種センサなどの情報に基づき計算処理が行われる。算出された指令値は電気信号として各操縦翼面や降着装置のアクチュエータに伝達される。 エアバスはA320のシステムを開発するにあたり、馬車を操るように旅客機を操縦できるようなシステムを目指した。馬車の場合、御者は馬に指示を出し、馬は指示をもとに道路状況に応じて走ることができる。御者が馬の一歩一歩の足運びまで指示することはないし、明らかな危険があれば、馬は自分の判断で回避することもできる。A320でも同じように、パイロットの指示と状況に応じてシステムが動翼を自動制御する。A320の飛行制御システムには、パイロットの操縦を補助する機能があるほか、機体や飛行の安全を守る保護機能が組み込まれている。そしてこのシステムは自動飛行制御システム (Automatic Flight Control System; AFCS) として、自動操縦装置や自動推力制御装置、および航法などを担う飛行管理装置も統合されている。 システムの設計思想を対比して、機械優先のエアバスと人間中心のボーイングと言われることもある。一方で、機械が得意な部分は機械に任せるというのがエアバス機の考え方であり、あくまで人間が中心のシステムであるとの評価もある。システムを上手に使いこなすことが、A320をうまく飛ばす要諦とも言われる。また、エアバスとボーイングは、相手の優れた機能を互いに取り入れてシステムの改善を重ねている。 A320のシステムにおいて、各種入力を受けて操縦翼面を制御するプログラムは「飛行制御則」と呼ばれる。飛行制御則は3種類用意されており、それぞれノーマル(通常)、オルタネート(代替)、ダイレクト(直接)と名付けられている。通常はノーマル制御則で運航され、システムの障害の程度に応じてオルタネート制御則やダイレクト制御則へ切り替わる。ノーマル制御則では飛行段階に応じたモードがあり、地上モードから飛行モード、着陸モードと順に切り替わり、最後に地上モードに戻る。 ノーマル制御則では保護機能によって機体姿勢や荷重、飛行速度などが許容範囲を超えることがないよう機体が制御される。例えば機体が失速状態に近づくと、自動的にエンジンを最大推力とし、迎え角がそれ以上大きくならないよう操縦翼面が制御される。また、ノーマル制御則にはパイロットの操縦を補助する機能があり、例えばトリムはシステムにより自動調整される。システムに2つの障害が発生した場合は、オルタネート制御則に切り替わる。オルタネート制御則では、操縦特性はノーマル制御則と変わらないが、一部の保護機能が働かなくなるほか、乗員は操縦機能が喪失しないよう対処する必要がある。システムに3つ以上の障害が発生した場合は、ダイレクト制御則に切り替わり、トリム調整も乗員が行う必要がある。 主操縦翼面(昇降舵・補助翼・方向舵)を制御するコンピュータは計7台あり、その他にも二次操縦翼面(高揚力装置等)を制御したり自動操縦の処理を行ったりする各種コンピュータを加えてシステム全体が構成される。コンピュータの異常を検出するための相互監視機能も備える。 A320の操縦システムは、操縦不能になるのは109時間に1回以内、操縦性の低下は105時間に1回以内という目標で設計された。システムは信頼性を高めるため、複数のコンピュータにより冗長化が図られており、さらに単純な多重化ではなく異種冗長の考え方が取り入れられている。異種冗長とは同一の欠陥あるいは故障によりシステム全体が機能喪失することを防ぐための考え方である。具体的には、多重化に際してメーカー、プロセッサ、そしてプログラミング言語が異なるコンピュータを組み合わせたり、コンピュータ内部の命令部と監視部を完全に独立させたりといった方策がとられている。電源の分離や信号線の分離配置といった対策もとられている。 油圧系統は、独立した3つの系統で構成される。油圧ポンプにより加圧された油圧は操縦系統や降着装置、ブレーキ、そしてエンジンの逆推力装置に供給される。全ての操縦翼面は油圧により駆動される。各翼面には複数のアクチュエータが備わり冗長化されている。降着装置の出し入れ、ブレーキ、ステアリングも油圧駆動である。 A320の電源は、左右のエンジンおよびAPUに備わる発電機から供給される。駐機中には、地上設備の外部電源を利用することも可能である。電源系にはバッテリーが備わっているほか、緊急時には胴体からラムエア・タービンを展開して発電および油圧の加圧を行うことができる。さらに、機体の全電源が喪失した場合に備えて、水平尾翼と垂直尾翼のトリム操作には機械式の操縦系も備えているほか、降着装置も非常用にケーブル式の脚下げ機構を有する。機械式の操縦系統が残っているのは、全電源が喪失する確率が109時間(約11万年)に1回以内ということを検証することが現実的に困難だったためとも言われる。
※この「フライ・バイ・ワイヤ」の解説は、「エアバスA320」の解説の一部です。
「フライ・バイ・ワイヤ」を含む「エアバスA320」の記事については、「エアバスA320」の概要を参照ください。
フライ・バイ・ワイヤ
「フライバイワイヤ」の例文・使い方・用例・文例
- フライ・バイ・ワイヤのページへのリンク