操縦装置(補助翼、昇降舵、方向舵)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 09:56 UTC 版)
「飛行機」の記事における「操縦装置(補助翼、昇降舵、方向舵)」の解説
飛行機の操縦装置は、機体の3軸まわりの姿勢(ピッチング、ヨーイング、ローリング)を変化させるための主操縦翼面である補助翼・昇降舵・方向舵を操作する主操縦装置と、エンジンおよびスロットルの操作や、フラップ、エアーブレーキ、タブ、スポイラ、スラットといった補助操縦翼面を操作する副操縦装置とに分けられている。後者はそれらを操作した場合の表示装置が必要である。 また、操縦装置の種類は人力操縦装置、動力操縦装置、ブースター操縦装置、フライ・バイ・ワイヤ操縦装置に大別される。人力操縦装置は小・中型機で使用されており、操縦席と操縦翼面の間を索(ケーブル)、滑車、またはロッド、レバー等を利用したリンク機構で繋ぎ、操縦翼面を人力だけで操作するものであり、工作や整備が容易で、信頼性が高い長所がある。これには、索と滑車を利用する索操縦系統、プッシュ・プル・ロッドを利用するプッシュ・プル・ロッド操縦系統、トーション・チューブと呼ばれるチューブを利用するトーション・チューブ操縦系統がある。索操縦系統は軽量で遊びがなく、方向転換が自由で安価である。一方で摩擦や摩耗、スペースが必要であること、予め張力が必要で伸びが大きいことが短所である。また索は操縦席と操縦翼面との間で2本使われ、往復式で使用される、これは、1本の場合だと飛行中での急激な姿勢変化により、重力加速度が索に掛かることで索がたるみ、操縦翼面が勝手に動いてしまうためである。プッシュ・プル・ロッド操縦系統は、摩耗が少なく伸びがない。一方で重く遊びがあり、高価である短所がある。主に運搬で主翼などを外す必要があり、組立の際に調整を簡単にすることができるグライダーで使用されている。トーション・チューブ操縦系統は、レバー型式とギア型式とに分かれる。前者は主翼後部に取付けられたフラップを操作するフラップ系統に使用されている。後者は摩擦力が小さいのが特徴で、方向転換の大きい箇所で使用されている。 動力操縦装置は、大きな操縦力が必要な大型機や超音速または亜音速域で飛行する飛行機で使用されている。操縦席と操縦翼面の間に設けたリンク機構を介して飛行機の主油圧系統から供給される高圧油圧により作動する油圧サーボ・アクチュエータを作動させることにより、操縦翼面を作動させるものである。ブースター操縦装置は、動力操縦装置の一種であり、操縦席と操縦翼面の間は、人力操縦装置と同じリンク機構を介して直接操作するが、操縦者の操舵力に比例した力を高圧油圧とサーボ・バルブにより倍力して、油圧アクチュエータによりその力を操縦翼面に加えるものである。フライ・バイ・ワイヤ操縦装置とは、機械的なリンクに代え電線が操作量を伝達するものであり、操縦装置への入力が発信器で電気信号に変換され、その電気信号が、加速度と傾きを検知するセンサーとコンピュータを組み込んだ飛行制御コンピュータを介して、油圧サーボ・アクチュエータに伝達されて操縦翼面を作動させるものである。
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