LOGO
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/23 08:36 UTC 版)
実装
2012年11月時点で、261の実装や方言があり、それぞれに特徴がある[8]。その多くは歴史的なもので既に使われていないが、今も活発に開発されているものもある。
標準規格がないが、言語の中核的部分については大まかな合意が形成されている。それでも様々な方言があり、相互に完全な互換性がない。単にタートルグラフィックスの描画プログラムをLOGOと呼んでいる場合があり、状況を混乱させている。
1980年代初頭から中ごろにかけて、Apple II用の Apple Logo やTI-99/4A用の TI Logo が発売され、初心者のプログラミング入門に最適と宣伝された。このころ欧米の小学校での教育によく使われ、LOGOの最盛期だったといえる。Apple Logo を開発したのはLCSI[9]で、これ (LCSI Logo) が初期のLOGO実装として広く普及した。
今日ほぼデファクトスタンダードとされているのがブライアン・ハーヴェイの開発したUCBLogo (Berkeley Logo) である[10]。フリーかつクロスプラットフォームの実装だが、GUIは初歩的なものしかなく、そのインタフェースを改良するプロジェクトがいくつかある。Microsoft Windows 向けに拡張したMSWLogo[※ 1]とその後継であるFMSLogo[11]は、イギリス、オーストラリア、ギリシャの学校でよく使われている。製品として販売されているLOGOも学校でよく使われており、MicroWorldsやImagine Logoなどがある。
MSWLogoは複数のタートルを扱え、3Dグラフィックスを描画できる。またウィンドウインタフェースもサポートしており、GUIを通したI/Oも可能で、キーボードやマウスからのイベントを扱える。MSWLogo 6.5 では gifsave コマンドで簡単なGIFアニメーションも生成できる。
最近の実装では、数千ものタートルを同時に扱える。代表的な実装として、MITのStarLogo[12][13]とCCL (Center for Connected Learning) のNetLogo[※ 2]がある。これを使って創発現象など、社会学、生物学、物理学などの分野の研究も行われている。
多くのLOGO実装は2Dグラフィックスしか扱えないが、Elicaなどは3Dグラフィックスをサポートしている[14]。多くの実装はインタプリタだが、Elicaの作者はLhogho[※ 3]というコンパイラも開発している。元々タートルは単純なロボットに対する操作をコンピュータ上で再現したものであるため、ロボット操作との親和性が非常に高く、実際にロボット制御ができる実装もある。例えば、Lego Technicsで作ったものをLOGOで操作するものとして、LCSI LOGO/LOGO WriterをベースにしたLOGO Writer ROBOTIQUE/Lego Logo/Lego TC LOGOも発売され、のちLego DactaとMITメディアラボが共同でCriket Logoを用いたCriketを開発している[15](レゴを後にMINDSTORMSとして発展させた際に、別の言語を採用、LEGOsheetsとなっている)。
オブジェクト指向的拡張を施した実装としてObjectLOGO[16]などがある。
LOGOを3次元グラフィックスに拡張した実装としてLogo3Dもある[17]。
Javaで実装されたオープンソースのLOGOとして Daniel Azuma の開発したTurtleTracksがある。これは BSD Logo に拡張を施したもので、後に George Birbilis が .NET / J♯ で動かしたものもある。
E-Slate Logo[※ 4] はTurtleTracksにオブジェクト指向的プリミティブ (TELL, ASK, EACH, TELLALL) を追加して拡張したもので、こちらも開発は George Birbilis である。
日本で開発された、あるいは日本語版が発売されたLOGOとして以下の例がある。
- ドリトル (Dolittle) - ロゴ言語実行環境「ロゴ坊」を拡張したもの。厳密にはLogo言語から派生したオリジナル言語を用いる。
- FindOut - 旧福武書店が、ACCESSと共同で開発した教育用環境。
- GLOGO[※ 5] - 大阪電気通信大学が開発した3次元対応LOGO
- ロゴライター (LOGO Writer) - Logo Computer Systems Inc.によるLCSI Logo/LOGO Writerの、ロゴジャパン株式会社/株式会社ロゴコミュニティによる日本語版。海外ではMactintoshに、日本語MS-DOSベースではPC-9800シリーズ・FMR50/FMR60およびFM-TOWNSにも対応した。定期的に機関紙が発行されるなど、日本におけるLOGOブームの火付け役となった実行環境。のちにレゴの制御用LOGOであるLego Logoの日本では「レゴロゴコントロール Lego TC Logo」として、2とテクニカルレゴがセットでパッケージ販売された。現行バージョンは「ロゴライターWin 4」、公式にはWindows 7までサポートされているが、Windows 10でも(初期バージョンのロゴノート読込も含め)動作可能。
- Microworlds - LCSI Logoの株式会社エフ・シー・マネジメントによる日本語版。現行バージョンは「マイクロワールドEx」、Windows VistaからWindows 10までサポートされ、プラグインでWebブラウザでも表示できる。派生バージョンとしてEx Roboticsがある。他にMicroworlds Jr、Microworlds Pro。
- ^ Harvey 1997a、Harvey 1997b、Harvey 1997c
- ^ Logo Foundation
- ^ ハワード・ラインゴールド 著、栗田昭平 監訳、青木真美 訳『思考のための道具 異端の天才たちはコンピュータに何を求めたか?』パーソナルメディア株式会社、1988年8月10日、336-341頁。ISBN 4-89362-035-5。
- ^ Origine du langage LOGO "Les origines du langage LOGO par Wallace Feurzeig"
- ^ Cynthia Solomon
- ^ Logo Foundation
- ^ Logo Programming Language at the Logo Foundation website
- ^ The Logo Tree Project
- ^ Welcome to LCSI
- ^ Berkeley Logo (UCBLogo)
- ^ Home - FMSLogo
- ^ StarLogo
- ^ StarLogo
- ^ Elica
- ^ Crikets
- ^ Object Logo
- ^ Logo3D - SourceForge.net
- ^ 早過ぎた孤独な予言者 - @IT自分戦略研究所
- ^ http://www.h6.dion.ne.jp/~origami/LOGO.html
- ^ Boxer
- ^ The programming language used in KTurtle is loosely based on Logo.
- ^ KTurtle
ロゴタイプ
ロゴタイプ(logotype),通称「ロゴ」(英: Logo) は、図案化・装飾化された文字・文字列のことで、組織名・商号・商品名・雑誌名・書名などを印刷・表示する際などに使用される[1]。
概要
ギリシア語のロゴテュポス (λογότυπος) に由来し、ロゴ = 言葉、タイプ = 活字からなり、本来は1単語のための連字活字を意味した。
ロゴタイプとマークを合わせて図案化したものは、ロゴマークと呼ばれる。これはlogoとmarkを組み合わせた和製英語とされる[2]。なお、英語にも logomark という語は存在するが、ロゴタイプとマークを組み合わせたものではなく、マークのみを指す[3]。また、英語のlogoはlogotypeとlogomarkを合わせたものを指す[3]。
ロゴタイプは、社名であれば、看板・名刺・封筒・レポート用紙・領収書の伝票類など、商品名であれば、パッケージなど、雑誌名・書名であれば、それぞれの表紙・背表紙などに印刷され用いられる。また、宣伝・広告の広報目的などにも用いられる。
ロゴタイプに使用される書体は、任意の並びで使われることを前提とした一般の文字のそれと異なることがある。その対象物の差別化を図る目的などで専用に大きく変形しているものは目立つためわかりやすいが、一般のフォントを全くそのまま使っただけに見えるものでも、実際には、文字間隔や高さを専用に調整したり、筆画の位置やセリフを調整したりといったバランスの調整などが入っていることが多い。従って(その両方で優れていると評価されているものが多いことがあり混同されがちだが)ロゴの設計(デザイン)と書体の設計は異なるデザイン分野とされている。大きな変更を行う場合はプレスリリースなどを出して広告されるが、老舗デパートなど長年同じものを使っているように見えても実は微妙なリニューアルを重ねているものがあり、古いアイテムなどと比較すると大きく違うことがある。
企業などの組織の場合、コーポレートアイデンティティ (CI) の一環として印象づけのために、ロゴタイプを用いることがある(なお、ロゴをCIそのものと混同する誤解がある)。親会社と子会社でロゴタイプのデザインを違ったものとする場合もある[4]。ヤマハとヤマハ発動機(無関係ではないが、別会社である)のように、知らない人には全く同じのように見えるが、トリビア的な違いがあるものもある。
ロゴが他の表示要素(文字、図形、パターン)の影響を受けないようロゴの周囲に設けるべき余白をアイソレーションエリアという[5]。
ロゴは商標として登録することで商標的(自他商品・役務の識別標識として)な無断使用から保護することができる。文字を装飾した程度のデザインのものであれば著作権での保護対象外であると考えられる。しかし、著作権で保護されているという誤解がよくみられる[6][7]。
脚注
- ^ 『ロゴタイプ』 - コトバンク
- ^ ロゴマークとは - コトバンク
- ^ a b 例えば、Idaho PowerのLogo Guidelines (PDF) や、ジョージタウン大学のVISUAL IDENTITY GUIDELINES (PDF) (2015年4月2日時点のアーカイブ)参照。
- ^ 例えばソニーとソニー・ミュージック、東京急行電鉄と東急百貨店など。
- ^ 「おとう飯ロゴ使用マニュアル」内閣府男女共同参画局 2021年9月2日閲覧
- ^ [1]裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面
- ^ 一般財団法人 知的財産研究教育財団知的財産研究所 (2019年3月). “商標権取得による効果及び商標制度の活用に関する調査研究報告書”. 特許庁. 2020年2月25日閲覧。
関連項目
固有名詞の分類
- LOGOのページへのリンク