HOゲージ HOゲージの概要

HOゲージ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 15:12 UTC 版)

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概要

HOゲージ車両のサイズ比較

スタンダードゲージとして軌間16.5mmを用いる鉄道模型の規格区分である。日本アメリカではHO (エイチオー) 、ヨーロッパではH0 (エイチゼロ) と呼ばれることが多い。HOとはハーフOゲージ[注釈 1]の略である。

実際の規格としては、アメリカでは全米鉄道模型協会によるNMRA規格、ヨーロッパではMOROPによるNEM規格が主流である。日本においては主流となる規格を策定している団体はない[注釈 2]

各規格の軌間規定寸法
規格 軌間 最小寸法 最大寸法
NMRA S.3-2 16.5 mm 16.5 mm 17.07mm
NEM 110 16.5 mm 16.5 mm 16.8 mm

後述のように、もともとHO規格は3.5 mmスケールから出発した。これを分数に直すと約1/87であり、軌間16.5 mmというのはここから求められている。

しかしながら、現代で主流である規格では各寸法は縮尺ではなく直接に数値で設定されている。これは即ち、規格に定められた寸法範囲に収まっていれば多少縮尺が1/87から外れていてもHO規格に準拠していると見做せるということである。車両がHO規格に準拠しているということはHO規格に準拠して作られた軌道を問題なく走れるという意味であって1/87で作られているという意味ではない。なぜならば規格は縮尺ではなく寸法で定められているからである。

歴史的に見れば1/76や1/80、1/90といった1/87ではないものの16.5 mmをスタンダードゲージとする模型車両は全てHOとされた時期があり、その後1/76はOO、1/87はHOとして分離されてきた。しかしながら、現代においてはPECOを始めとして1/76の製品であっても「HO/OO」と両方を併記するなど、16.5 mmをスタンダードゲージとする模型は全てHOとして扱う方向に再びシフトしつつある。

狭軌と広軌

実物における、世界的な標準の軌間は標準軌と呼ばれる1,435 mmであり、模型におけるスタンダードゲージも標準軌を基準に定められた。しかし標準軌よりも狭い狭軌や、逆に広い広軌で建設された鉄道もあり、これらを模型化する際は縮尺を揃えて実物よりも相対的な軌間が広い、あるいは狭いことを容認したり、相対的に軌間が正しい広さに近づくように縮尺を変えたりしてきた。しかしこれらの手法ではプロポーションが実物と異なってしまったり、それぞれの模型で人形や建物が流用できない問題を抱えていた。

そこで、より「正しい」軌間で模型化する、あるいは既製品で「正しい」軌間に近い他スケールの軌間を流用して模型化するといった手法が生まれた。アメリカでは前者が主流で、NMRA規格には軌間10.5 mmで実物の3フィートゲージ(914 mm)を模型化するHOn3、軌間7 mmで実物の2フィートゲージ(610 mm)を模型化するHOn2がある。ヨーロッパでは後者が主流で、NEM規格にはある範囲で実物の軌間を区分けして、それぞれTT、N、Zのスタンダードゲージの線路を使うHOm、HOe、HOiがある。

日本においては、(国鉄は世界的に見れば狭軌であるため)HOの国鉄型車両を軌間13 mmに改軌する愛好家が1950年代からおり[注釈 3]、これは縮尺1/80・軌間13 mmの13 mmゲージとして現在も一部メーカーから発売されている。また「HOゲージは1/87が正であり1/80はHOではない」と主張する一派が1980年代に縮尺1/87・軌間12 mmの12 mmゲージを興し、少数ではあるものの製品化されている[注釈 4]。またその一環で、狭軌車両と同じように1/80で製作されてきた標準軌の車両も縮尺1/87・軌間16.5 mmでの製品化が見られるようになった。

歴史

1921年、それまで主流であった縮尺1/43.5 (7mmスケール) ・軌間1-1/4インチのOゲージの半分の大きさの製品として、縮尺1/87(3.5 mmスケール)・軌間5/8インチの鉄道模型がイギリスのバセット・ロークから発売された(製造はドイツビング)。当初、縮尺1/87は、「O」よりも小さなスケールということで、「OO」と命名され、OOゲージ鉄道模型と呼ばれた。

1922年にはビング独自に縮尺1/87の「ビング卓上鉄道」を発売した。1930年代にはビング卓上鉄道を引き継いだトリックスや、メルクリンなどが参入したが、当時の加工技術では小さすぎて満足に模型化することが困難であったため、製品の軌間や縮尺はメーカーによってバラつきがあった。

なお、軌間はOOゲージ登場当初はで5/8インチ (15.9 mm) であったが、後に16.5 mmとなった。

その後、実物の鉄道において小振りな車体が主流であったイギリスを中心に技術的な都合から縮尺を1/76 (4mmスケール) とした製品が展開されるようになったが、そのほかの国では縮尺1/87が主流となる。

1934年にトリックスから発売された「トリックス・エクスプレス」がアメリカで展開される際に、それまでの「OO」に代わって「HO」と意図的に別称とされた。アメリカでは「OO」は縮尺1/76・軌間19 mmの鉄道模型として展開されていたため、縮尺1/87・軌間16.5 mmの鉄道模型は別のものとされた。その後、このHO表記を採用するメーカーも現れたため、HOスケール・HOゲージという名称がアメリカを中心に広がった。1937年にはバセット・ロークによりOOゲージへの呼称統一が呼びかけられたが、最終的に縮尺1/87をHOゲージ、縮尺1/76をOOゲージとして呼び分けることが定着した。

日本では、戦後に軌間16.5 mmのまま縮尺を1/80とした日本型車両の模型が多く作られ、これが現代までのデファクトスタンダードとなった。軌間16.5 mmの模型車両を一括に扱う16番ゲージが提唱されたのもこの頃である[注釈 5]。以後、標準軌を採用している私鉄車両も1/80で模型化されてきたが、新幹線が開業するにあたっては新幹線車両のみ1/87で製品化されることになる。また、より軌間を実物に近づけた13 mmゲージ、あくまで1/87で製作することに拘った12 mmゲージとそれに追従する1/87標準軌私鉄車両模型の登場は前述の通りである。

HOゲージが普及した頃から、同じ縮尺で線路や車輪を自作しいわゆる軽便鉄道、ナローゲージの模型を製作する愛好者が存在した。NゲージZゲージの普及に伴い、これらの部品を用いてHOのナローゲージの模型を製作する手法が広まり「HOナロー」として定着する。初期の製品を除いて長らくHOナローは少量生産かつ1/87が主流であったが、近年量産メーカーが1/80の製品を発売し、少量生産のガレージキット等も増えつつある。


  1. ^ 軌間がOゲージ (32mm) の約半分であるため。
  2. ^ 各社が発売している製品の中にはNMRAにもNEMにも準拠していないものがあり、実質的に無法状態である。
  3. ^ 当時TTゲージはほとんど流通していなかった。
  4. ^ NEM規格におけるHOmとは互換性のない別物。
  5. ^ ただし前述の通り、現在では世界的にもHOはより間口を広げる方向にシフトしている。


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