関数 (数学)
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「関数」と「函数」の違いについて
「函」が漢字制限による当用漢字に含まれなかったことから、1950年代以降同音の「関」へと書き換えがすすめられた[8]。この他、「干数」案もあった[9]。学習指導要領に「関数」が登場するのは中学校で1958年、高等学校で1960年であり、それまでは「函数」が用いられている[注釈 6]。「関数」表記は 1985 年頃までには日本の初等教育の段階でほぼ定着した[10]。
脚注
参考文献
- 日本数学会 編『岩波数学辞典』(4版)岩波書店、2007年。ISBN 978-4000803090。
- 松坂, 和夫『集合・位相入門』岩波書店、1968年。ISBN 4-00-005424-4。
- 馮, 立升「『代微積拾級』の日本への伝播と影響について」『数学史研究』第162号、日本数学史学会、1999年9月、15–28、doi:10.11501/3202759、ISSN 0386-9555、2022年11月2日閲覧。
- 公田, 藏「近代日本における, 函数の概念とそれに関連したことがらの受容と普及」『数理解析研究所講究録』第1787号、京都大学数理解析研究所、2012年4月、265–279、2022年11月2日閲覧。
- 片野, 善一郎『数学用語の由来』明治図書出版、1988年。ISBN 4-18-543002-7。
- 片野, 善一郎『数学用語と記号ものがたり』裳華房、2003年。ISBN 4-7853-1533-4。
- 「譯語會記事」『東京數學會社雑誌』第62号、數學會社假事務所、9頁。
- 「譯語會記事」『東京數學會社雑誌』第64号、數學會社假事務所、14頁。
- 菊池大麓「雜録」『東京數學會社雑誌』第61号、數學會社假事務所、1頁。
- 菊池大麓「雜録」『東京數學會社雑誌』第63号、數學會社假事務所、1頁。
- 福原, 満洲雄 著「学校数学での用語と記号」、島田, 茂、田島, 一郎 編『数学と日本語』共立出版、1981年、135–169頁。ISBN 4-320-01315-8。
- 一松, 信 著「当用漢字による書き替え」、数学セミナー編集部 編『数学の言葉づかい100』日本評論社、1999年、5頁。ISBN 4-535-60613-7。
- 小松, 勇作 著「関数」、数学セミナー編集部 編『数学の言葉づかい100』日本評論社、1999年、58頁。ISBN 4-535-60613-7。
- 小松勇作「関数」『数学100の慣用語』数学セミナー1985 年9月増刊の再録
- 羅密士 著、偉烈亜力, 李善蘭 訳『代微積拾級』 巻十、咸豊9年、1丁裏頁。
関連項目
注釈
- ^ 但し、1958年の中学校学習指導要領では用語として「一次関数(一次函(かん)数)」と併記しており、「関数」のみになるのは1969年の中学校学習指導要領である。
- ^ 数学の多くの文脈では函数 (function) と写像 (map) は同じ意味で用いられる。[15]
- ^ 例えば Serge Lang[16] などは "function" を終域が数の集合 (すなわち実数体 R や複素数体 C などの体の部分集合) となる写像を指す場合に限り、より一般の場合には "mapping" を用いている
- ^ ここでいう「初等的」は必ずしも日常会話的な意味で初等的とは限らない。初等的な数学において遭遇するほとんどの函数は初等函数だが、例えば高次多項式の根を含むなどして日常的な意味で初等的ではないような初等函数も存在する。
- ^ 例えば単位円の方程式 は実数全体の成す集合上の二項関係を定める。–1 < x < 1 ならば y として二つの値が可能で、一方は正他方は負である。x = ± 1 のときは二つの値はともに 0 になる。それ以外では y は値を持たない。このことから、この方程式は [–1, 1] を定義域とするふたつの陰函数を定義し、それらの値域はそれぞれ [0, +∞) および (–∞, 0] である。この例では方程式は y について解くことができて と陽に書けるが、より複雑な例ではこのようなことが不可能なものも出てくる。例えば方程式 は y を超冪根 と呼ばれる x の陰函数としてさだめる(定義域・値域ともに R)。超冪根は四則演算と冪根をとる操作によって表すことができない。
- ^ 但し、1958年の中学校学習指導要領では用語として「一次関数(一次函(かん)数)」と併記しており、「関数」のみになるのは1969年の中学校学習指導要領である。
出典
- ^ 馮, 立升「『代微積拾級』の日本への伝播と影響について」『数学史研究』第162号、日本数学史学会、1999年9月、15–28、doi:10.11501/3202759、ISSN 0386-9555、2022年11月2日閲覧。
- ^ a b 公田, 藏「近代日本における, 函数の概念とそれに関連したことがらの受容と普及」『数理解析研究所講究録』第1787号、京都大学数理解析研究所、2012年4月、265–279、2022年11月2日閲覧。
- ^ a b 片野, 善一郎『数学用語の由来』明治図書出版、1988年。ISBN 4-18-543002-7。
- ^ a b c d 片野, 善一郎『数学用語と記号ものがたり』裳華房、2003年。ISBN 4-7853-1533-4。
- ^ 「譯語會記事」『東京數學會社雑誌』第62号、數學會社假事務所、9頁、doi:10.11429/sugakukaisya1877.1884.62_8。
- ^ 「譯語會記事」『東京數學會社雑誌』第64号、數學會社假事務所、14頁、doi:10.11429/sugakukaisya1877.1884.64_14。
- ^ 菊池大麓「雜録」『東京數學會社雑誌』第61号、數學會社假事務所、1頁、doi:10.11429/sugakukaisya1877.1883.61_1。菊池大麓「雜録」『東京數學會社雑誌』第63号、數學會社假事務所、1頁、doi:10.11429/sugakukaisya1877.1884.63_1。
- ^ a b この経緯については、島田茂 (1981)「学校数学での用語と記号」福原満州雄他『数学と日本語』共立出版 ISBN 4-320-01315-8 pp.135-169 に詳しい。
- ^ a b 一松信 (1999)「当用漢字による書き替え」数学セミナー編集部編『数学の言葉づかい100』日本評論社 ISBN 4-535-60613-7 p.5
- ^ a b c 小松勇作「関数」『数学100の慣用語』数学セミナー1985 年9月増刊、数学セミナー編集部編『数学の言葉づかい100』日本評論社 ISBN 4-535-60613-7 p. 58 に再録
- ^ 志賀浩二『数学が生まれる物語/第4週 座標とグラフ』岩波書店、70頁(1992年)
- ^ (美国) 羅密士撰『代微積拾級』 巻十、(英国) 偉烈亜力口訳、(清) 李善蘭筆述、咸豊9年、1丁裏頁。東北大学附属図書館林文庫蔵。東北大学和算資料データベースで『代微積拾級』を検索することにより、画像ファイルを見ることができる。
- ^ a b 飯島徹穂編著、『数の単語帖』、共立出版、2003年、「関数」より。ISBN 978-4-320-01728-3
- ^ 遠山啓、『[1]』、岩波書店、〈岩波現代文庫〉、2011年。ISBN 978-4-00-603215-9
- ^ 松坂 1968, p. 28—「A, B が一般の集合である場合にも、A から B への写像を、A から B への関数(中略)ということがある。」
- ^ Lang, Serge (1971), Linear Algebra (2nd ed.), Addison-Wesley, p. 83
- ^ Letourneau, Mary; Sharp, Jennifer Wright (2017-10), AMS Style Guide, American Mathematical Society, p. 98, §13.3. Standard abbreviated forms of mathematical expressions and functions.
- ^ Ron Larson, Bruce H. Edwards (2010), Calculus of a Single Variable, Cengage Learning, p. 19, ISBN 978-0-538-73552-0
- ^ 日本数学会編、『岩波数学辞典 第4版』、岩波書店、2007年、項目「特殊関数」より。ISBN 978-4-00-080309-0 C3541
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