ハリケーン・カトリーナ ハリケーン・カトリーナの概要

ハリケーン・カトリーナ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/13 05:10 UTC 版)

ハリケーン・カトリーナ
カテゴリ5メジャー・ハリケーン (SSHWS/NWS)
ハリケーン・カトリーナ(2005年8月29日)
発生2005年8月23日
消滅2005年8月31日
(8月30日に温帯低気圧化)
最大風速1分平均: 175 mph (280 km/h)
最低気圧902 mbar (hPa); 26.64 inHg
死者直接の死者453名-1,335名 間接的に335名 9月1日時点
被害$1080億(2005の米ドル
被害地域特に被害が甚大だった地域

アラバマ州, ミシシッピ州, ルイジアナ州 (特に ニューオーリンズ)
被害のあった地域

バハマ, フロリダ南部, フロリダ北西部, ジョージア州, テネシー州, ケンタッキー州, オハイオ州, バージニア州, ウエストバージニア州, ペンシルベニア州, ニューヨーク州, カナダオンタリオ州東部
2005年の大西洋ハリケーン

概要

ハリケーンの発生から消滅まで

カトリーナの進路
アメリカ海洋大気庁ハリケーンハンターから撮影したカトリーナの中心(2005年8月28日)
エアフォースワンから撮影した崩落した橋(2005年8月31日)
最強烈の大西洋ハリケーン
順位 ハリケーン 中心気圧 (hPa)
1 ウィルマ(Wilma) 2005年 882
2 ギルバート(Gilbert) 1988年 888
3 レイバー・デー(Labor Day) 1935年 892
4 リタ(Rita) 2005年 895
5 アレン(Allen) 1980年 899
6 カミーユ(Camille) 1969年 900
7 カトリーナ(Katrina) 2005年 902
8 ミッチ(Mitch) 1998年 905
ディーン(Dean) 2007年
10 マリア(Maria) 2017年 908


ハリケーン通過後の動き

エアフォースワンから撮影したニューオーリンズ市(2005年8月31日)
スーパードームに救援物資を運ぶ州兵のトラック(2005年9月1日)
  • 9月2日、ルイジアナ州ニューオーリンズに、州兵1,200人が到着。食料・水・医薬品等の救援物資も到着。ブッシュ大統領がルイジアナ州、ミシシッピ州、アラバマ州を視察。アメリカ合衆国議会では復旧対策費として105億ドルの緊急補正予算が成立。
  • 9月3日スーパードーム等の避難所に避難していた住民約2万人の周辺地域への脱出が完了。死者は数千人に上ると政府高官が認める。大統領は被災地に兵士7,200人の派遣を命令。
  • 9月4日、犠牲者の遺体の捜索、収容が始まる。復旧作業中の作業員9人が銃撃され、警察は容疑者5人を射殺。ライス国務長官ラムズフェルド国防長官が被災地を訪問。
  • 9月5日、冠水したニューオーリンズ市の排水作業が本格化。被害の軽い地域の住民が一時帰宅。大統領が被災地を再度訪問。災害救助にあたる米軍の数が5万人を超える。
  • 9月7日、避難せずにニューオーリンズ市内に残る約1万人の住人に対して、強制的に退去させると発表。
  • 9月8日、被災地の復旧費用を盛り込んだ総額518億ドルの追加補正予算が成立。

被害

罹災直後

カトリーナで破壊された家

カリブ海沿岸、米南部などを中心に被害があり、フロリダ州などで死者が出たが、再上陸後のミシシッピ州、ルイジアナ州での被害が大きい。ミシシッピ州ではガルフポートビロクシといった湾岸都市、ルイジアナ州ではポンチャートレイン湖に面するニューオーリンズが壊滅的な被害を受けた。

ニューオーリンズでは湖及び工業水路の複数個所で堤防が決壊し、その結果、市内の陸上面積の8割が水没した。中でもアフリカ系アメリカ人が多く住むロウワー・ナインス・ワード、湖に面した高級住宅街レイクビューの各地区が特に大きな被害を受けた。上陸前から避難命令が出ていたにもかかわらず、死者は防げず、確認された死者は9月1日段階で数百人を超えた。この中には避難命令を受けた老人ホームの職員が真っ先に逃げ出したために自力で避難できなかった高齢者も少なからず含まれている。またヒューマン・ライツ・ウォッチの発表によれば、ニューオーリンズの刑務所で看守不在のまま受刑者600人以上が水や食料も与えられず4日間放置され、受刑者517人が行方不明になった。

罹災後、市の公共サービスは完全に麻痺し、市の完全封鎖を含む緊急事態宣言が出され、避難中の市民も他所に転出することが決まった。市内で最大の避難所ルイジアナ・スーパードームへの避難者はテキサス州アストロドームへ移転する。しかし行政が避難後の対応まで考慮していなかった影響で移転は全く進まず、しかも支援物資の不足により、高齢者などの衰弱死が相次いだ。たとえば避難命令の時点では、食料は避難者が持参するものとされていた。また、被災者名簿の作成が追いつかず新たな避難先に移転した際、家族と離れ離れになる被災者が続出している。市内の各地では廃墟のような街並みが広がり、遺体が水面を流れているといった光景が広がった。

避難命令があったものの、移動手段をもたない低所得者が取り残され、市内の食料品店などで略奪行為が続発した他、放火と見られる火災も起きている。2日でも避難者の移転作業が続いているが、略奪等により作業が妨げられていると市警察当局は非難した。市内では他にもレイプ、救援車両・医薬品輸送車への襲撃なども行われており、市内は無法地帯と化しているとの情報も流れた。そのため、州兵が現地に派遣され治安維持に当たった。

アメリカ合衆国で死者数を多く出したハリケーン
順位 ハリケーン名称 発生年 死者数
1 ガルベストン・ハリケーン 1900年 8,000人から12,000人
2 オキーチョビー 1928年 2,500人以上
3 カトリーナ 2005年 1,836人
4 シェニエール・カミナダ 1893年 1,100人から1,400人
5 シー諸島 1893年 1,000人から2,000人
6 フロリダキーズ 1919年 778人
7 ジョージア 1881年 700人
8 オードリー 1957年 416人
9 レイバーデイ 1935年 408人
10 ラストアイランド 1856年 400人

避難生活

約2万8,500人が避難しているヒューストンのアストロドーム球場では、感染性胃腸炎が集団発生するといった新たな被害が発生した。罹災から1週間以上が経過した7日までに感染症で150人が隔離された。また、テキサス州やミシシッピ州に移送された4人がビブリオ・バルニフィカスという細菌に感染し死亡した。

救援活動

救助活動は過酷で、任務にあたった警察官、州兵の中から、逃亡や自殺者が出た。

死亡・行方不明者統計

Hurricane Katrina Impactを参照。

州毎の死亡者数
死亡者数 備考
ルイジアナ州 1,577 州外への避難民を含む
ミシシッピ州 238
フロリダ州 14
アラバマ州 2
オハイオ州 2
ジョージア州 2
ケンタッキー州 1
合計 1,836
行方不明者 705

2006年4月18日時点)


  1. ^ SPACE.com:Future Shuttle Flight Dates Uncertain in Hurricane's Wake
  2. ^ アムトラック公式時刻表 2016年冬・春版 P.5
  3. ^ a b c 中地幸, 「William FaulknerのThe Wild PalmsとRichard Wrightの"Down by the Riverside"における1927年のミシシッピ川大洪水」『都留文科大学研究紀要』 第64集 2006年 p.67-81, 都留文科大学, ISSN 0286-3774
  4. ^ ジェーン・モース (2005年9月15日). “ハリケーン「カトリーナ」で、日本は「真の友人」であることを証明” (日本語). Embassy of the United States Tokyo, Japan. 2012年12月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年4月25日閲覧。
  5. ^ Morse, Jane A. (2005年9月8日). “Asia-Pacific Opens Hearts, Wallets to U.S. Victims of Katrina” (英語). IIP Digital. 2016年4月25日閲覧。
  6. ^ カトリーナ水害時、韓国の救護品を米国が拒否” (日本語). 中央日報 (2008年8月11日). 2016年4月25日閲覧。
  7. ^ USA Today: Cold-war device used to cause Katrina?
  8. ^ a b c d e デジタル台風:2005年台風のまとめ”. agora.ex.nii.ac.jp. 2020年8月5日閲覧。
  9. ^ a b デジタル台風:台風の名前(アジア名)”. agora.ex.nii.ac.jp. 2020年8月5日閲覧。


「ハリケーン・カトリーナ」の続きの解説一覧




固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

ハリケーン・カトリーナのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ハリケーン・カトリーナのページの著作権
Weblio 辞書情報提供元は参加元一覧にて確認できます。

  
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのハリケーン・カトリーナ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2022 GRAS Group, Inc.RSS