病理解剖
【概要】 剖検とも略される。対語は生検。患者の死後に病理専門医により行なわれる解剖。医学生や歯学生が体の構造を学ぶため行なわれるのは系統解剖、事故や犯罪に関係して不審死を得るために行なわれるのは司法解剖と呼ばれている。
【詳しく】 病理解剖は患者の病気の性質と広がり、併発する疾患などを最終的に確定するために行なう。主に肉眼所見、顕微鏡所見を大切にするが、必要に応じてサンプルで生化学的、微生物学的な検査も行なうこともある。少なくとも死者にとって直接の利益はほとんどない。患者の死後、遺族が最も悲嘆にくれた時期に解剖の許可を得ることは、臨床医にとって辛い作業である。にもかかわらず解剖によって初めて明らかになる重要な病変が常にあり、反省材料になるとともに、今後の医療に役立てられる。
《参照》 生検

病理解剖
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/17 21:44 UTC 版)
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病理解剖(びょうりかいぼう)とは、病気で亡くなったヒトを対象にして、臨床診断の妥当性、治療の効果の判定、直接死因の解明、続発性の合併症や偶発病変の発見などを目的に系統的な解剖を行うこと。
- 病理診断科を標榜した一部の医療施設では病理外来が設けられ、病理医等から病理解剖診断の説明が行われている。病理解剖は医療検証機能、臨床研修・教育等に重要である。医療機関機能の評価に際しても病理解剖実施率は重視される。
概要
病理解剖(類義語:剖検)は医療行為の一端である。日本の法制による病理解剖は臨床医の依頼に基づき、死亡した患者の家族の承諾を得たうえで行われる。関連法規は死体解剖保存法である。
臨床病理検討会、CPC
病理解剖で得られた検査所見は、病理医により「剖検診断書」または「病理解剖学的診断書」にまとめられ、臨床医にその結果が報告される。臨床医、病理医、その他の医療者が一堂に会して臨床経過、検査データ、剖検結果などを検討する会議を臨床病理検討会(英語:clinico-pathological conference、略称CPC)と呼ぶ。CPCでの議論や反省を通じて疾患の理解を深め、適切な診断法や治療法の参考にすることが病理解剖の結果を活かす究極の目的である。
現状
日本では大学病院、国公立病院、医療法人などで年間20000件前後の病理解剖が実施されている。日本内科学会等の各種学会の教育認定施設の要件に、施設での年間病理解剖実績数が必要となっている場合もある。
結果は1年毎に日本病理学会により日本病理剖検輯報(ぼうけんしゅうほう)に全例が収載され刊行されている。「剖検輯報」のような全国規模の病理解剖のデータベースの作成は世界的にも類のない成果であり、多くの研究者により疾患研究や疫学的統計資料として参照されている。
医行為としての病理解剖
病理診断は医師しか行うことができない医行為であるが、病理解剖が医行為であるかどうか明確な判断は示されていなかった。平成27年3月31日の参議院文教科学委員会における秋野公造参議院議員の質疑に対して、厚生労働省は死亡診断とそれに付随する死亡診断書および死体検案書の交付が医行為であることに触れて、解剖を行ってから死亡診断書を交付するまでの間に解剖の結果を死亡診断書等にどのように反映するか等、医行為が行われ得ることを明確にした[1]。
脚注
- ^ 参議院会議録情報 第189回国会文教科学委員会第3号 https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=118915104X00320150331
- ^ Shintani-Domoto, Yukako (2022-08-25). “約40年前に行われた剖検症例の電子顕微鏡像と免疫組織化学的検索” (英語). 日本医科大学医学会雑誌 18 (3): 272–273. doi:10.1272/manms.18.272. ISSN 1349-8975 .
- ^ “ペットを「おくりびと」に託した飼い主の深い愛情”. 東洋経済オンライン (2024年10月20日). 2025年1月26日閲覧。
関連項目
- 司法解剖、法医病理学、分子病理学
- 行政解剖
- オートプシー・イメージング
- 医療関連死/異状死
- フローサイトメトリー
外部リンク
- 日本病理学会
- New England Journal of Medicine 週刊医学系総合雑誌でマサチューセッツ総合病院のCPCが掲載されている(Case Records of the Massachusetts General Hospital)
病理解剖
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/25 09:59 UTC 版)
詳細は「病理解剖」を参照 亡くなった患者を解剖し臓器を観察する。死亡時に施行される病理学的な検索のこと。剖検の1種。必要に応じて諸臓器から組織を採取し作製した標本を顕微鏡で観察する。病理解剖は、施行した治療の有効性の確認や、臨床経過中に生じた疑問の解明を目的に、遺族の同意のもとに行われる。解剖ゆえ、得られるのは形態的な情報のみであり、必ずしも病因が明らかになるわけではないが、生前には分からなかった情報(例えば潜在癌occult cancer = 生前には存在を認知されず、死後、解剖などにより明らかになった癌)が得られたり、臨床上の疑問点が解明されたりする場合も多い。
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